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ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜  作者: ふーみ
ボーンネルの開国譚3
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龍の一目惚れ


「いや、せめてもう少し近くにしてくれ。ここは流石に遠すぎる」


「いいけど、迷惑かけたらダメダヨ」


「ああ、大丈夫だ。ではここに建ててくれ」


レイはジンの家に住むと言い張った末、なんとかジンの家の近くに自分の家を建てることに成功したのだ。

ちなみにエルムもレイと同じ家に住むことになった。レイは意外と面倒見がいいのだ。


「ガルミューラさまぁ、腹減ったす。何か食いましょうよ」


「スタンク、それならばヴァンさんがシェフをしてらっしゃるレストランに行くのはどうだ」


「おっ、まじかよ。そんなんあったのか」


「ああ、気づいてないのはお前くらいだ。ジン様も利用してくれと言っていただろうが。ミルおいで、昼食にしよう」


「はーい!」


「ちなみに温泉もあるぞ」


「えっ、マジかよ。それも初耳だぜ」


「エルダン、どれくらいススンデル?」


「ああボルさん、閻魁のおかげで運搬がだいぶ楽になったから建設は順調だ。あとは言われてた通り衛生環境も整えておいたぜ」


「ありがとう、タスカル」


「ボルはん、農作用の整地ももうだいぶ終わったで。あとはエルフに任せるだけや」


「リョウカイ······」


「ん? どうしたボルはん」


「あれ誰ダロウ」


ボルが指を指した先には大きなローブを羽織った人物の姿があった。

ボルはゆっくりとそちらへと向かっていくとその人物はボルに気付き近づいてきた。


「こんにちは。ここは素敵な場所ですね」


「ありがとう、冒険者のヒト?」


「いいえ、私は普段服の仕立てを仕事としているラルカというものです。そして今は仕事を探して各国を回っているのです」


「そうナンダ。ボクはボル。なら少しここで服の仕立てをしてミナイ? きっとジンが喜ぶとオモウ」


「本当ですかッ!? とても嬉しいです、ぜひやらせてくださいッ!」


「それとわざわざ正体を隠さなくてもイイヨ。誰も龍を怖がったりしないカラ」


(ッ—!? バレてる)


ラルカは目の前の一見パッとしないようなボルに少し恐怖を感じた。


「そ、そうでしたか。隠すような感じを出してしまってすみません。それでそのジンさん?····という方はここの領主様ですか? もしよろしいようでしたらぜひお会いしてみたいのですが」


「いいよ、悪そうな人には見えないカラ。多分あっちで閻魁たちと建設シテル」


「そうですか······えっ? もしかして閻魁というのは、あの閻魁ですか。鬼族の」


「うん、ソウダヨ。怖くないから安心シテ」


(これは、想像以上だわ。閻魁って数百年前に封印されたあの閻魁よね)


そしてラルカはボルに連れられて、綺麗に整備された街道を歩いていった。


(まだ、発展途上といったところね。ただ建築は丁寧で構造が芸術品のように完璧だわ。それに住んでいる種族はバラバラね、人族に鬼族にヒュード族、エルフもいるわね。でもなんだか歩いているだけで楽しいわ、····ん? あそこは何かしら、それにあの綺麗な建物は······)


「あそこは果樹園ダヨ、カフェがアル。そこは集会所でレストランとか温泉がアル。タダで自由に使ってくれてイイヨ」


「そうなんですね、ありがとうございます」


(そんな洒落たものがあるのね、それにさっきからすごい活気があるわ。それにこのボルという人間、本当に人族なのかしら。正直に言って龍化した私でも勝てる気がしないのだけれど)


そしてジンたちは協力して住居づくりを進めていた。


「ガハハハっ! やはり我は才能に満ち溢れておるなッ! どうだ凄いだろ!」


閻魁は自慢げに作った建物の前で高笑いをしていた。


「ああ、あとは家を踏み潰さずやりゃあ完璧だな」


「そろそろ休憩にするか?」


「うんそうだね。パールは疲れて眠っちゃてるし」


パールは大きな木の切り株にすっぽり収まり仰向けになって気持ちよさそうに眠っていた。


「ジン、お客さんを連れてキタ。服の仕立てをしてくれるんダッテ」


(これだけ多くの種族をまとめ上げる領主とは一体どんな人物なのかしら。エルバトロス様は友好的に行きたいとは言っていたけれども、もし期待はずれでしたら······)


「ッ——!?」


そんなことを考えていたラルカは次の瞬間、生まれてから感じたことのないような凄まじい衝撃に吹き飛ばされそうになった。まるで天使の矢に心臓を撃ち抜かれ、一瞬魂が抜き取られたような感覚とともにラルカの羽織っていたローブは無意識のうちに地面に落ちていった。


(ヤダっ、何·····この可愛い子······)


ラルカは龍人族として生まれ数百年も生きてきた中でこの日初めて一目惚れという経験をしたのだ。


「初めまして、私はジン。よろしくね!」


その眩しい笑顔とともにラルカの心の中を一つの感情が埋め尽くした)


(ここに、住みましょう)


「というわけで私はジン様のことが結婚したいほど好きになりましたのでエルバトロス様は無駄なプライドなど早々に捨てて友好関係を結んでください」


「······急すぎないか? もし断ると言ったら?」


「ここを捨てて向こうに住みます」


ウブッ—


「冗談で聞いたのだが、ダメージがでかいな。それで具体的な様子はどうだった」


「まだ建築中の建物などが多くありますが、技術も高く住むもの達も領主であるジン様に対して忠誠心が大きいようで働き者が多かった印象ですね。そして戦力はエルバトロス様の想像を遥かに超えています。おそらくジン様の側近と思われる獣人は帝王を軽く凌ぐほどかと」


「それほどまでか。うむ······分かった。それで話し合いはいつならできそうだ?」


「できるだけはやく出来るように頼んでおきます。もうここに住むと言ってしまいましたから。それにジン様も私たちと近いうちに話をしたかったようです」


「ならば話は早いな頼んだ」


「はい。それと私はジン様にかわいいお洋服をつくる約束をしているのでこれで失礼します」


そしてラルカは笑みを浮かべ、龍の里から出ていった。


(まあ、あいつの楽しそうな顔は久しぶりに見たからよしとするか)


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