表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

かすかなつながり

作者: このか

「やめちゃうって、ほんとだったんだね

あたし、さ

ずっともっと仲良くなりたいと思ってたんだ。

まあ、もう叶わんくなっちゃうけど

…ざんねんだな

ばいばい。」



そう、あたしはあの子がお気に入りだったの。

部活ちゅう、目が合う。

ボールをわたすと、目をみて、ありがとうございますっていう。

そして、ゆっくり目をそらす。


自惚れかもしんないけど、目が合うとか、そうゆうことって

相手も少なからず…?っておもっちゃうの。 あたしはただのせんぱいだし、君はただの後輩。

それだけだけど、それだけなのに…

もどかしくて もっと知りたくて、知ってほしくて。

けど、なんにも勇気がなくてなんにもできなくて。

それで、そのまま半年。

それで、急に、その話。

ほんとに?え?なんで? 頭のなかが ?マークでいっぱいになった。

やめる、って

あたしたちの唯一のつながりがなくなるんだって。 あーあ、ほんとになんにもできんかったなあ。

好きだったんかなあ。好きになれたのかもしれないなあ。

もっとお互い、知れてたら…もっとつながれてたら




ほとんど、話したこともないのに ほんとに最後だ、って思ったら

ちょっとだけなけなしの勇気がでた。


せいいっぱい、無理して

せんぱい風を吹かせて。 忘れられないように。君に。




――いや、違う 自分が忘れられるように、だ。



ちょっとだけ、目が潤んだ。 泣くなんて、ありえない

なんにもなかった。できなかったんだから。






ずっと、気になってた。

それはたぶん、俺も向こうも。 けど、ずっとなにもなかった 気になるとはいっても、声をかける勇気がなかったんだ。

なさけない と思う けど、

言い訳させてもらえば 相手はせんぱいだし、上の学年での評価も知ってるし なんか、俺なんかじゃ…って思ったんだ。

なおさら、なさけないな、俺


だからこそ、いつも目をあわせることが嬉しかった。

絶対、俺からはそらさないようにしようと した。

それが、ほんのちょっとの、なさけない俺の、意思表示になれば… って、そんなの伝わるわけないよな。 だけど…せんぱいも、そらさない?

いや、正直 目があうだけで 嬉しかった。


そんな、かすかな糸でつながっていた関係を俺は壊してしまった。

部活をやめたんだ。 理由はいろいろだ。

辛かった部活のなかでただひとつ、せんぱいのことだけが 気掛かりだった。

最後に部室に、 私物をとりにいった。

そのとき、急に声をかけられた。

聞きなれない、でも どこか落ち着く声。

明るいけど、無理してる。それがわかった、「ばいばい」。

そんな、そんな 寂しそうな声で言わないでください

――もう、俺はいなくなるのに、 俺が、部活を、かすかな糸をきったのに。



…「せんぱいっ」

あなたの声で勇気がでたんです。あなたのことばで。あなたが、俺の背中をおしてくれた。


伝えたい。この、想いを




――俺も、そう想ってました。


「俺と、仲良くなってもらえませんか?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