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超探偵は時計仕掛け ―助手には吸血少女を添えて―  作者: めらめら
第1章 出会い ―銀色の髪飾り事件―
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魂の品格〈クラス〉

「教授! 教授!」

 横たわるマキシの傍らで、レモンが戸惑いの声を上げた。

 車椅子のベクター教授を取り囲んだ何匹ものネコが、一斉に教授に襲い掛かり、かみつき、爪を立てているのだ。

 レモンが、壇上の教授の元に駆け寄ってゆく。

 教授からネコを引き剥がし、針を構えて追い払おうとするが、ネコたちは引き下がらない。


「私の血は、ああいう使い方もできる。嗅がせれば、ネコやコウモリ……小さな獣たちを一時(いっとき)操ることが……」

「君は……やはり!」

 耳元で囁きかける小さな声の主の正体に気付いて、マキシは驚きの声を上げた。


 ザザアアアア……


 開け放たれた礼拝堂の入り口から、何百頭もの黒翅の蝶が流れ込んで来た。

 蝶は横たわるマキシの元に集うと、一つ所に重なり、夜の闇のような人影を形成して、次の瞬間。

 そこに立っているのは、1人の少女だった。

 夜を靡かせたような長い黒髪。白蝋のような肌。人形の様に整った顏。

 吸血鬼(ヴァンピーール)リンネの姿だった。


「リンネ。来るなと言ったはずだぞ。君にはク……」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、マキシ!」

 リンネに何か言おうとするマキシを呆れた顔で静止ながら、少女はマキシの身体からレモンの放った針を引き抜いていく。


「グッ!」

「マキシ、早くソーマを!」

 どうにか身体の自由を取り戻した探偵が床から立ち上がると、リンネが厳しい表情で壇上で眠り続けるソーマを見つめていた。


「それには……同意する!」

 マキシもまたソーマの方を向いて、決然とリンネに答えた。


「吸血鬼! この裏切者が! 教会に匿ってやっていた恩を、仇で返しおって!」

「ふざけないで! 私を脅して、私を騙して、ソーマにまであんなことをしようとした! だからよ!」

 ネコの爪で引っ掻き傷だらけの教授が、怒りに歪んだ顏でリンネを睨むが、リンネの方も引く様子はなかった。

 黒珠のようなリンネの瞳の中に、固い決意の光があった。


「ぬがー! こうなったら手段は選ばん。どのみち教会に隠れているのも今日までだ! レモン君。離れていたまえ!」

「教授。まさかアレを……!?」

 どうにかネコたちを振り払ったベクター教授が、たまりかねた様子で叫んだ。


「探偵マキシ。やはり真っ先に始末すべきは君だ。これまでさんざん私の邪魔をしてくれたな。君を葬るため、今夜は特別のもてなしを用意しておいた!」

 教授がマキシを指さしニタリと笑う。

 と同時に、礼拝堂全体が小刻みに震え始め、マキシとリンネの足元から、歯車の軋みのような奇妙な音が鳴り始めた。

 音が、急激に大きくなって、礼拝堂の床板が軋み、たわんだ。


「今度はなんだ!?」

「これは……!」

 足元の異変に、マキシとリンネが戸惑いの声を上げた次の瞬間、

 ドカンッ! 礼拝堂の床板が、凄まじい勢いで破れて跳ね上がった。

 土煙が濛々と立ち込めて、壊れた椅子や床板の断片があたりに降り注ぐ。

 

 そして、土煙の向こうで、大きな何か(・・)が起き上がった。

 床板を破って地下から現れたのは、無数の歯車やシリンダーで構成された、さながら頭の無い巨人だった。

 マキシの身体の3倍はありそうな、巨大な機械人形だった。


機械傀儡(ゴーレム)! こんなモノまで持ち込んでいたのか!」

「フン。ただのゴーレムじゃないぞ。これまでに計測した君の性能(スペック)の元に、私自らが設計した君のための探偵抹殺専用機(キラーマシーン)だ!」

 機械傀儡(ゴーレム)とは魔遺物(レリック)の力で、人間の手で自由に操ることの出来る、からくり人形の総称だった。

 地下から現れた銀色のゴーレムが、車椅子ごと教授の身体を抱え上げると、頭部のない自分の上半身に……教授を組み込んでゆく!

