十五話/僕は、光のさす方へ
ガシャン!!
大きな音が背中で、なっていた。
体が、宙を浮いた。
真っ赤な夕日が、また、徐々に、紫からブルーへと変わっていった。
僕は、深海を泳いでいた。
光のさす方へ向かって。
何故、こんなに、スイスイと泳げているのだろう。
僕が、横を見ると、そこには、人魚がいた。
微笑んでいる。優しく、強く、強く、微笑んでいる。
そして、僕の手を取っている。僕達は、手を繋いでいる。
僕達は、一緒に泳いでいるのだ。けれど、人魚が僕を、少しリードしてくれている。
下を見ると、底の見えない様な暗い深いブルーが、広がっていた。
僕を捕まえていた、深海。
けれど、僕は、その深海から、出ている。
一瞬、深海から暗い深いブルーが、僕の足を掴んだ。
けれど、僕は大丈夫だ。足で、暗い深いブルーを蹴っ飛ばした。
僕の周りにいるのは、人魚と、淡い綺麗なブルーだ。
そして、光のさす方をとりまくのは、エメラルドグリーン。
僕と人魚は、笑いあう。
そして、上へと、光のさす方へと、向かっていく。
あぁ、僕は・・・――。
僕は、大きな痛みと共に、重力に引かれていく。
柔らかな所に落ちていった。
そして、その瞬間、僕には見えた。
僕の周りを取り囲む、エメラルドグリーンを。
いっきに、引き上げられる感覚を。
そう・・・僕は、光を見たのだ。
そして、感じた。
眩しい太陽を。
冷たくも、澄んだ空気を。
海の流れを。
そして、彼女の愛しい体温を。