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曼珠沙華を飲み干して

作者: 鳳凰澪崋 暁月

真っ赤な床でしゃがみこみ、笑みを溢す。掌から零れ落ちた曼珠沙華。いくつもの花弁を散らし溶けていく。

飲んだ毒が火照った心を洗い流すように、ゆっくり、静かに。この身体を巡っている。

「もっと、もっと頂戴」

ぐちゃりと花を握り潰し口に頬張る。高鳴る鼓動がこの静寂を邪魔し、響いては私を責める。

「足りない、こんなんじゃ満たされないじゃない!」

本当は分かってる。この穴は何をしても埋まらないと。それでも、寂しいから、知らないフリをして埋めようと捥くの。苦くて甘い毒は心を蝕んでいく。

「君の所為だ。君が、私に近づくから。ドロドロに溶かしたくなるじゃない。こんなにも綺麗だから、汚したくなるじゃない。君が、君が……」

私に優しくしたから。

もう戻れない。こんなにも、美味しい毒を飲んでしまったから。

「大丈夫、最後まで楽しむからね」

一つ残らず、骨までも。

ワタシは曼珠沙華を喰らい尽くす。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 真っ赤な花弁に毒、狂気……どこか恐ろしくも美しいお話だなと思いました。和な雰囲気が素敵ですね。
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