 ゴーレムと一体となった教授が、勝ち誇った顏でマキシを指さした。


「フハハ。行くぞ探偵!」

「あのサイズ。正面からやり合うのは厄介そうだな……」

 マキシに向かって巨腕を振り上げたゴーレムを見上げて、探偵が距離を取ろうとその場から飛び退った、だがその時だった。


「ハープーン発射!」

「な……!」

 教授がそう叫ぶと同時に、ゴーレムの胸部から何かが飛び出し、探偵は戸惑いの声を上げた。

 胸に空いた射出孔から飛び出した2本の銛が、探偵の両肩を貫いていたのだ。


「逃げ場はないぞ、探偵!」

 鎖付きの銛でマキシを繋ぎとめたゴーレムが、その巨体からは想像もできない俊敏さで探偵に次の一撃を放とうとしていた。

 巨人の突きが、マキシを直撃するその直前。


「くそ、掌撃(インパクト)!」

 ビュンッ! 探偵の右腕が、半分ほどの尺まで収縮し、一瞬にして伸展した。

 巨人の拳がマキシの身体に達する数瞬手前、探偵が自分の掌撃を拳に突き刺し、破壊しようとした、だがその時だった。


(パイル)!」

「ガァアアアア!」

 マキシの絶叫が、礼拝堂に響き渡った。

 教授の一声と共に、巨人の拳から飛び出した鋭い杭が、探偵の掌撃を逆に貫いていたのだ!

 機械仕掛けのマキシの右腕が、砕け散っていた。

 分解された右腕が、無数の歯車やシリンダー、板バネの破片になって荒れ果てた礼拝堂にまき散らされてゆく。


「フハハ! 勝ったぞ。(パイル)! (パイル)! (パイル)!」

 勝ち誇った教授が、満面の笑みを浮かべながらゴーレムの手から杭を連射する。

 胸。わき腹。右足。探偵の身体が穴だらけになり、次の瞬間砕け散って礼拝堂に転がった。

 探偵が、(コワ)れてゆく。


「グググ……!」

「マキシ!」

 苦悶の呻きを漏らすマキシに、リンネもまた絶望に呻いた。

 マキシの右半身は、解体され、銀色の破片となって床に散り、すでに消滅していた。


「フハハハ! いいざまだなマキシ君。右腕だけでなく全身がその有様とは、少し驚いたが……まあどのみち、君はおしまいだ……!」

 無残な姿のマキシを見下ろし、教授が嗤う。


「命が尽きるまでの僅かな間、自分の敗北を噛みしめるがいい。この私の研究の完成を目にしてから死ね!」

「まあ教授。ついに本番(・・)を?」

「……そんな! ソーマ!」

 教授とレモンの発した言葉に、リンネは震えた。

 教授の操るゴーレムの腕が、壇上で眠るソーマの身体を、慎重な手つきで持ち上げてゆくのだ。


「マキシ君。見届けるがいい。私の新たな『転生』を!」

 教授がニヤニヤ笑いながら、マキシを見下ろしてそう言い放った。


「浮浪者たちを用いた実験は『リハーサル』に過ぎなかった。私の魂の器として、最もふさわしい肉体を選出するまでのね。孤児院の子供たちの中から『御崎ソーマ』を選出するまでの!」

「だめだ! だめだ、だめだ!」

 自身の眼前にソーマの身体を持ってきて、恍惚とした表情でそう呟く教授。

 リンネの絶叫が、礼拝堂の空気を震わせた。


「『魂の座』は金色と銀色で一対の魔遺物(レリック)だ。『転生者』の額には銀色を。『受魂者』の額には金色を。その際『受魂者』の魂を消去する処置を忘れてはならないが、消去は転生の直前であることが望ましい。魂を失った肉体は、その生命力を急速に減じてゆく。『鮮度』に問題が生じ転生の妨げとなる可能性が大きいからだ……」

 荒れ果てた床に転がった銀色の髪飾りをゴーレムの手で拾い上げながら、まるで学生に講義でもしているような口調で、教授はマキシにそう告げる。


「これより『消去処置』を開始する。『受魂者』御崎ソーマの、魂の消去処置を!」

「やめろ……教授……!」

 ソーマを掴んだゴーレムの指先から、何本もの微細な金属の管が飛び出して、ソーマの頭に接続されてゆく。

 床に転げた半分のマキシが、教授を睨んでそう呻いた、だがその時だった。


「な、なんだ……!?」

 ゴーレムの(いただき)で、ベクター教授が戸惑いの声を上げていた。

 ソーマにさし伸ばされた金属管の動きが、止まっていた。

 いや、管だけではなかった。

 ゴーレムの動きが鈍い。探偵マキシをしのぐほど俊敏だった銀色の巨体が、徐々に徐々にその動きが緩慢になってゆく。

 教授は愕然とした。

 ゴーレムの身体が、言うことをきかない!


「これは……!」

 そして、教授は気付いた。

 自分とゴーレムの周囲を、ハサハサと掠れた羽音をたてながら舞っている無数の微細な影に。

 剥き出しになった歯車やシリンダーの合間に潜り込んで、機械人形の動きを狂わせてゆく、何百頭もの黒翅の蝶の姿に!


