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合流

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もっと多くの方に読んでもらえるように頑張ります!

「じゃあ、早速解除の儀式を…。」


「出来ました。」


「「は?」」


「えっ?」


「なにが出来たんじゃ?」


「いや、だから解除出来ました。」


「なに? ふざけてる時間はないんだが?」


「まぁまぁまぁ、コイツが出来たっていうんだから、出来てるんですよ。」


「本当か?」


「ええ、まぁ。」


「信じられん…。」


「大丈夫だ。 コイツの力は、俺が保証するよ。」


「お主がそう言うのであれば、大丈夫なのじゃろうな。」


「わかった。 じゃあ、すぐにギルドへ向かうか。」


「えっ? 僕が言うのもおかしいけど、もう少し疑ったりしないんですか?」


「わしらはこの地を開放する為に集まったんじゃ。 その時からわしらは、お互いのことを疑うことなく信じて行動することを誓ったんじゃ。」


「凄いですね! まさに一心同体ってヤツですね!」


「なんじゃ、それは?」


「心も体も一人の人間のように仲間を信じ合っている人達のことですよ。」


「いい言葉じゃな!」


「お前さんもその中の一人だろうに。 さぁ、壁を抜けるぞ!」


「よし! …ん? あれ? どうしたんですか?」


「いや、いざ壁の外に出るとなると…。」


「そうじゃな。 お主のことを信じてない訳ではないんじゃが…、なぁ?」


「さすがにお前さんのように躊躇なく出るには、勇気がいるな。」


「……。 早くしてくださいよ……。」


「そうだな。 おい、ジジイども先に行けよ。」


「何を言う! こういうものは若い者からと決まっておる! お主らはわしより若いんじゃから、何かあってもすぐに対応出来るじゃろ! 先に行け!」


「若いって言ってもお前さんとそんなに歳変わらんわい! むしろ体力で言ったらお前さん達2人の方があるじゃろ! ガタガタ言っとらんで早く確認して来い!」


「……。」 「うるせぇ!さっさと行きやがれ!」


「さっきの一心同体っていうの、撤回してもいいわよ?」 「それが年長者に対して取る態度か!」


(少し考えさせて…。) 「ワシは頭脳派なんじゃ! 肉体担当のお前さん達2人が先に行け!」


「人間っておもしろいね!」 「………!」「…!」「……!」


「うるさい! 時間無いんだから早くして!」


「「「はい…。」」」


「じゃあ、3人一緒に! ほら、早く!」


「わかったよ…。 ジジイども、絶対裏切るなよ。 イチニのサンで行くぞ。」


「サンでどうするんじゃ? 片足か? 両足でいくのか?」


「ワシは何でも左からやる性分なんじゃか?」


プチッ


ゲシッ!、ガシッ!、ドシッ!


「お前何やってんだよ!」


「老人の背中を足蹴りするとは!」


「契約解除出来てなかったら、死んでたかもしれんのじゃぞ!」


ギロッ


「黙れ…。」


「「「…!」」」


「さっさとギルドに案内しろ…。」


「「「……。」」」


「聞こえませんでしたか?」


「「「はい…。」」」


「聞こえません。」


「「「はい!!」」」


・・・


「おい、ジョアン。 なんじゃ、あの小僧は? 子供とは思えん殺気を放っておったぞ!」


「ワシは少しチビッてしまったぞ…。」


「いらねぇとこばっかりユニに似やがって。」


「何か言いましたか? よく聞こえなかったんだけど。」


「何も言ってねぇよ!」


(…それにしても、まさか自分が老人の背中を足蹴するなんて思ってもみなかったよ…。)


「アレじゃ仕方ないんじゃないの?」


「見た目はお爺さんなのに、なんだかクライスよりも子供に見えるね!」


「ホントにアレに付いて行っても大丈夫なの? なんか不安になってくるわ。」


(それは俺も思ってるから、あんまり言わないで。 凄い不安になってくるから。)


「なんか計画してる割には穴だらけだよね! そもそも契約魔法の解除はどうするつもりだったんだろう? それに外の協力者とはどうやって連絡を取り合ってたんだろう?」


「……あっ! ……ははぁ〜ん? そういうことか…。」


「な、なんだよ!」


「あの小僧、次は悪い顔になったぞ…。」


「おい、ジョアン! 保護者としてどういう育て方をしとるんじゃ!」


「3人共…、計画を立てて実行するのとか出来ない人なんじゃないの〜? 苦手っていう次元の話じゃないよね〜?」


「ち、ちげぇよ! バカ、それはアレだよ。 なぁ?」


「そ、そうじゃ。 わ、わしら冒険者は細かい計画なんざ立てんのじゃよ。 なぁ? 」


「そ、そう! そうじゃぞ! 冒険者が相手するのは自然や魔物のような予測不能なことばかりじゃ。 計画通りになんていかんからな! それでも如何に早く正確に依頼主の要求に対応出来るかが、冒険者の腕の見せ所なんじゃ。」


「あっ! おい! 冒険者ギルドが見えてきたぞ! 急ごうぜ!」


「そうじゃな! 喋っておったから、計画よりも時間がかかってしまったぞ。」


「しまったのぉ! 少し喋り過ぎたかのぉ。 これ以上は計画が狂ってしまうわい!」


「…………。」


「大変な人間の一部になっちゃったわね…。」


(僕はまだ一心同体にはなってないよ…。 全然信用してないし、まだ取り込まれる前だったから大丈夫…。)


「アハハハ! この人達といたら退屈しないね!」


(クロックは幸せそうで羨ましいよ…。)



バンッ!


