表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/44

10年後の世界で

「おおきいの、採れたねえ」

「みゃっ!!」

 自身の体より大きなダイコーンを持つタマに、にっこりと微笑みかけながらそう言うと、タマは嬉し気に目を細めてダイコーンを抱え直した。


 モフモフの両手が可愛い。

 猫というにはでっかいけど。


 仔猫の頃は手のひらサイズだったタマも、今や私の腰くらいまでの背丈がある。まるで転生前の世界で好きだったゲームに登場してた、直立二足歩行の猫みたいだ。さすがは魔物。

「このくらいで良いかな……」

 家庭菜園の手入れを終えて、作業道具を片付けた。柵に囲まれた小さな菜園だけど、たくさんの野菜が実っている。私って実はこういうの向いてるのかも??などとにんまりしつつ、収穫した野菜を入れた籠を持って、すぐ近くに建てられた家へ向かって歩き始めた。

「みゃ~」

 そんな私のあとを、とことことタマも付いてくる。あ~癒される。歩きにくそうなのにダイコーンは離さないところがまた可愛かった。


 ここは父であるオイレンブルク公爵の領地。

 王都よりは田舎だけれど、そこそこ大きな町の郊外に建てられた、『私』こと公爵令嬢アウローラの『終の棲家』だ。


 小さな平屋の一軒家と、小さな畑があるだけの、ほんとにささやかな住処。


 でも、私とタマが住むだけなら、十分すぎるお家だ。

ここに住み始めて、もう10年になる。ちなみに独身。っていうか、これぞ独身貴族ってやつ??(笑)


 父からは特に何も言われてないから、今後も結婚する気はなかった。

「お前の人生だ。好きにしなさい」

 10年前のあの日──殿下との婚約破棄の日──に、父はそう言って私を送り出してくれた。

散々泣き晴らした私の顔を、気遣うような優しい笑顔で見詰めながら、公爵家のことは気にするな、とも。

「ありがとう。お父様」

 まあ、もともと父には子供が私しかいなかったうえに、肝心のその私は王太子に嫁ぐ予定だったから、公爵家の後継は親戚から養子を迎える予定であった。だから、私もそこは心配していない。養子候補の従弟は優秀で良い子だし。


 そんな訳で私は、子供の頃から──というか、前世の頃から((笑)の夢だった、優雅なお1人様生活を始めた──という訳だった。


 まあ、正確に言うと飼い猫……ううん、『家族』であるタマと一緒の、嬉し楽しい二人生活だけれど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