Mission1 万屋配信者エゴ
――カチカチカチッ――
「ねぇ、知ってる?有名人の暴露をする配信者のこと」
――カチカチカチッ――
「知ってる知ってる!最近好きだった有名人も暴露されてたんだ~、あんな事する人と思わなかったわ~」
――カチカチカチッ――
「暴露配信者の名前は確か……」
――エゴ――
「へぇー、こいつ清純派で売ってるくせに裏では結構あくどいことやってんな」
光を遮断した部屋の中で1人の少年がパソコンに向かって作業をしている。漆黒の長い髪で顏はその長い髪のせいでみえない。
「相談者から証拠は結構集まってきてるが、もっと確実な証拠も欲しいな、……あいつには会うのはだりぃけど」
少年は数分考えた末、どこかに電話し始めた。
――プルルルルッ、プルルルルッ、ガチャ――
「おい、お前に頼みたいことがあるんだが……」
――とある某所――
「やぁやぁ、アザミちゃん♡相変わらず、人に関わっていないせいか身なりが適当だね~」
太陽のような眩しい金髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ青年が少年を煽るように話しかけた。
「うるせぇ、クソ洗脳野郎、ファッションは自己満足だろ、あとちゃん付けするな!」
「アザミちゃんが女の子みたいに髪が長いからじゃん、あと僕の名前はクソ洗脳野郎じゃなくてはルイだって言ってるでしょ」
ルイと名乗る青年はそう言いながらアザミという少年に近づき、片方で顔を掴み、もう片方の手でアザミの髪をかき分けた。
「っ!眩しっ!てめぇ、何しやがる、てかちけぇ!離れろぉぉぉ!」
アザミは精一杯の力で暴れるが普段から運動を全くしないので健康的な青年の力には及ばず、拘束が外れない。
「……うん、やっぱり君の瞳は血のように真っ赤で惚れ惚れするね」
ルイはアザミの抵抗をものともせず、そのまま自身の世界に入り、アザミの瞳をジッと見つめたまま口元を緩ませた。
「……っ、いい加減離れろ!今日は要件があってお前を呼んだんだ、さっさとブツを寄こせよ!」
アザミは普段から人と関わることがないことに加え、あまりの距離の近さに恥ずかしくなり、真っ赤になった顔を隠すために本来の目的を告げ、誤魔化した。
「あー、そういえばそうだったね、君に会えたことが嬉しくて忘れていたよ」
ルイはそう言いながらハハッと笑い、アザミの拘束を解いた。そして、アザミに盗聴器を投げた。
――パシッ――
「!……相変わらず、仕事は早いな、サンキュ、これで今回の件で奴を詰めれる」
「君のお役に立てたならそれは僥倖、お話ししてたらベラベラと喋ってくれたよ」
「なにが「お話ししてたら」だ、お前の【能力】を使ったんだろ」