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ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜  作者: ふーみ
ボーンネルの開国譚2
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ブルファンの杞憂

「ジン! みてみて〜」


パールは洋服屋で試着した白いワンピースを着てくるりと一回転してみせた。白くヒラヒラしたワンピースを着たパールはまるで天使のような、というか天使の雰囲気を醸し出す。


「よく似合ってるよパール、かわいい」


「えへへぇ」


「ジンもこれを着てみたらどうだ? きっと似合うと思うぞ」


「どうかなあ」


そしてジンはパールと同じ白いワンピースを着た。


「······!!」


すると突然、周りには自然と人集りができてガラス張りのその洋服店の前では人が立ち止まりその光景に視線が集まる。真っ白なワンピースと区別がつかないような真っ白な肌、それにパールとお揃いのその姿をみた周りの客は同じワンピースを我先にと求めて店は瞬く間に大混乱となった。


「や、やっとかえた」


「すごかったね、でもパールの服が買えてよかった」


結果的にはクレースが大興奮してジンとパールのパジャマや部屋着などを大量に買い込んだのだ。そして無事、洋服屋での大乱闘を終えたジンたちはその後もバーガル王国での観光を続けることにしたのだ。


一方、料理店に来ていたトキワたちの目の前にはテーブルいっぱいに大量の巨大な料理が並べられていた。


「ウマイぞっ! いくらでも食えるわ!」


「おいおい、お前これで何品目だよ。胃袋はでっけぇままだな」


「うん、それにお会計がジンパイ」


閻魁の口に吸い込まれるようにして大量の料理はその体の中へと消えていき、周りの客は全員その食べっぷりに釘付けとなる。


「申し訳ございませんお客様、当店の食材はこちらで最後となります」


そう言って料理長と思われる人物が疲れ果てた様子で閻魁の前に姿を現した。


「そうかではこの勝負は我の勝利だな」


「お前は誰と戦ってんだよ」


「閻魁、それよりもフォークとナイフ使オウネ」


閻魁は目の前にあったフォークとナイフには一切触れることなく皿を持ち上げて口まで運んでいた。そのため閻魁の座る前のテーブルは少し汚れていたのだ。


「我にとってはそんなものめんどくさいのだ。別によかろうそれくらい」


「ジンに嫌われルヨ」


「············わかったわ」


ちなみに帰り際、なぜか何も持っていなかったトキワと閻魁のせいでボルは全てのお会計を払うことになったのだ。


ジンたちがバーガル王国に入国したとき街の中にいた衛兵、モルドは焦っていた。警備をしていたモルドは先程サラッと入ってきたジンたちから明らかに違和感を感じ、いち早く緊急事態を感じ取ると城まで大急ぎで報告に向かったのだ。


そして現在、モルドから報告を受け取ったブルファンは同じく焦っていた。モルドが報告した特徴から完全にジンとクレースのことだと気づいたのだ。


「なんだと!? まさかこの前失礼なことをしてしまっていたのか······それで今はどこにッ?」


「それが······街の中を観光しているらしく」


「観光だと? うむ······とりあえず観察するか。よし衛兵を配置させろ、絶対に気づかれるなよ」


「ハッ!」


そしてブルファンは衛兵たちとともにジンたちを影から偵察することにしたのだった。




「クレース」


「ああ、監視されているな」


必死に息を殺してジンたちの様子を静かに伺っていた衛兵たちはあっさりと気づかれていた。そしてそれを感じ取ったブルファンは諦めたようにジンたちの前に出てくる。


「これはこれはジン殿、先日はお世話になりました。この度はどういったご用件で?」


ブルファンは以前よりも丁寧な口調で話しつつ必死に冷静な様子を装ってジンたちに話しかけた。


(この方達には下手な姿をみせてはいけない、敵対すれば国が滅ぶ!)


実際に改めてジンやクレースを見てブルファンはそう確信する。


「ああブルファンか、ギルゼンノーズに用があるのでな、ついでに観光しにきたのだ」


「すごいですね、この国。見たことないものばかりです」


「ジン殿、私に敬語などやめてくだされ。言ってくださればいつでも城に招待しますよ」


「ありがとう、じゃあそうさせてもらうね。丁寧な口調は苦手だから助かるよ」


そう話しているジンたちの元に別行動していたゼグトスとトキワたちが合流してきた。


「おうジン、知り合いか?」


「うん、トキワ。この前閻か······」


ここでジンは気づいてしまった、話題の人物が今トキワとボルと一緒にきてしまったことに。


「ぶほぉおッ!」


ジンの焦りを刹那に感じ取ったクレースは一緒にきていた閻魁のみぞおちに拳を一発入れる。


「ぐ······うっ······」


閻魁は何が起こったか分からずそのままみぞおちを押さえて悶えながらまるで生まれたての動物のように後ろに小さな歩幅で下がっていく。


「よし、こっちで遊んでやる」


そう言ってクレースは閻魁の首の後ろをつかんでそのままどこかに引きずっていった。ブルファンとトキワは何が起こったかわからないようにして辺りを見回す。


「だ、大丈夫なのですか?」


「うん、大丈夫······多分。私たちはもうそろそろ出発するから、またね」


「はい、お気をつけて。またお越しください」


そしてブルファンたちと別れた後、国の北側まで行き再びクレースと合流した。再び出会った閻魁は目が覚めたばかりのように寝ぼけたような顔をしていた。クレースは閻魁を気絶させてしばらくの間路地裏に放置しておいたのだ。


「よし、出発するか」


「うん」


「なんか、我スッキリ」


パールは白いワンピースに着替えてガルは新たに黒色のオシャレな首輪をつけていた。


「おう、パールもガルもよく似合ってるじゃねえか」


「ジン様はお買い上げに?」


「うん、私も何着かクレースに買ってもらったの。ゼグトス、転移魔法でこれだけボーンネルに送ってくれない?」


「はい、かしこまりました」


そしてゼグトスに買った洋服を送ってもらうとギルゼンノーズまでの旅を再開したのであった。


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