赤い雪
真っ白な雪は
いつの間にか赤く見えた。
聞こえるのは遮断機の音。
顔に付いた水滴は
雪が溶けた透明な水ではなく、
真っ赤な血だった。
遮断機が開いたと同時に
周りがだんだん騒がしくなってきた。
「大変だ!!線路に人がとびこんだぞー!」
そっか…
今、目の前で
死んだんだ…………………。
「君!!大丈夫かい?」
知らない……おっさんが
俺の肩を揺らした。
「………はい。」
なんだ今の声……。
鼻で笑った。
笑えたかも……分からない。
今さっき、
俺は……
彼女を殺しました。