  #


 リンネが、御崎ソーマとサンデー神父に出会ったのは、彼女が辺境からの旅団に紛れて勿忘市に潜り込んでから程なくしてからの事だった。

 記憶を持たぬまま、永い間曠野を彷徨い、草木や野ネズミの命を啜りながら生きてきたリンネの境遇は、だが街に潜り込んでからも、何も変わらなかった。

 小さな少女の姿のまま吸血鬼(ヴァンピール)となったリンネには、元より人を襲い血を啜る力などなかったし、仮にできたとしても、人に追われすぐに殺されていただろう。

 路地裏の暗がりに身を潜め、ドブネズミの血を啜り、堪えがたい渇きをまぎらわす。

 飢えと孤独感とに苛まれながら、リンネがそんな暮らしをしていたある夜の事、彼女は路傍に倒れたその少年を見つけた。

 

「子供……?」

 リンネは少年を抱き上げて呟く。

 まだ10歳にもなっていないだろう。

 亜麻色の髪をしたあどけない顔の少年だった。

 飢えからか、疲労だろうか、道端に転がり意識を失っているその少年を目の前にして、リンネの内を炎の様に焦がす……強烈な渇き(・・)


「あぁ……血……人間の……血……」

 我知らずそう呟いたリンネは、自身の真っ赤な唇を少年の滑らかな喉元に押し当てた。

 少年の血潮の脈動に舌を這わせながら、リンネが彼の内に牙を立てようとした……だがその時だった。


「お母さん……」

 少年の言葉に驚いて、リンネは喉元から顔を上げた。

 

「お母さん……帰りたい……」

 意識を失いながら譫言を呟く少年の頬を、一筋の涙が伝っていた。


「…………!」

 リンネの凍てついた胸を、引き裂くような熱い何かが突き上げた。

 それは少年への哀れみ。

 そして一瞬で微かだが、確かにリンネの中に蘇った、自分が人間だった頃の記憶だった。

 自分には父がいて、母がいて、そして弟がいた(・・・・)

 血への渇望は、自身の内に湧きあがった、もっと激しい『何か』にかき消された。


「うぁあう!」

 リンネは呻いた。

 真っ白な陶器のようなリンネの腕が、少年の温かな身体を抱きしめていた。


「大丈夫。帰れるから。探そう。帰れる場所を……!」

 意識の無い少年の耳元に、リンネはそう囁きかけていた。


「君は……まさか……!」

 驚愕にうち震える声が背中から聞こえてきて、リンネが振り向けば、そこには修道服を着た一人の男が立っていた。

 孤独と母恋しさに耐えかねて孤児院を飛び出した少年……御崎ソーマの行方を追って、町中を探し歩いていた贖罪教会の神父。


 イーラーイ・サンデー神父の姿だった。


  #


 聖職者の能力ゆえに、すぐにリンネの正体を見破ったサンデー神父は、だがリンネを殺すことも、追い払うこともしなかった。

 ソーマは孤児院に連れ戻され、そしてリンネもまた、贖罪教会に招き入れられた。

 リンネは孤児院の子供たちを世話しながら、バラやアジサイ……教会に咲き乱れる花々の命を吸うことを、教会に居ることを許された。


「教えて神父。なぜあの時、あんな事をしたの?」

「では聞くがリンネ。君はあの時、なぜ踏みとどまった(・・・・・・・)。ソーマの血を吸っていたなら、私は君を殺さねばならなかった」

 後のある夜、神父に疑問を投げかけたリンネに、彼は逆にそう尋ねてきた。


「それは……何か……いけないことだと思ったから。踏みとどまらなければ、私の中の大事な何かが失われる。もう帰れなくなる(・・・・・・)。そう思ったから……」

「それが理由だ、リンネ。その思いを心に持ち続ける限り、君は決して邪悪な者でも、呪われた者でもない。常に自分の心に問い続け、自分が正しいと思ったことをするんだ……」

 リンネの黒珠のような瞳をジッと見つめて、神父は少女の姿をした吸血鬼(ヴァンピール)にそう言った。


 短い間だが、リンネにとって穏やかな時間が続いた。

 母親を恋しがって泣いてばかりだったソーマも、徐々に笑顔を取り戻していった。

 リンネになついて、姉のように慕うようになった。

 日々の雑務に追われながらも、リンネとソーマの様子を見つめて、サンデー神父は穏やかに微笑んでいた。


  #


 その優しかったサンデー神父が、ある時を境に全くの別人に入れ替わっていると気付いた時の、リンネの衝撃。驚愕と恐怖といったら!

