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ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜  作者: ふーみ
中央教会編
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混乱の前兆


「ああ、そうみたいや。かなり凶暴化しとった」


「うむ、原因が分からぬ限りはこちらも注意が必要じゃな」


早朝、インフォルとゼフは鍛冶場で二人話をしていた。


「どうしたんだ」


「おおクレースはん。いやあこの前ロンダートっちゅう鬱陶しいやつがおったやろ? ちぃと気になったからギルメスドまで調査しにいっとったんや。ほしたらどうも魔物が凶暴化しとるみたいでな。教会の奴らが処理しとったけど物騒やなおもて」


「バチが当たったんだろ」


「まあそうじゃな、こちらまで来なければよいのじゃが」


「教会の騎士らは結構苦戦しとったで。八雲の奴らが現れてその場はなんとかなったけど、あんなけAランクが凶暴化しとるとSランクになる言われてもおかしないで」


「ああそうだゼフ。レイのハルバードを見てやってくれ、少し手入れが必要だ。私はジンを起こしに行ってくる」


「おう、任せとけ」




今日は朝からエルシアが来てくれている。どうやらエピネールでの建設も順調そうでみんなの要望に応えて公共施設を増やしていった結果、生活水準がグンっと上がったそうだ。そしてどうやらエピネールのみんなが私にあって是非お礼をしたいとのことらしい。


「そう言うことですので是非、今日はこちらにいらしてください。まだジン様のお姿を知らないものも多くいます」


「でもなんだか申し訳ないな。私はエルシアたちに言っただけで実際には何もしてないから」


「何をおっしゃいますかジン様。国民のために財産を惜しげもなく出し住みやすいような環境づくりをするなんていうことは前国王では考えられませんでした。胸を張ってくださいませ」


「······うん。分かった」


そしてゼグトスの転移魔法を使用しエピネール国まで飛んでいった。あまり目立つつもりもなかったので、エルシアに加えてガル、クレース、レイ、ゼグトスとパールの少数で行くことにした。エピネールに着くと以前クレースと行った時とは違ってみんなの顔に光があるのが分かった。建物の多くは一新されどうやら住み心地もかなり良さそうだったのだ。


少し歩くと以前ベルぶ、ベトベット? だったか、名前は忘れた嫌な貴族から助けた小さな女の子がいた。その女の子はこちらに気づくと顔を輝かせてこちらまで走ってきた。


「綺麗なお姉ちゃん! この前はどうもありがとうございました! 私聞きました、お姉ちゃんは悪い人たちをやっつけてここの王様になったんですよね!? エルシアさんが自慢してました!」


その声に周りがざわつき始めた。


「えっ、あの可愛らしい方が」


「あっ、あの獣人の人はこの前の······」


「あの方がジン様······」


そしてエルシアが前に出ると国民たちは再び静かになった。


「皆さん、今のエピネールがあり私たちが自由に生活できるようになったのはここにおられるジン様のお陰でございます」


「ちょっ」


慌てて止めようとしたがエルシアはそのまま続けた。


「そして以前お話しした通り私たちエピネールの民は過去を捨て去りジン様の治められるボーンネルの民としてこれから生きていく、この考えにどなたか反対意見はございますか?」


そんな聴き方をすれば断った時殺されそうだが、エルシアは民たちの顔をしっかりと見つめそう問いかけた。

エピネールのものはジンの方を向いて一斉に跪いた。

ジンは思わず後ろにたじろくが民たちの顔には期待の笑みが浮かび、誰もがジンの言葉を待っていたのだ。


「その、私はまだ二十年も生きてなくてまだまだ未熟だけど、これからもよろしくね。いつか、みんなが誇れるような王様になってみせるから、だからずっと信じていて欲しい。それと困ったことがあれば私に相談してね」


「ハイッ!」


「ゼグトス、ここに設置型の転移魔法をおけたりする?」


「お安い御用でございます、ガルド鉱石を使用し半永久的に展開させます」


そして元エピネール王国から集会所の近くにつながる転移魔法が設置された。これで仮にここが危険に晒されてもすぐに駆けつけられるようになったのだ。その後しばらく感謝を伝えられて多くの人と話をした。


「じゃあそろそろ行くね。私にできることがあればなんでもするからまた言って」


「何をおっしゃいますか、ジン様はすでに十分すぎるほど私たちを助けてくださっています。ジン様、お気をつけて」


そしてみんなの歓声を背にエピネールを後にした。


集会所に戻ると休む間もなくすぐにボルがやって来た。


「ジン、魔力波でブルファンから急ぎのレンラク。近くのメスト大森林で凶暴化した魔物が多数出現したから助けてほしいってキタ。どうスル?」


「凶暴化か、そういえばバーガルとギルメスドはメスト大森林挟んですぐだったな。インフォルによればギルメスド王国の近くで凶暴化した魔物が大量発生したそうだ。おそらくその魔物が近くまで来たんだろ」


「分かった、すぐに行く」


「でもジンはダメ。王になった今もだけど、危険な場所に行かせるわけにはイカナイ。判断を下してくれるだけでジュウブン」


「で、でも」


「ジン、ここはボルの言う通りだ。お前はもうひとりの可愛い女の子じゃない、一国の王なんだ」


(こう言われると、何も言い返すことができない。少しでも私が危険に晒されるということがきっと今の状況ではこの国にとって大きなリスクになるんだ)


「そうであるぞ、我に任せておけ」


「いいや、お前もジンと私とここで留守番だ。お前が行けばことが厄介になる、それにそちらに戦力を割きすぎるのもよくないからな」


「じゃあボクたち傭兵とトキワでイク?」


「では俺も行く、トキワとの訓練だけでなく実践経験を積むことも重要だからな」


ということでリンギルも加わり、傭兵たちとトキワ、ボル、リンギルの三人がメスト大森林へと向かうことになった。


「······気を付けて。怪我したら······怒るから」


自分でも変なことを言っているのは分かるが、もどかしい思いでついそう言ってしまった。しかしみんなはそれを聞いてプッと笑ってしまった。


「よっしゃお前ら、怪我したら怒られんぞ。怒られたい奴は傷だらけで戦え」


そんなトキワの冗談交じりの言葉に皆は笑みを浮かべ、そのままメスト大森林に向かっていった。


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