親友!!??
なによなによ、なんなのよ!?
「私だって自分が好きなものを目の前で貶されたら、たとえそれが子供の頃からの親友であっても速攻!!縁を切るわ!!」
フンっと鼻息荒く断言するアウローラ様を、ボロボロ零れる涙に潤む目で見詰めながら、アタシは心で言葉にならない想いを繰り返し憤慨する。いや、憤慨する…ってのとは違うか。この場合、なんていうんだろ?適当な言葉が思いつかない。
「なによ……なんなのよう~!!」
「えっ…と、だ、大丈夫??」
訳も分からない想いに突き動かされ号泣し続ける私に、アウローラ様はポケットから取り出したハンカチを渡してくれた。綺麗なハンカチ。高そう。一瞬、そんな思考がよぎったけれど、泣きすぎて鼻水垂れてきちゃったから、背に腹は代えられないと借りたそれで盛大に鼻をかんだ。
「なによ……なによ、アンタなんか…アンタなんか…」
めちゃくちゃ良い奴じゃんよ~!!!!
友達に…ううん、親友になりたいんだけど~!!!!
そう、言葉にならない想いを心で叫ぶ。
前世でこんなこと言ってくれる人、誰も居なかった。
みんなプッと吹き出して、ゲラゲラ笑うばっかりで。
「冗談きついよ~!!」
「ほんと笑わせないで~」
知人、友人、判を押したように、すべて同じ反応だった。まるでアタシが質の悪い冗談言ってるみたいに。そしてそれが本気だと知ると今度は余計馬鹿にされた。
だからアタシもいつしか、自分の趣味を隠すようになったし。
好きな物について他人に語ることはなくなった。
同じ趣味を持つわずかな人と、SNSで繋がるくらいが唯一の楽しみ。
解って欲しいとはまでは言わない。
ただ、好きでいることを赦して欲しかった。
放っておいて欲しかったのだ。
たった今、聞かされたアウローラ様の言葉は、私が一番欲しかったものだった。
前世の私が、一番欲しかった人。
好きな物を共有出来たらとても素敵だけど、さすがにそれはハードルが高そうだったから。
それならせめて、互いの好きな物を尊重し合える友人が欲しかったのだ。
「このハンカチ…ちゃんと洗って返すわ」
「あ……うん。気にしないで」
心の親友。
この瞬間から、私はアウローラ様をそう認定した。
親友のためなら何でもしよう。なんでもしたい。
まずはこのハンカチを返さなくちゃね。
お礼にお菓子でも送ろうかしら。
一緒にお茶誘われたらどーしよー!?
「………あ!?」
色んな未来を妄想してウキウキしてたら、急に突風が吹いた。その意地悪な風に、持っていたハンカチを攫われる。あっ、だめ!!ちょっと待って!!それ持ってかれたら、私の楽しい未来計画が!!
「キャスリーナさん!!!!」
「あ…………!?」
慌てて手を伸ばした途端、足元の崖が音を立てて崩れた。