 

「吸血鬼か。なかなか珍しいモノが這入り込んでいるな……」

 教会に返って来た、神父の姿をした何か(・・)が、怯えるリンネも見下ろして酷薄な笑みを浮かべる。


「安心しろ、悪いようにはしない。私たちの実験に協力しさえすれば、このまま教会に置いてやろう。でなければ、あの年老いたシスターも、孤児院の子供たちも……どうなるかわかるな?」

 その時から、リンネは恐怖の虜囚となった。

 神父の姿をした何かと、新たにやってきたシスターの命じられるがまま。

 自分の血を嗅がせ浮浪者たちを眠らせ、教会に運び込み彼らの実験に供する……。

 地獄のような日々が続き、リンネは唇をかみしめて自分の犯した罪の恐ろしさに必死で耐えた。

 教会の子供たちと、何より御崎ソーマの命を危険に晒すわけにはいかなかったからだ。

 そして、リンネの恐怖と忍耐が臨界点に達したのは、彼女が実験の真の目的に気付いた時だった。


「やはり『この子供』だ……! 瞳の色、血液型、生まれた日の星辰。健康状態も申し分ない。この子供こそ私の新たなる器となるにふさわしい……!」

「では『神父』、やはり『受魂者』は御崎ソーマで?」

 リンネの鋭敏な耳が、壁越しに捉えた神父とシスターの会話に彼女は慄然とした。

 浮浪者たちを使った実験は、すべてそのためだったのだ。

 奴らの本当の目的は、教会の子供たちだったのだ。

 そして選ばれたのは……あろうことかソーマだった!


 リンネはソーマに、自分の血を嗅がす。

 一時記憶を書き換える、偽りの姉弟の記憶へと。

 瀕死のブラナーから受け取った髪飾りを手に、ソーマを連れて教会を飛び出す。

 誰かの、誰かの助けの手を求めて……!


  #


「ぐ……が……が……! 吸血鬼(ヴァンピール)ゥウウウウウウ!」

 ゴーレムの上で、ベクター教授が怒りの呻きを漏らした。

 リンネの変じた蝶に侵入されて、ゴーレムの身体が軋む。動きが狂う。

 そして、蝶たちも無傷では済まなかった。

 回転する歯車に、伸縮するシリンダーに巻き込まれ、蝶たちが次々に引き裂かれ、潰されてゆく。

 そして、ギシギシギシ……。

 ついにソーマの身体を掴み止めていた腕にも異変が生じた。

 ゴーレムの腕の力が急速に弛緩して、とうとうソーマの身体をその手から取りこぼした、その時だった。

 

 ザザアアァ!

 床板に落下してゆくソーマ向かって、一陣の黒い旋風(かぜ)は奔った。

 蝶たちの生き残り……ゴーレムの身体から離れた無数の微細な影がソーマの身体に集うと、次の瞬間、黒い人影となってソーマの身体を抱き止めていたのだ!


「ソーマ……!」

「……お姉ちゃん?」

 落下の衝撃にようやく目を覚ましたのか、影の腕の中で、ソーマはうっすらと目を開けた。

 そして、徐々に少女の姿を取り戻してゆく黒影の……リンネの姿は、だが凄惨そのものだった。

 ゴーレムの歯車に裂かれ、潰されたリンネの全身には、無数の無残な切り傷が刻まれていた。

 ソーマを助けるため、腕の形成に力を尽くしたからだろうか。

 リンネの両脚は引きちぎられ、消失していた。


「お姉ちゃん……? お姉ちゃん! お姉ちゃん!!」

「シー……」

 リンネの無残な姿に気付いて、狼狽して起き上がろうとするソーマの唇に、彼女は優しく、自分の指先を押し当てた。


「もう少し眠っているのソーマ。私のこんな姿なんか……私のこと(・・・・)なんか……覚えていてはいけない」

 水仙のような甘くん濃厚な花の香が辺りに満ちていた。

 リンネの血の香だった。


「…………!」

 起き上がろうとしていたソーマの身体が弛緩して、両の目が閉ざされた。

 リンネの血で再び眠りに落ちたのだ。


「私は……私が正しいと思うことをする。そうでしたね神父……!」

 眠るソーマの顏を見つめて、リンネは静かに、そう呟いていた。


「くそおおお許さんぞ! その子を返せええええ!」

 頭上から、怒り狂った教授の叫び声が聞こえた。

 ゴーレムが軋んだ音を立てながら、再び動き始めようとしていた。


「リンネ……自分の命も顧みず……御崎ソーマを救おうとした!」

 半身を失い床に横たわったマキシが、驚愕と感嘆の声を漏らしていた。


吸血鬼(ヴァンピール)……いや、御崎(みさき)リンネ。認めよう君の『品格(クラス)』を!」

 見開かれたマキシの金色の瞳が、敬意と歓喜で輝いていた。


起立(スタンダップ)!」

 そしてマキシの発した一声と同時に、異変が起きた。

 グンッ! どうにか残った1本の足で、探偵の身体が操り人形(マリオネット)のように床から跳ね上がったのだ。


「なにいいい!」

 ゴーレムからマキシを見下ろすベクター教授の顔に、狼狽の色が広がっていった。


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