余談 / 神々と魔法
神々とトロール
神々はほとんどが土地ごと部族ごとに違います。
ただし、創世神話として古き世界からの移住は共通しています。
内容は、様々な小世界が滅んだ後、多数の世界の神々が滅びに対して協力し、小世界の欠片を今の世界へと“杭”を打ち、大地と法則を縫い止めた、というものです。
これは事実であり、現在進行形で世界の再構築が行われています。東西南北の果てから様々な小世界の欠片が流れ着くそうです。(これ故に地形が奇形であったり、土地1つ越えると人種から風俗まで変わっていたりします)
多種多様な人種は“その世界の支配的種族”や“神々の奉仕種族”の生き残りです。
ただしトロールのみ別格であり、再構築世界の核となる地下空洞に作られた“常闇の国”をかつての姿で残しています。
大神/杭の担い手
現代で多く信仰を集める存在達です。
トロールの住まう地下空洞“常闇の国”、その上に世界を縫い止める役割を担っています。大神はほとんど神話群の主神達です。彼らは信徒に力を貸すことをのぞいて、“杭”を維持することにその力を使い続けています。
ほかの神々は大神の補助するもの達から、零落して力を失うもの、魔術師に力を貸して己を維持するものなどがいます。皆、大神ほどの力は持ちませんが、自由に行動が可能です。
魔法/杭の抜き手
魔の理で持って、自らの宇宙を展開する自在法。虚無から法則を作り出す神々の業です。かつての“魔法”は神々が一般的に使う技術でした。かつて古い神々は相手の法則と自分の法則がぶつかり合わせて戦いました。そのせいでもっとも根源的な多元宇宙を維持する法則が崩壊し、世界は砕け散りました。
故に、現在はすべての神々が禁忌として制定し、世界から放逐され封じられています。
また、大神が必死に縫い止めている世界法則ですが、世界法則を改変する術である“魔法”が使われると干渉されます。下手をすれば大地をつなぎ止める“杭”は抜け、その地域は混沌へとこぼれ落ちます。
大神達から、禁忌となった“魔法”を求めるものを“邪術師”として追っています。その余波が悲惨なことから現地に住まう人々からも基本的に賞金首や犯罪者として扱われます。それでも、なお、渇望を埋めるために“邪術師”は皆、“魔法”に至らんと手を伸ばします。
神々の名鑑
畑の男
人を支える大神。ノエン地方、最大勢力を持つ大神です。
畑の男は農耕神であり、名前を隠しています。真の名を知るのは歴代のアルディフ神官長のみです。様々な作物を育てる神で、作物の数だけそれを守護する娘達がいるそうです。
畑の男を主神として奉る神殿はノエン付近にしか存在しません。ですが、農耕神として万神殿にこっそりと存在します。
妻として獣の母がいます。獣の数だけ息子達がいるそうです。息子達はやはり獣達を守護したり、獣そのものであったりします。
信心深い農家には娘の一人を送ることもあります。また冒険者や畜産家には守護動物として息子を送ることもあるでしょう。
獣や作物の娘達を模した仮面による演劇も行われています。
アルディフでかつて有名だった仮面演劇もこれを起源としています。
四辻の染みポルドゥ
祟り神。四辻、境界に現れ、人を食らう妖魔の類。詳細は不明。
常闇と洞窟の女神ウルマグ
大地を支える大神。トロールの主神。闇の太母、冥界の女王。世界の奥にある深淵そのものであり、高位のトロールですら、その正しい姿を表せるものはいない。相手が見たい形に見えてしまうためだ。
その本質は慈悲、冥界で死者を眠りにつかせるという。
トロールの主神であるため、機械の雷神ザオウを作り上げた勢力とは古くから、争い続けたという。
機械の雷神ザオウ
南を支える大神。機械仕掛けの神で、雷光や閃光などを操る。やたらメタリックなデザインを好みます。
かつては神を持たぬ人類達が作り出した巨大な機工、全次元世界における最大級の決戦兵器“トロールバスター”の一体です。
有機物である体を機械へと変えることを推奨しています。高位の司祭であればあるほど人体を機械化しています。
