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第4話 ここから始まるアイドル人生

そして2023年8月のよく晴れた暑い日。

『ついにこの日が来た!8月5日!!』

この日、ファイナルステージ進出者114名のお披露目が東京品川で行われた。

夢のようではあるが私もその1人だ。


「これと、、これと~、あ!お父さんからもらったチースターロウのTシャツも入れて。」

花は大きなバッグに合宿に行くための荷造りをしていた。

このチースターロウのTシャツはお守り代わりに持って行こうと決めていた。

「よし!これで忘れ物はないな!」

バッグを持ってリビングに降りると

「花~お父さんが駅まで送ってってくれるって」

「ありがとう!」

こうして最寄りの駅に送ってもらい電車で品川に向かった。


会場となる建物に着いて入口の長いエスカレーターを上がるとスタッフの方にメイクルームに案内された。

「候補者の皆さんはこちらでーす!」

言われるがまま部屋に入ると

そこはかなり大きな広間になっていて、先に着いていた候補者の女の子達がお披露目会本番まで各々にお弁当を食べたりメイクをしたり、仲が良くなるのが早い子達は楽しそうに交流を深めていた。

あとから考えるとここで親睦を深め、仲良くなった子達も多かったように感じる。

私は少し着くのが遅かったのか、会場に着いて早々自分の名前の書かれたネームプレートを渡され軽くメイクさんにお化粧や髪の毛を整えてもらった。

そのあとすぐにステージの袖に114名が並ばされ、関係者の皆さんや一般応募で来場に当選したファンの方々の前で自己紹介をするステージへと向かう。今までにないほど私の足はガタガタ震えていた。


『ファイナルステージ進出者お披露目イベントにお越しいただき誠にありがとうございます』

司会の方の声が会場に響く。

大きな広い客席は例えるなら映画館を2つ足したくらいの広さかな。かなり大きなステージだ。

そして客席を見ると雑誌記者風の方やYouTubeなど動画配信サイトに配信するためのカメラ、

このプロジェクトへの出資者の皆様、そして応募に当選された一般観覧の方々で埋め尽くされすごい盛り上がりを見せていた。


なんか本当にアイドルみたいだ!昨日まで私が見ていた風景は向こう側からだったのに今はステージの上にいるのが少し戸惑う。

「うわぁこんなに大勢の人の前で歩いて止まって挨拶!?もう緊張でわけがわからないよぉ(•ᴗ•; )意識飛びそう > <」

でもできるだけ堂々と印象づけられるように挨拶しなくっちゃ!


『それでは皆様お待たせいたしました!温かい声援でお迎えくださいませ!』

そして軽快な音楽が流れ始め司会の方の読み上げる候補者の名前とともに1人づつレッドカーペットの上をランウェイし自己PRを述べていく。

『よろしくお願いします!』

緊張からか一言を言うのが精一杯な子

『ファイナルステージ!よっしゃ行くぞー‼️』

という元気いっぱいに挨拶する子だったり。

今はみんなまだ普通の女の子だ。

コメントが初々しい。


そして私も

『張り切りチャイティーヨ!よろしくお願いします!』

私は頭が真っ白になりながらもなんとかランウェイを歩ききった。

やがて114名全員の自己PR付きランウェイが終わり、お披露目イベントは終了したんだけど、

私たちはお披露目会のあと、直ちに合宿形式の審査。ファイナルステージファーストへと向かうことになる。


お披露目が終わるとすぐに大型バスに乗り、

アイドル候補生達はファイナルステージファーストに挑むため合宿所に向かった。

合宿先は熱海。かなり大きな施設だ。

ここで全員が寝食を共にして合格を目指す。


目的地に着きバスを降りると、

『うわぁさっきは緊張でよく見てなかったけど可愛い子ばっかりだ('ω' ;)』

元々私はアイドル大好き少女なため可愛い子には目がないのである。

『あの人すっごい可愛い!大人っぽいし私よりも年上かなぁ︎( * ֦ơωơ)』

もうすでにアイドルなのではないかと思うような候補生達に見とれていると、

「みんな集まったかな?皆さんにはこれから5日間合宿を行ってもらいます。」

と、プロデューサーの人が挨拶をした。

「ではまずは1人づつ自己紹介からお願いします!」

「はい!千葉県から来た佐藤花です!よろしくお願いします!」

私は元気よく挨拶をした。他の子はみんな可愛いし大人っぽくて緊張するなぁ。

全員の挨拶が終わると、その後すぐスタッフの方が施設内の説明をしてくれた。


「ここが第3ボーカルレッスン会場で、向かいの部屋が第4ボーカルレッスン会場です!レッスンはグループ毎の分刻みなので迷わないようにちゃんと頭に叩き込んでおいてくださ~い!」

『ふぇ~こんなにポンポン進まれても覚えきれないし頭追いつかないよぉ(>ω<;)』

アイドルとはこんなに目まぐるしいものなのか。

同じチームのメンバーの顔や名前も覚える間もなくすぐに施設内を把握するためレッスン会場や食堂など施設内の地図と照らし合わせながらスタッフの方が案内してくれているのを、必死に覚えるよう善処した。

1日目は合宿会場に着いたのが夜ということもあり施設内の案内と説明で夕食になった。


私達アイドル候補生達は施設内の案内の前にグループ分けをされていて、夕食はそのグループのメンバー同士でテーブルに座る。

『ねぇ?みんないくつ~?』

『21~』

『私も21~!』

『あ、でも今年22の歳だ!』

『私、埼玉から来たよ』

『私は神奈川県!』

ここで今日初めて同じグループの女の子達と年齢の話や出身地の話で少しだけゆっくりできた気がした。


『ドーン‼️』

食堂の大きな窓からは8月ということもあり、静岡県内のどこかで上がる花火大会のきらびやかな光が見えた。まるでファイナリスト達のファイナル審査進出のお祝いと、この合宿審査への歓迎をしているように。そしてその花火は彼女達の張り詰めた気持ちを少しだけ和らげていた。



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