異世界??筋トレは自重で我慢しますか。
これから面白いです。
だってここはどう見ても、歴史の教科書で見た『江戸』まんまなのだから、、、、、、、
人は皆着物を来て、背も心なしか低い。
建物は私たちが生きていた頃じゃ見たことがないものばかり。
そして何よりも違うのが、「空気」だ。
土の匂いに気が混ざったような、嗅いだことのないに、どこか安心させてくれる空気。
これが東京の元になっているとはとても考えられない。
※※※※※
「死んだってどういうこと!?」
「多分俺たちは、、力の入れ過ぎで死んでしまったんだと思う」
「そうか。本当に、死んでしまったんだな」
私は死んだことに勘づいていたにもかかわらず、上手く理解できなかった。
もうあの世界には戻れないことを思うと、言葉も詰まった。
二人も同じように呆然としていた。
大体は俯いて、唯人は私たちを少し見て、空を見上げた。
長い沈黙の後、一言。
「いや、え??」
「どうしたんだ?」
「いやだって、、力の入れすぎで死ぬ?」
私の声は腑抜けたものになっていた。
かなり深刻な雰囲気から一転、ふざけた雰囲気になってしまった。
「ブッッ!」
唯人は笑った。私もおかしくなって笑った。大体も笑った。みんなで笑った。
今までよくわらない場所の中で、そのうえ「死」という重すぎる言葉を聞いた俺たちの張り詰めていた思いが、一気に吹っ飛んだように感じた。
きっと、二人も同じだったのだろう。
「そんな悲しむ必要ないか!僕達には筋トレがあるしね!」
「そうだ!!!」
「合トレ(合同トレーニング)がいくらでもできるな」
私は心の底から二人がいてくれてよかったと思った。
※※※※※
「そうだ。私たちが今いる状況も気になる。分かるか、唯人」
「筑志もわかってるんだろ」
「まあ、」
「いや、僕は全く分からないよ!教えて!」
「ここはな、江戸だよ。江戸時代なんだよ。あくまでも予想だが、私たちはタイムスリップしてしまったのかもしれない」
私は今までタイムスリップなんてものを信じたことは無かったし、そのこと自体に興味もなかった。
しかし、この状況を見ると、そうとしか言えなくなってしまった。
「江戸時代!?!?ってことは、豊臣秀吉に会えるの?」
大体はやはり素晴らしい頭を持っている。
「そうだよ、、、ついでに織田信長にも会っちゃおうか、、」
「やったー!!楽しみ!早く会いたいなーー」
割れんばかりの笑顔の大体を見て、私はものすごい罪悪感に襲われた。
唯人はちょっと邪魔なゴミを見るような目で、私を見ていた。しかも横目で。
皮肉は辞めようと神と仏と筋肉と鶏胸肉に誓った。
「まぁここが江戸というのはあくまでも勘だから。ちょっと邪魔なゴミはわかっていると思うがな。」
やっぱり私のことをちょっと邪魔なゴミだと思っていた。
「確かにそうだな。あと大体。江戸時代は徳川の時代だから、織田信長も豊臣秀吉もいないんだ。本当にすまない」
「え?じゃあさ、徳川!?!?家康!に、会えるの?」
大体はとことんバカだが、多分皮肉を言われたことに気づいてはいる。
でもそのことにまるで気づいていないかのようにして、私にも優しくしようとしてくれているんだろう。
本当に優しいやつだ。
私の罪悪感はます一方だった。
「本当にすまない。あと、家康にも会えるかは分からない。私は江戸後期か末期か、その辺りだと思うんだけど。どう思う?」
「俺も、同感だ。建物や人々の服を見る限り、そうだろうな。まぁともかくだ、今俺らがやることは衣食住を整えること。並行して、この場所について調べる!異議ある?」
「異議なし!!」
「私もそれでいい」
そして私たちは、道でポージング大会をすることにした。
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