氏族の他には時計職人、一部の魔術師や魔族などに信仰されています。
ベイラを抜けた南方のジャイークでかなり信奉されています。
幸運の女神メウシェーラ
人を支える大神。運を呼び込み、不運を払う存在です。
信者や助けが欲しい人は皆、黄色い巾着に賽子やコインなどを入れて御守りとして所持しています。盗賊、傭兵、一般市民まで様々な層に信仰されています。
気まぐれで移り気が激しい彼女の気を引くため、神殿には様々な捧げものがされる。
金貨や宝石を始め、人々のジンクスに寄っては茶柱に四つ葉のクローバー、兎の足など。
大概は賭け事なども小さな神殿で行われます。どうみてもそこは酒場兼宿であり、神官はだいたい宿の主人か、その元締めです。
彼女の神殿はどこの街にもあります。
拝火の魔術神ガルケゼラ
火を媒介とする魔術の神です。魔術師達と契約している秘神です。灯火やかがり火、かまどなど、人の使う炎と知恵を司ります。
僧侶は滅多にいません。ほとんど魔術師が彼と交渉するために呼び出されます。その僧侶となったものは、彼の代弁として一部の魔術師達に大切にされます。
泥の獣魔
神というよりは妖魔といった怪物です。泥が人や獣を模造して動く存在達です。かつて使い魔として作成された“人工神格”です。行使が簡単なので、多くの魔術師が契約しているようですが、その力は比較的弱いものです。
ゴルナ神族
武神イーデン・ゴルナを主神とする神群。ゴルナ兄弟以外、身内というわけではないが同一世界出身なので共に奉られることが多い。
再起の武神イーデン・ゴルナ
人を支える大神。一度虐げられてからの勝利するもの、ゴルナ神群の武の長。ゴルナ兄弟の末子。冒険心溢れる青年として描かれます。
神話ではよく失敗し、罠にはまり、誤解され、強大な敵に打ち倒される。それでも立ち上がり、逆転や勝利、あるいは和解する。敗北から立ち上がるものがイーデン・ゴルナです。
復讐の女神ガーガ・ゴルナ
血塗れの女とも呼ばれる復讐の神。表立っての信仰はされないが兄神の神殿には必ず彼女のための祭壇があります。
鎌を持った女の狂戦士の姿で現れるという。今まで彼女が殺害した神々や人間の骨を椅子の代わりにし、壷から溢れるほどの血を溜め込みます。
血は滴れば人の顔を作り出し、呻き声や怒りの声を上げる。復讐する者に力を貸すが、必ず破滅が待っているという。それでも信仰するものは絶えない。
治癒の神ラアト・ゴルナ
怪我と病を治癒する神。ガーガ・ゴルナの双子の兄である。神話でも今でもガーガ・ゴルナの行いに心と胃を痛めているという。
癒しと蘇生の奇跡を与える希有な神でもある。彼の神殿はいわゆる施療院や救貧院としての役割を持つ。冒険者向けに喜捨によって、蘇生の奇跡を行うため、迷宮が現れると同時に彼らは集まってきます。
なお、アルディフは“畑の男”信仰が強いため、イーデン・ゴルナと共にまつられているだけで、自身の神殿や神官は存在しません。
貪る者ジャオ・ギスタ
空を支える大神。死神にして人食いの神であり、敵対者や親族を食うことで力を取り入れることを推奨している。
一般的に邪神であるが、先祖から力を得る相続を司る神である。
肉親を食えぬ心弱い者達に別の形(葬式の振る舞い)により力を分け与える。そして正統な相続を阻害する者達から相続を守る。ゴルナ神群に属するため末子相続を推奨する。
葬儀を司る者以外がジャオ・ギスタを信仰している場合は邪悪な存在である。
“死の司”カラナザール
ゴルナ神群の一柱。死後の刑罰が生まれる世界、地獄を司るもの。
本来、処女神、地母神、死神。三つの顔と名を持つ神であったが、処女神、地母神は争いの中で死に絶えて、死神の相のみが残ってしまった。死のカだけならば強くなったが、その本質が生命の流転であったため、彼女は零落し、本来の力をうしなった。
そしてそのまま、神々の戦いへと向かい、己の相を討ち滅ぼしたトロール達と戦い封じられた。




