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神女の実力

「待たせたわね、親友!!」

 追いすがる騎士団を引き摺るようにして、キャスリーナ・グスタフ男爵令嬢は王子の寝室へ入ってきた。その姿はボロボロながらも歴戦の戦国武将というか──まるで三国志の曹操みたいでむやみやたらと迫力があった。


 うう~ん…確か彼女、一応『可憐な』ヒロインのはずなんですけど…??


「キャ…キャスリーナさん…?」

 ミィナの背後に匿われていた私が驚きつつ顔を出すと、キャスリーナさんはパアッと顔を輝かせて前へ進み出してきた。もちろん、歩みにつれて騎士団もズルズルと引き摺られる。大の男を十数人、ものともせず引き摺って歩くとか…どんだけ力強いんだよ??


 たぶん、ゲーム画面で見たら、ステータスMAXなんだろうな~


「そうは見えないでしょうけど、この方は神女様です。大丈夫ですから、騎士団の方はお下がりください」

 絵づら的にも状況的にも、あまりにもカオス過ぎて、このままではどうにも埒が明かない。という訳で、気を利かせたミィナが、任務を全うしようとする騎士団の皆さんに説明して引き取ってもらった。

「はぁ~やっと離れてくれた。んもう、しつこいったらなかったわ…」

「うん…彼らもこれが任務だからね…ていうか、もっと穏便に入城することは出来なかったの?」

 少々呆れながらそう問い掛けると、彼女は『説明が面倒だったから』とかなんとか、理由にもならないことを口走りながら視線を泳がせた。

「キャスリーナさん……??」

「とっ、とにかく!!神女の私が来たからには、もう大丈夫だからね!!!??」

 怒気と説教の気配を感じ取ったのか、慌ててキャスリーナ嬢は私の言葉を遮った。

 その様子は悪戯を咎められるいたずらっ子のようで──改めて思うけど、なんだか憎めないわね…この子…??と、何となく親目線で彼女のことを見てしまう。ま、前世でも私、子供産んだことはないんだけど。

「えっ、ていうか、それはつまり貴女、神女の覚醒を済ませたっていうの??正規ルートを通らずにいったいどうやって…」

「そこはゲームの裏の裏まで知り尽くしたこの私に、不可能はないってことで!!」

 テヘペロって顔で軽く誤魔化してたけど、その姿を見る限り相当苦労したんだろう。なのにそれを気にさせないよう、こんなに明るく振舞ってくれて。

 王子のためとはわかってるけど、心から有り難いって思えた。

「……ありがとう」

「えっ!!いや!!別にこれは、アンタのためじゃなくて…!!かっ、勘違いしないでよね!!??」

「あら。先ほど、親友のためとおっしゃってましたよね??それってアウラお嬢様のことなのでは??」

 自然と零れた私からのお礼の言葉に、キャスリーナさんは顔を真っ赤にして否定する。が、速攻、ミィナに突っ込まれて口籠った。耳まで真っ赤になってる。うーん…ホント解り易い。

「とにかく!!!!!この神女の実力、見せてあげるわ!!」

 反論の言葉が思いつかなかったキャスリーナさんは、強引に話を進めて寝たきり王子のベッドへ向かった。そしてすぐに胸の前で両手を合わせ、なにやら口の中でごにょごにょ祈り始める。なんだろ??魔法を使うための祝詞みたいなものかな??と思ってたんだけど

「痛いの痛いのとんでけー!!」

 って言ってたような気がする。


 マジか。なんていい加減な呪文だよ!?


 と、我が耳を疑うレベルで呆れてあっけに取られてたが、意識の無かった王子はあっという間に目を覚ました。わあ!!こんな簡単に治っちゃうなんてアリなの~~ッッ!!??

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