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ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜  作者: ふーみ
ボーンネルの開国譚2
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ラッキーボーイ

「そういえば、食料はどうやって手に入れたの?」


「まあ、なんだ。向こうにも良い奴はいるみたいだぜ。俺が頼んだら喜んで渡してくれたんだ、この俺がな」


トキワはまるで自分の魅力に全員がひれ伏したと言わんばかりにそう説明した。


「ウソ、トキワがタイマンした。でも、良い人達だったのはホント」


「そうなんだ、それならよかった」


そしてそれを聞いていたイッカクたちは驚いた様子でトキワを見つめていたが、緊張が勝って何も聞くことなくその場をやり過ごした。それよりも不思議なことがあったのだ。


「にしても妙だな。普通なら俺たちがこの辺りを歩けばすぐ敵に見つかっちまうのに」


人目を避けるためにわざと森の中を通ってはいたがそれにしても森の道は閑散としていた。


「おそらく警備兵たちも全員、百鬼閣と言っていたところに招集されているんだろ。雑兵が集まっても意味がないとはわかってるみたいだな」


しかしながら少し歩いていると次第に森の雰囲気が暗くなってきた。辺りには冷たい風が吹いて木々が揺れ、森は少しだけざわめき始めたのだ。


「エルム、こっちにおいで」


あたりを見回して少し緊張気味のエルムを安心させるようにジンは笑顔でそう言った。


「は、はい」


「おそらく自然発生した魔物がいるみたいだな。最低でもBランクといったところか、トキワ」


「おうよ、こんなところで時間潰すわけにはいかねえな······ロスト」


「何したんだ?」


「まあ簡単に言えば俺たちの音は聞こえない、だから見つからなきゃいいって話だ」


「なんでもありだな、あんたらは」


しかしながら閻魁が一人立ち止まった。


「どうしたのエンカイ」


立ち止まった閻魁の右腕にはいつの間にか深い紫色の毒針が刺さっていたのだ。その毒針はポズモと呼ばれるAランクに指定されている蜘蛛の魔物によるものだった。ポズモは音もなく近づいてきて知らぬ間に人間の致死量を裕に超える猛毒を含んでいる毒針を突き刺してくるため、ある程度の実力を誇る冒険者でも命を落とすことが多いのだ。


「閻魁さん! ポズモの毒針がっ!」


「うむ、音に関係なく魔物は気配を感じて攻撃してくるようだな」


しかしエルムの心配をよそに何事もなかったように閻魁は毒針を引っこ抜いて地面に投げ捨てた。


「お前達は先に行け。ここの奴らを倒してすぐに行く」


(決まったぁ······)


「······うん、分かった」


「でもジンお姉ちゃん····」


「安心しろエルム、それに後から遅れてやって来るのがカッコイイのだからな······よし、我の手に乗れ」


閻魁は人型の姿から変化し、巨大化した手にジン達を乗せた。


「おお、これが伝説の閻魁の姿······」


「あっちだぞ閻魁、間違えんじゃねえぞ」


「分かっておる。エルム、クレースに掴まっておれよ」


閻魁の筋肉はビキビキと音を立てながら大きく盛り上がり、腰を低くして力を込めた。


「おや?······」


「バかッ」


ゼグトスとクレースが何かを言いかけた瞬間、閻魁は思い切り、ジン達を放り投げた。ザ・期待を裏切らない男閻魁は見事に百鬼閣とは別の方向へと放り投げたのだ。そしてその投げた先には、昨日トキワとボルの向かっていた第二食料庫があった。猛スピードで飛んでいくジン達は遥か上空を飛んでいき、すぐにかなり距離の離れた場所にある第二食料庫へと近づいていく。



「ん? なんだあれ?」


第二食料庫にいたスタンクは遠くに見える、小さな何かを不思議そうに見つめていた。その小さな物体は想像を超える速さで次第に大きくなりこちらに近づいてくる。


「や、ヤバッ、ガルミューラ様!!」


強烈な風圧に耐えながらも地面に近づいていくとクレースは威雷を使って衝撃波を作り出し、わざとトキワだけ放り投げてパールとガルが抱きついていたジンとエルムを抱えてサッと地面に着地した。そしてひとり放り出されたトキワは強烈な勢いとともに地面に向かって飛んでいく。


「なッ」


しかしながらトキワは何か柔らかいものに触れて硬い地面にぶつからずに済んだのだ。


「いっててぇ、あんにゃろ······ん」


「お、お、お前は何をしてる!!!」


「ぶほぅッ!」


しかし結局、目の前にいた人物によって地面に叩き潰される。そんなトキワの目の前には顔を真っ赤にしたガルミューラが立っていたのだ。


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