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田鶴の決意

今回は少し長めにしましたー!

集会が終わり皆グループごとに固まり話し合う、やはり受け止めきれない人が多いようだ。ドッキリを疑っている人すらいる。


僕らのグループは僕、哲平、詩音、文香、優馬の5人だ。スクールカーストで言うと完全な下位層の陰キャ集団である。


今日もいつも通り哲平を中心に集まっていた。


「私。ここを出たい。」

そう言ったのは詩音だ。


「このままここにいるのは怖い....。父さんや母さんだって心配してるかもしれない。それに文香もまだ見つかってない...。もしかしたら助けを求めてるかもしれないのよ??私は助けに行くべきだと思う。」


文香が、見つかっていない??


文香とは幼稚園の頃から小、中、高と全て同じだった。まあ小学3年生までは一回も同じクラスになることはなかったのだが。


家も歩いて2分で着く近さである。いわゆる幼馴染というやつだ。


日頃から文香は早起きしていて、僕よりもや一において前に学校についていたはずだ。なのにどうして文香はいないのだろうか。


まさか彼女もあの人ではない何かに変わってしまったのか??


その時頭にさっきの赤目が浮かんだ。

そんなわけ...ないよな。

ないと信じたい。いや、信じるしかないのだ。


「詩音、お前の気持ちはわかるが流石にリスクが高すぎる....。今は浅賀先輩に従ってここにいた方がいい。文香だってどこかに避難してるのかもしれないだろ....」

哲平は冷静に言った。


「でも‼︎文香は学校にいたのよ??じゃあどこに避難したっていうの??」


「それは....」

僕らの間をしばし沈黙が包む。

最初にその沈黙を破ったのは優馬だった。


「なあ、今夜少し外に出ないか??」


「おい正気か??外ではまだ奴らが暴れまわっているんだぞ??」


哲平はやはり反対のようだ。


正直のところ僕も反対したい。あまりにもリスクが高すぎるし、文香がどこにいるかもわからない....。


でも、これで彼女が取り返しのつかないことになったら、僕はもう自分を許せなくなってしまう気がする。


小学校の頃。僕は友達を作るのが下手だった。輪の中に溶け込むのが難しく、話すことはあっても、人と話すのを恐れ、自分から話しかけたりはしないような子だった。


そのせいかクラスの中心人物からは嫌われ、いじめのような扱いを受けていた。


そんな学校生活が本当に辛かったし、何より自分自身が嫌いだった。


だから学校に行かな言い訳を適当に作ってはおばあちゃんに良く怒られてた。


そんな僕をおばあちゃんは叱りながらも優しくしてくれたっけな〜


でもそんなひどい日常から僕を救ってくれたのは文香だった。


小学四年生の校外学習の班を決める時、誰も誘ってくれず一人で下を向いていた僕を、彼女は満面の笑みを浮かべてこう言った。


「田鶴君!!良かったら一緒に回ろう!!きっと楽しいよ!!」


あれを境に僕の生活は変わった。

同じ班だった文香と他4人との中が深まり、いわゆるグループに所属することができたのだ。


僕にとってあの時の笑顔は忘れられない。

まるで太陽のようだったあの輝きを。


なのに僕は、彼女になに1つ借りを返せていない。それどころか日頃から迷惑をかけてばっかりだ。


なら今度は僕が借りを返すべきなんじゃないか?僕がやらなきゃいけないんじゃないのか?


「僕は....」


「僕は、文香を助けたい。」


「田鶴.....」

哲平は少し悲しそうだ。


「ごめんね哲平.....自分でも危険なことはわかってるんだ。でも、僕は彼女がいなくなることが怖いんだ。友達がいなくなるなんて、あまりにも辛すぎるんだ.....」


「全くの同意見だね。私も友達がいなくなるかもしれないのに平然と生きていけるほど無感情な人間じゃないよ。危険かもしれないけど。一緒に頑張ろうよ!!」


「詩音...ありがとう!!」


「俺も賛成だ。文香がものすごく心配だし、家族の安否も確かめたい。制御シールが付いているとはいえ、一応俺らはみんな能力持ちの怪傑だ。何かがあったらみんなで力を合わせて切り抜ければいい。そうだろう??」


「うん!!優馬、本当にありがとう!!」


「俺は正直、反対の意見を曲げるつもりはない。でも、いつも周りに流されて頷いてばっかりの田鶴が自分から提案してきたんだ。それを断れるほどの図太さは俺にはない。行こう、文香を助けに。ただし危険だと思ったらすぐ引き返すからな。何より安全第一だ。」


「わかった!!哲平ありがとう!!僕のわがままに付き合ってくれて..」


「当たり前だろ、親友じゃねえか。」


「てっぺぇぇぇぇぇぇぇ」

あまりにも嬉しくてつい抱きついてしまった。本当にいい友達を持ったと思う。


「おっ、おい!!離せって気持ち悪い!!」

口ではそう言いつつも、哲平は嬉しそうにしていた。


「ちょっとあんたたち、そう言うのは後にしてまずはちゃんと脱走計画のことを考えるわよ」

呆れた顔で詩音が言う。


「すみません...」

僕と哲平は声を揃えた。


やるからには絶対成功させる。

待っていてくれ文香、絶対にここに連れてくるから。


お腹減った...

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