相棒その2
契約した妖精のクロックと話していると、パピーとマミーが入ってきた。
2人は疲れた顔で、会話も無くパピーはベッドに横たわり、マミーは俺を抱き上げた。
しばらく無言で俺を見つめていたマミーは、何かを呟いた。
(クロック、なんて言ってるかわかるか?)
「うん、“ごめんね”だって。」
???
(なにが?)
「わからない。」
(・・・そっか。まぁ、今日1日大変だったからなぁ。そのお詫びかな?)
俺はこの言葉の意味を、数年後理解することとなる。
◆◆◆◆◆
俺は3歳を迎えた。
といっても、生年月日がわからないので、クロックと契約した日を誕生日としたのだが。
子供の脳は凄いもので、中身がおっさんだった為に不安であった言葉の壁を超え、今では大人と変わらずに普通に話せるようになった。
そして肉体的な成長も著しく、同年代どころかその辺にいる成人男性・・いや、冒険者の父親よりも速く走れる自身がある。
もちろんクロックの契約による、細胞の活性化があってこその成長速度で、俺が普通の子供でないことは両親共に気付いていた。
俺も当初は年相応の振る舞いをする予定だったのだが、変化の無い日常に耐えかねた結果、少しずつ出来ることをアピールして、今の自由を手に入れた。
それからも相棒のクロックと共に、魔力アップと魔力コントロールの特訓を毎日欠かさずに続けている。
昼は身体強化の魔法をメインにして、夜は魔力コントロールの特訓を行い、寝る前にクロックとの感覚共有の特訓を行い、気を失うように眠りにつく。
その結果、少しの時間であれば感覚共有を全開で開放することが出来るようにまでなった。
ただ、まだ全開でやると後で疲労感や倦怠感が酷いので、奥の手としているが、現段階で八割方開放状態を維持出来ているので充分だろう。
そしてメインの時空魔法は・・・。
「凄いよ、クライス! 異空間収納は完璧だね!」
「本当に人間なの? 動きがもう人間とは思えないんだけど?」
「まだまだ全然ダメだ・・・。動きながらの出し入れが出来てないし、取り出す時に時間もかかる。それに物の出し入れに意識がいってしまって、緊急時に対応出来ない。」
「それでも充分凄いよ! 止まってるとはいえ、感覚共有しながら身体強化もして異空間収納を使ってるんだよ! 魔法を同時に使える人間なんて、滅多にいないんだから!」
「アンタ達ねぇ、忘れてるけどクライスはまだ子供なのよ! 教会にいたジジイより精度の高い魔法を使う子供なんて、どう考えてもおかしいでしょ!」
「同時に使えるって言ったって、戦闘ではなんの役にもたたないよ。」
「私を無視するんじゃないわよ!」
「何を言ってるのさ! クライスの身体強化は、今まで見てきた人間とは別次元のパワーと精度だよ! ここらへんの魔物なら素手でもやっつけられるよ! ・・・いや、今のクライスなら魔力開放するだけで、この辺の魔物はいなくなっちゃうんじゃないかな・・・。」
「そんなに無視・ヒック・しなくても・ヒック・・いいでしょ!・・・わぁ〜ん!」
「ごめん、ごめん。 そんなに泣くことないだろ。」
そう、俺は仲間が増えた。
少々口うるさいコイツは、光属性の回復魔法の妖精で、露出度高めのキラキラしたドレスを着た、金髪ロングヘアのお姉様キャラで名前はキララにした。
由来は説明しなくてもわかると思うが、キラキラしてるからだ。
ネーミングセンスの問題ではなく、考えるのが面倒くさかっただけなのだが、それっぽい理由を話したら予想外に気に入ってくれたので、キララに決定した。
出会いは父親の怪我を治した教会だったそうで、その時は光属性になりたての下級精霊だった。
コイツも内気な性格で、ずっと俺達に話しかけることが出来ずにいた。
そんな時、俺が特訓中に怪我したのを見て、治そうと近寄ったのだが、前世で人体の仕組みの知識がある俺は回復魔法が使えてしまった。
それを見て、驚きのあまりに話しかけてしまったのだそうだ。
そして複数の妖精と契約出来るか試したかった俺は、回復魔法ならいいかと思い、契約の話をしたらめちゃくちゃ食い付いたので、そのまま契約してみたらあっさり出来たので、俺の左手に住み着いた。
契約したことにより、進化してぎゃーぎゃーうるさくなったのには困ったが、下級から中級をすっ飛ばして上級にまで進化したのにはみんな驚いた。
進化にどういった条件があるのか気になったが、クロックも知らないようなので考えるのをやめた。
それより新しい単語が出てきた。
「魔力開放ってなに?」
「えーっと、魔力開放は体内の魔力を外に放出することで、結界や相手のテリトリー空間を破壊したり、魔法によって受ける拘束やステータス異常を打ち消すことが出来るんだ。 そして、その魔力開放を極めると・・・、開放した魔力だけで相手を失神させたり、物を壊すことも出来るんだ!」
なんでそんな楽しそうなのかわからんが、魔力開放・・・面白そうだな!
修行の息抜きにやってみるか。
「それ、どうやるんだ?」
「まず体内の魔力を高めて、その魔力を限界まで集める。 そして集めた魔力を一気に放出する!って感じかな?」
俺のイメージでは、ウ○コを気張るような体勢で魔力を高めて、殺された仲間の名前を叫びながら一気に魔力を解き放つ感じかな?
「ちょっと質問なんだが、魔力を高めたら髪が金髪になって髪の毛が逆立ったり、魔力を解き放ったら上半身の服が破けて無くなったりしないよな?」
「しないよ、なんで?」
「またよくわからないこと言い出したわね。」
「いや、特に意味は無いから気にしないでくれ。」
気を取り直して、魔力を高める。
「ん、んん"ー、ん"ん"ーーーー!」
「凄い、凄い!」
「なんかオッサンみたいな声出てるわよ。」
「ヴヴヴガァーーーー!」
ピシッ!
メキメキッ!
ボゴッ!
「ねぇ・・・、これヤバくない?」
「クライス・・、ダメだ・・・ちょっと待って。ちょっと待ってー!」
魔力開放!
「うぉぁーっしゃーーーチクショー!」
キュイーーン・・・ドガーーーン!
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