違和感と危機感
今回は少なめです!
浅賀先輩を先頭に僕らは進む。
今までとは違う圧倒的な安心感。
さすがにさっきの出来事を引きずってはいるが、少しづつ落ち着きを取り戻してきている。
だとしてもやっぱり哲平には無理させたくないし、これ以上迷惑をかけるわけには行けないので速やかに目的を達成して学校に戻りたいところだ。
住宅街までは残り約700メートル。
決して遠いという訳では無いが、この状況下に置いては少し長く感じる距離だ。
この距離を一気に縮めたいところだが、哲平を気づかいながら瓦礫をかわし浅賀先輩の速さについて行くだけでも相当難易度が高かった。
彼はスピードを緩めることなく僕らの先頭を歩く。おそらく何も怖くないのだろう。
生まれた時からものすごい才能を授かり、エリートで常にトップの人生を歩んできた彼に、自分より下のものや、自分が畏怖するものなんてものはないのだろう。
その背中には迷いがない気がした。
見慣れたコンビニや牛丼屋が崩れ、瓦礫まみれになっている風景に唖然とする暇すらなく僕達は進んだ。
住宅街から約200メートルくらいの所だった。
浅賀先輩が立ち止まったのだ。
「どうしたんですか??」
優馬が息を切らしながら聞く。
何かがおかしい。
おそらくこの違和感に気づいたのは浅賀博人ただ1人だろう。
進む度に嫌な予感はしていたが、あまり重きを置いていなかった。
よくよく考えたらおかしいことだらけだ。
なぜ死体が1つもないのか、瓦礫の量がどんどん増えていくのか。
そして彼はひとつの仮説を立てた。
もしこの仮説が正しいのだとしたら、
おそらくこれは自分たちが想定している事態よりも数倍とんでもない状況に置かれているのだろう。
だがそれを知ったところでやることは変わらない。今はただひたすら、その説が間違っていることを信じて走るのみ。
博人は止めた足をまた動かした。
モチベ上がってきました