My impatience
大学にようやく入れたと思えばもう大学3年生の夏。そろそろ就職活動を始めなければならない。私は求人サイトや就職サイトを見ながら自分にはやりたいことが何もないことに気づいてしまった。
大学も文学部に入ったものの、ただただ授業をこなして毎日を過ごしているだけだった。サークルにもボランティアにも興味がなくて何もしていないし、アルバイトも家の近くのケーキ屋さんでケーキを作っているだけだった。
私は今までの学生時代、何を頑張ってきたんだろう。何をして生きてきたんだろう。周りのみんなはサークルに参加して大会に出場したりボランティアで経験を積んでいたりして輝く部分がたくさんある。でも、私には何1つないではないか。
私は一気に焦りを感じて冷や汗をかいた。何か今からでも始めないといけない。みんなにもっと置いて行かれてしまう。私を採用してくれる企業が1つもなくなってしまう。
空きコマの時間に私が必死になってパソコンと向き合っていると、クラスメイトの恵美ちゃんが心配そうに私の顔を覗いた。
「どうしたの?美咲ちゃん。そんな鬼の形相でパソコン見て。何か問題発生した?」
私は彼女の声にようやくハッとして肩の力を抜いた。
「私さ、今までの学生時代で何も頑張ったことないなって気づいて。今からでも何かしないとって必死なんだ。なんかもうどうしたらいいのか分からなくて。」
「ふーん…私もサークルとかボランティアとかやってないな。」
恵美ちゃんは購買で買ってきたカフェラテをストローで啜りながら言った。彼女は私と真逆で余裕な表情。私は彼女が羨ましくてたまらなかった。
「恵美ちゃんは不安じゃないの?私たち、2年後には社会人にならないといけないんだよ?何か特別じゃないと採用なんてしてもらえないじゃん。」
どうして私は恵美ちゃんに当たってるんだろう。私は恵美ちゃんの顔も見ることができなかった。しばらくしてから恵美ちゃんが口を開いた。
「心に余裕がないと何事もうまくいかないよ。」
私がようやく彼女を見ると、彼女はとても優しい表情をしていた。それを見たら、一気に涙が込み上げてきた。恵美ちゃんは私の背中を擦ってくれた。
「美咲ちゃん、アルバイトずっと続けて頑張ってきてたじゃん。それに大学の授業も1回も休んだことないし。それってすごいことだよ?それが美咲ちゃんの頑張ってきたことなんじゃないかな。当たり前のことじゃないんだから。」
私が何も言えないでいると恵美ちゃんは話を続けた。
「それに、まだ夏なんだからいろんな企業を見てどういう仕事があるのかを知って、自己理解に繋げていくだけで十分だと思うよ。他の人と比べなくていいんだよ、自分の人生なんだから。」
恵美ちゃんの言葉1つ1つが私の心に沁みた。私はどうしてこんなに生き急いでいたんだろう、と不思議に思ってならなかった。将来への不安が先走って心の余裕が全くなくなっていたのだ。
「恵美ちゃん、ごめんね。それに、ありがとうね。」
私がようやく声を出せるようになると、彼女はニコニコ笑って私を見た。
「いいのいいの。美咲ちゃんはもう十分頑張ってるんだからさ。」
「恵美ちゃん…恵美ちゃん大好きだよー!」
私が思わず抱きつくと、彼女は「暑苦しいってばー!」とゲラゲラ笑った。
私たちの人生は焦るには長い長い道のりなんだ。だから今目の前にある時間を大切に包み込んで過ごしていけたらそれで良いんだ。私は恵美ちゃんと笑いながらそんなことを考えるようになっていた。
完
人生は走り続けることはできない。走り続けたら息が切れて進めなくなってしまう。
将来の不安が募って今の自分をどうにかして変えないといけない、自分はもっとすごくならないといけない。こんな気持ちが広がると、だんだん苦しくなってきますよね。
だから私は思うんです。1日生きることができた、それだけであなたはもう十分頑張っているんです、と。
生き急がず、心にゆとりを持って、まったりのんびりいきましょう。人生はなるようになります。みなさまにもそんな気持ちで人生という旅を思いっきり楽しんでほしいと思いますね!




