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契約

俺は契約のことについて詳しく、そしてしつこく聞いた。


人生を左右するかもしれないと思うと、とことん聞かなくては安心出来なかった。



その結果、妖精達は逃げていった。



だが捨てる妖精あれば拾う妖精ありであった。


複数の妖精相手に、あまりにも必死に話しかけている俺を見て、“面白そう”と近寄って来たのだ。



その妖精の話によると、複数の妖精と普通に会話することはありえないことらしい。


普通の人間は妖精などの精霊の声を聞くことすら稀で、自然と共に生きるエルフ族でも、ほとんどは見えるだけで会話は出来ず、出来ても相性のいい妖精1人?(1匹?)と意思疎通が出来るぐらいだという。


そして、ここまで会話が出来るのはエルフの族長のような長く生きている者か、かなり相性が良い相棒を見つけた一握りのハイエルフのみだそうだ。


因みにハイエルフは、300年から500年に1人ぐらいの割合で、先祖のエルフの力を受け継いで産まれたエルフをハイエルフと呼ぶそうだ。


この妖精も、人間が複数の妖精と契約どころか、複数の精霊達と会話しているところを初めて見たので、複数の妖精と契約出来るかどうかはやってみなくてはわからないらしい。


また、人間やエルフが妖精と契約破棄をしたという話を聞いたことがないので、そちらもやってみなくてはわからないらしい。


そもそも契約出来ることが奇跡的なことなのに、わざわざ契約を破棄するという発想が無いようで、聞いた時にかなり驚かれてしまったぐらいだ。



ここまで話してみて、この妖精は最初の妖精よりもしっかりしていたので不思議に思っていると、逃げて行った妖精は精霊体が進化し、何の属性も持たないピクシーという存在で、自我を持った妖精では最下級精霊だそうだ。




実は今話している妖精はかなり内気で、ここまでの話を聞き出すのに相当な時間がかかった。


様々な知識を得ることが出来たのは良かったが、かなり疲れた。


だが、魔法のことだけでなくこの世界について、かなりの知識がありそうなので、絶対に途中で逃げられる訳にはいかない。


正直この妖精の知識を得る為だけに契約しても、十分価値があるのではないかと思っていたのだが、俺は大きな大きな勘違いをしていた。



(さっきのピクシー達が最下級精霊だったのなら、キミはどういった妖精なの?)



どんな属性があるか知らないが、意味不明なハズレ属性の下級精霊だったら、契約すること自体を考え直さなくてはならない。


この世界で、この妖精の知識だけで生きていく自信は無い。


俺は最低条件として、契約したことで何か自信が持てる魔法が使えるようになるとか、何かに特化したスキルを得ることが出来るならコイツと契約するつもりでいた。


そして返ってきた言葉が・・・。



「む、無属性の、中級精霊・・・。わ・わかり・にくい・けど、・・属性が・無いんじゃ・・なくて、・・・無属性。」


(・・・無属性はどんな魔法が使えるの?)


「ぼくは・・・時空魔法。時空魔法は・・無属性の・中でも、一番・数が・・少ない。・・・だから、・友達・・とか・・仲間は・・・いない。」




・・・。




時空!?


落ち着け、俺!深呼吸して冷静になろう!


スーー、ハーー、スーー、ハーー。


ちゃんと確認してからだからな。



(じ・時空魔法って、どんな魔法かな?)


「ぼ、ぼくは、・・時と空間を・操ることが、・出来る。で・でも、今まで・・契約した、・人も、いなかった・・から、・中級から・・進化する・こと、・・・出来なかった。」


・・・。


キターーーーーーッ!!


いきなりキターーーッ!!


イィヨョョッッシャァァァーーー!!


もう逃がさん! 絶対に逃がさん! 絶対契約やー!


時空魔法なんて、人生勝ち組や!


ワープにテレポート、異空間収納だけでも生活に困ることは無い!!



(こ・ここ・・これもなにかの縁だから、・・俺と契約しない?ゴクッ)



平静を装っているが、実際に生唾を飲むとは思わなかった。


まるで、自分が告白しようとしている相手に、好きな子がいるのか聞く時ぐらい、そんなに興味は無いけど一応聞いてみた的な感じで核心に迫った。


もちろん心の臓はバクバクしていた。


かなり挙動不審だっただろうが、警戒されてないだろうか。



「・・・いいの?」


(もちろんだとも!)


はい、キターーーーーーッ!!


ありがとうございまーす!


チート能力、頂きましたー!



「でも、時空魔法・使えない・かも・・しれない・・・よ?」




・・・へっ?




「時空魔法は、・・他の・魔法みたいに、・・目に見えない・し、お・教えて・くれる・・ひ・人も、いない・から。」 


そういうことか。


てっきり人間には使えないのかと思った。


(別に精霊だけが使えるってことじゃないんでしよ?)


「・・たぶん。」


(じゃあ・・。)


「でも、・・・時空魔法を・使うには・・他の魔法より・・魔力量も・・繊細な・魔力操作も・・いるし。」


ということは、魔力量を増やすことが最優先事項というわけか。


まぁ、もともと魔力量は増やすつもりだったし、今はそれ以外出来ることがないから、焦らずやっていきましょ。


魔力操作はそのうちってことで。


(で、契約ってどうしたらいいんだ?)


「えっ?」


(いや、契約のやり方を教えて欲しいんだけど?)


「話を聞いてたの!?ぼくと契約しても魔法が使えるかわからないんだよ!?」


(そんな使えるかどうかなんて、どいつと契約してもわからないだろ?それに俺はお前と契約したいんだよ。ダメか?)


「本当にいいの?」


(ダメなら聞いてないって。それより、お前普通に話せるんだな!)


「ふぅえぇぇ〜ん!」


(なんだよ。泣くことないだろ。とりあえず契約するにしても、なんて呼べばいいか困るから名前を教えてよ。)


「名前無い」


(じゃあ、俺が付けていいか?)


「うん。」


う〜ん。


時空・・・。

時間・・・。

時計・・・。


「名前なんていいよ。」


(わ〜、ちょっと待って!すぐに付けるからちょっと待って!)


時計、ウォッチ?クロック?ウォッチはなんか響きが軽いから、重厚感を出してクロック!


(じゃあ、お前の名前はクロックだ!)

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