「おい! 誰かいるかー?」


「誰だ! まだ街に残っ…、ジョアン!? どうしてここにいるんだ!? 教会の契約魔法を解除出来るヤツなんていねぇから、結界の魔石を破壊してやろうかと思ってたのに。」


「そんなことしたら、最悪わしら全員死ぬかもしれんじゃろが。」


「まったく、計画性のないヤツじゃ。」


「爺さん達までどうやって…。 それよりもなんだよアレは! あんなもん、計画書って言わねぇんだよ! 教会の契約魔法を解除出来るヤツを連れて来いって、めちゃくちゃな要求を一方的に送って来やがって! …ってなんだこの小僧は? なんでこんな涙目で頷いてんだよ…。」


「大変でしたね…。 その気持ちよくわかります…。 僕もたった今、冒険者の計画といものについて彼らから熱いご指導をして頂いたところなんで。」


(なんだ、この妙な親近感は…。 子供とは思えねぇ、悟りきったした表情と眼差し…。)


「お前…、苦労したんだな…。」


ガシッ!


気付けば俺達はガッチリ握手をしていた。


「ああ、そうだ。 挨拶が遅れました。 お久しぶりです、ドナムさん」


「!?」「「!?」」


「…俺は、お前のような子供の知り合いはいないぞ?」


「お主は乳飲み子の頃から壁の中に追ったのじゃろ? ドナムのことは知らんはずじゃろ?」


「ああ、父さんが狼に襲われて教会に運ばれるあたりから、記憶があるんですよ。 あっ、アインさんとグェンさんも帰って来ましたよ。」


「は? 外には誰も……。 おいおい、マジかよ…、あの距離よく気付いたな…。」


「ジフ、…お主は気付いたか?」


「いや、ワシは小僧に言われてもわからんかった。」


「ドナム、戻ったぜ。 って、なんでみんなこっちを見てるんだ?」


「どうしたんだ、アイン? うゎっ! ジョアンに爺さん達まで…。 どうしてみんないるんだ? っていうか、その子供は?」


「ああ、今からそれを説明する。 時間が無い、とりあえず簡単に状況を確認するから、みんな楽にしててくれ。 ドナムすまないが先にこっちの状況を説明するからちょっと来てくれるか?」


・・・


「まず、街の状況を説明する。 っとその前に、アイン、その小僧の相手しといてくれ。」


「はいよ。 それにしても、本当に俺達のこと覚えてるなんて、すげーな、お前! あっ、なんか飲むか?」


「ありがとうございます。 記憶力は人よりいいみたいです。 すいません、もしよかったら僕にもこの街の状況教えてくれませんか?」


「んー、いいけどよ、…ほれお前が飲めそうなのは水しか無かったわ。 で、何が聞きたいんだ?」


「ここまでの流れです。」


「まぁ、いいけどよ。 なんにも面白くないけどいいのか?」


「お願いします!」


「んー、事の発端はこの街の領主様が管理する土地よりも教会が所有する土地の方が大きくなったことが原因なんだよ。」


「まぁ、確かに領主としては面白くないでしょうねぇ。」


「それで領主が、教会に所有地を縮小するように申し入れたんだが、教会はこの大陸の実質的な支配者だからな、一領主じゃ相手にもしてもらえなかったわけだ。 それで領主は仕方なく実力行使に出た。 領主もこの国の貴族たがらな、面子を保つ為に兵を挙げたんだろうな。」


「教会はそんなに権力があるんですか?」


「それを説明するには、この世界の成り立ちを説明しなくちゃならないが…。」


「是非、お願いします。」


(ねぇ、クロックからこの世界の歴史を聞いたでしょ。 なんでコイツより詳しく知ってるのにそんなことを聞くのよ?)


(“みんなが知ってる歴史”を知っておかないと、話を合わせることが出来ないだろ? それにこういう話は子供のうちに聞いておかないと、大人になったらなかなか人には聞けなくなるんだよ。)


(人間って面倒くさいわねぇ〜。)


(だけど、僕も人間がどこまで知ってるのか知りたいな!)


(クロックもこう言ってるし、聞いといて損はしないって。)


俺はこの世界の“人間が語り継いだ歴史”を、アインさんに聞くことにした。

ドナム…狼から助けてくれた冒険者のリーダー

アイン、グェン…ドナムの冒険者チームのメンバー

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