プロローグ1赤
中学を卒業しこの春から一人暮らしを始めるための準備をしていた3月のある日それはとうとつにおこった。
「桜、引越しの準備は終わったの?」
「ああ、もう全部終わったよ」
「そう、じゃあちょっとお客さんが来るからお茶菓子買ってきてくれない?」
「いいよわかった」
弁当とお茶菓子を買って帰ってくるともう来ているのか玄関に靴があった。
居間に入ると椅子に俺と同い年くらいの女の子が座っていた。
「こんにちは」
「あっこんにちは!」
「ほら、桜も座りなさい」
母さんに言われその子の前に座る。
「ところでこの子誰なの?」
「この子は赤嶺山茶花ちゃんよ」
「はじめまして赤嶺山茶花です!この春から桜君と同じ高校にかよいます!!よろしくっ!!」
「ああそうなんだ」
「それであなたの許婚候補なのよ」
「へー・・・・・・はぁ!?」
「声が大きいわよ」
「大きくもなるわ!!どういうことだよ許婚って!!」
「言葉は正しく使いなさい。許婚じゃなくて許婚候補よ」
「どう違うんだよ!」
「ようするにここにいる山茶花ちゃんの他にも6人ほど候補がいるってことよ」
「そんな話初めて聞いたぞ!」
「そりゃそうよ言ってないもの」
「なんで言わないんだよ!」
「ぶっちゃけめんどくさかった」
「身も蓋もねえ―――!!」
母さんの性格は知ってたけどここまでむちゃくちゃだとは思わなかった。
「まあ決まっちゃったことなんだし受け入れなさい」
「そんな簡単に受け入れられるかよ・・・」
「山茶花ちゃんのこと気に入らないの?」
「えっと・・・」
あらためて山茶花ちゃんを見るとかなりの美人だ。可愛いというより綺麗、いやかっこいいと言ったほうがいいだろう。スポーツでもやっているのかひきしまった体をしていてプロポーションもいい。
「私の事いや?」
「そんなことはないけど・・・」
「じゃあ文句ないわね」
「山茶花に文句はないけど母さんにはあるっつの」
「言って御覧なさい聞き流すから」
「聞き流すのかよ!」
「それじゃ私はしばらく出かけるから二人で話しててね」
そういって母さんは出かけてしまった。
「えっと・・・山茶花は俺の事知ってたの?」
「うん!小さい頃から父さんと母さんに聞かされてたからね」
「他に候補がいることも?」
「もちろん知ってたよ」
「なんかこう・・・いやだとか思わなかった?」
「思わなかったよ、だって写真とかビデオとか見ていい人だって知ってたからね」
「そんなの見てたの!?」
「うん、桜君のお母さんが送ってきてたからね」
「そんなことしてたのか・・・」
「実際に会ってみてもいいなって思ったよ、だから他の候補には絶対負けないからね!!」
「他の人たちにはあったことあるの?」
「あるよ」
「知らないのは俺だけかよ・・・ところで他の人ってどんな奴らなの?」
「うーん・・・それは私からは言えないなぁ・・・」
「ちょっとだけでもいいんだけど」
「まあ明日になったら一人あえるから」
「そうなの?」
「うん、入学式までに一日に一人ずつ会いに来るようになってるから」
「なんでそんな面倒なことを?」
「桜君のお母さんがその方が一人ずつじっくり紹介できるし面白いからだって」
「明らかに後半が本音だな」
「そうだね」
「まあ、とりあえずこれからよろしく」
「うん!よろしくね!!」
登場人物紹介
神樹桜
主人公 15歳 6月13日生まれ 身長177
成績は上の中 家事は人並み 突然現れた許婚達に振り回される苦労人
神樹竜胆
主人公の母 41歳 9月24日生まれ 身長165
この小説におけるナンバー2 ちなみにナンバー1は彼女の母 家事は料理と洗濯は人並み 掃除はプロ級 笑いながらとんでもないことを言ったりやっちゃったりする人
赤嶺山茶花
許婚その1 15歳 7月16日生まれ 身長162
主人公の事は割と好き 成績は下の中であまりよくない 家事は壊滅的 剣道部で中学の頃は全国大会優勝の経験あり おおざっぱで人の話を聞いてなかったりする