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第13話 闇の奴隷商


 俺は獣人の女の子、アリスを伴って馬車に帰還した。


 キャロル達に事情を説明すると、アリスも一緒に中立連合国フィリーアルトへ向かうことになった。


 今日は1日目に泊まる街に到着した。


 適当な宿を取って、2人部屋に分かれる。

 俺とキャロル、ウィンリーとアリスって感じだ。


「キャロル、ウィンリーとアリスと一緒に風呂に入ってきたらどうだ?」

「そうですね! みんなと一緒にお風呂は旅の醍醐味ですものね!」


 キャロルはすぐにウィンリーの部屋に飛んでいった。


 あのはしゃぎ様は、箱入り娘だったキャロルがこの遠征をどれだけ楽しみに思っていたかが分かる。


 だが、すまないな。俺にはやることがあるんだ。


 アリスの獣人の売買の件は、かなり闇が深い。


 この帝国では100年前までは人間至上主義を掲げており、今なお獣人やエルフを同じ人族だとは思えずに見下している連中もいるくらいだ。

 

 ここらへんの大きな街ではそうではないが、小さい街や山奥の集落ではその傾向が強い。


 闇の奴隷商人はその人間の差別意識に漬け込んで、亜人を売る。


 しかし、獣人もエルフも、危機察知能力はとても高い。獣人なんて2キロ離れている人間の匂いも嗅ぎ分ける嗅覚を持っている種族もいる。


 獣人を攫うなら、こういう人混みがある大きな街の方が攫いやすいだろう。


 つまり、この街に潜んでいる可能性もある。

 俺はアリスと行動を共にすると決めたし、キャロルやウィンリーに危険が及ばない様にする必要がある。


 俺は窓を全開にして、真っ黒な瓶を窓枠に置いた。


「《死霊術 召喚サモン


 闇魔法の死霊術。

 今蘇らせたのは、蝿の死体だ。


 瓶から無数の黒い影が飛び出して、街中に散らばった。


 ざっと300匹はいるかな。


 はははっ。使用人達に変な奴だな?って顔をされながら集めた甲斐があったってもんだ!!


「…………あっ、忘れてた」


 何か影の中に違和感あるなーっと思ったら、さっきの奴を閉じ込めていたんだった。


 部屋が汚れるので影から頭だけ出して、話を聞く。


「テメェ! 何者だ!」

「うるせぇ。黙れ。何者だ、は俺の質問だ」

「誰が答えるか!」

「何故、アリスを狙った? 何が目的だ?」

「ふん。死んでも言わねえよ!」

「闇奴隷商人か」

「…………」


 分かりやすすぎるだろ。


 と言っても、本当に拷問しても何も話しそうに無いな。

 時間を掛ければ尋問でも口を割るだろうが、今は時間がない。


 手っ取り早く話させるとしよう。

 俺は男の頭に手を置いて、魔法をかけた。


「《精神支配マインドコントロール》」


 これは精神を支配して、尋問する魔法だ。

 名前だけなら強そうだけど、この魔法を使っている間は他の魔法を使えず、たった30秒だけって言う制限付きだけどね。


「お前達は闇奴隷商人か?」

「そうだ」

「誰に売る予定だった」

「ディスター伯爵だ」

「この街の領主か。何が目的だ?」

「分からない」

「他に奴隷は?」

「亜人を何人も。全て、ディスター伯爵に売った」

「他に奴隷商人はいるのか?」

「いない。俺達3人だけだった」


 必要な情報を聞き出して、俺は男の影の中に戻した。


 しばらくして蝿から集めた情報と男の証言を照らし合わせて、情報がまとまった。

 思った以上に、胸糞悪い事がこの街で行われているらしい。


「クソゲーだな、本当に」


 俺は闇魔法で作り出した、顔も隠れるくらいの黒いローブを纏って、外に出た。


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