Mission8 逆襲
「ケイジュ君これはどういうこと?」
「………僕の声真似の人じゃない?エゴさんもひどいなぁ、そこまでして僕を追い詰めたいの~?」
もう逃げることは不可能だというのに藁にも縋る思いで無茶な言い訳をするケイジュ。
「もう逃げられないってわかってるんだろ、コメント欄見てみろよ」
エゴの言葉に従い、ケイジュは恐る恐るコメント欄を見た。
「………!?」
【これは確実ケイジュくん…】、【指輪もつけてたよな!!】、【噓つき噓つき噓つき】
「流石に苦しいぞ、あと指輪に刻まれていた指輪のAはビオサさんの本名の頭文字だ、そし」
エゴがしゃべっている途中で違う声が乱入してきた。
「私も同じ指輪持ってるわ!!!あなたの本名の頭文字が刻まれた指輪をね!」
これまで静観していたビオサさんが堪忍袋の緒が切れ、爆発したようにしゃべりだした。
「本当は反省していたらもう1度関係をやり直したいって思ってた!口ではああ言ってたけど、本当はあなたのことがまだ好きだったし、だけど、あなたから出る言葉は言い訳ばかり!録音でも“うるさくて”って何!?指輪だってあなたの方からお揃いにしようって提案して来たじゃない!噓つき!!」
声だけでも伝わるくらい彼女は息切れしていた。それほど、ケイジュに言いたいことが溜まっていたのだろう。
「………でケイジュ君どうなの?」
「…………………すみません、彼女とお付き合いしていたことは事実です」
【いやー!!!!】、【きちゃぁぁぁぁ】、【しんど】
認めたケイジュは話し出した。
「最初は彼女とはファンとして個人間でやり取りしていたのですが、僕のメンタルが物凄く落ちている時期があって、彼女はその時に支えてくれてそこから女の子として気になるようになりました。順番はまちがえていたりと様々なことはありましたが、交際することになりました。けど、それから少し経った後、………ファンを大事にしたいという気持ちが強くなってぇ自分はそこに集中したいと思ってぇ………」
お前絶対冷めただけだろぉぉぉぉぉ!!!!!とエゴは心の中で突っ込んだ。
「だからって彼女からの連絡を遮断する理由にならねーよ、何でそれを彼女に伝えなかった?」
「いや…なんか……そのタイミングがぁ……」
その時、あ、こいつダメだと配信を聞いていたリスナーの半分がそう思った。
「………はぁ!?そんなこと言ってくれなきゃ分かんないよ!私エスパーじゃないんだよ!?……本当に呆れた。言うつもりなかったけど、このことも言います」