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睡眠学習

 火が消えると悟った時、どういう訳か火が消える。そうしたことを全く疑わないのであれば、この授業中、見知らぬ土地の歴史は、多分もう消える。分からないものは分からないままに。盛大な夢を見るには取材が足りなかったらしい。


 だから、分かる範疇で私は目を覚まし、語るに不足な完成度の今朝の断片を整理はしない。今朝なんて、今朝が初めてではないから。

 そういう訳で、私は記憶喪失という大層な語を授かるまででもないし、ちょっと自己紹介をすれば済む話である。多分この教室の半分は記憶喪失であるし、わざわざ人にそう名乗ることが面白くなる程の厄介な状況にはまだ無いのである。エアコンのおかげで偶々そうなっていた。


 ところで、あらゆる可能な空白に「彼女を除けば」と書き込んでおけば、若干面白味を生じるというのが今朝の正体である。しかし今朝とは今私の指の動く範囲であるから、あなた、或いは君というところの誰か、初対面を欺くための要因ではない。現に私というものも、まだそれ程に用意されていない。私自身、欺かれる必要は無い。

 という具合に軽薄な私はさておいて、隣の少女である。ロマンチックではない意味においてウソもホントも見当たらないという私の、真逆の意味である。


 そんな彼女を何らかの形で必然的に認識するために、私は矯正されねばならなかったが、そうした文脈を私自身が携えていないので、まだ少し待たなくてはならない。つまるところ、私は彼女を疑う必要性を持たない位に希薄であるから、彼女は恐らく存在していないのである。

 幸い存在しないのはどちらであってもいいはずなので、もうしばらくして主人公が変わるのを待てばよかった。

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