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俺は新しい時空魔法の空間隔絶魔法、略して隔絶魔法の練習を始めた。


(…これでいいのか?)


「すごい!すごい! 本当はもっと狭い範囲を切り抜くように使うんだけど、さすがクライスだね!」


「ホント…、クライスって何者?」


今更だけど、恐ろしい程実感させらる前世の記憶…。 科学者のような知識はないけど、それでも学生で習うような一般的な知識と、アニメや漫画とかで見たイメージでこの世界の魔法は簡単に使うことが出来てしまう。


(ははは…、自分の才能が恐ろしいよ。)


「これなら余程のことがない限り見つかる事は無いね!」


(いや、この隔絶魔法を更に範囲を絞って使えるようにしないと、勘のいいヤツにはバレちゃうよ。)


「じゃあ、どうするの?」


(一番の理想は、服を着るように自分の体を覆うように使えたらいいんだけど…。)


「ねぇ、1つ質問なんだけど、今から行く教会ってクライスがそこまで警戒しなくちゃいけないような所なの?」


(……。)


「人数とか強さを確認するくらい、クライスならそこまで警戒する必要ないと思うんだけど?」


「確かにそうだね。 クライスほどの魔力精度なら、人数は外から魔力感知でわかるし、強さも魔力量でだいたいわかるからね。」


(言われてみればそうだな。 ついつい魔王がいるような城に潜入するような感覚で考えてたよ。 じゃあ、もっと気軽に教会の様子を見に行こうか! っと、その前に…、ジョアンに場所とか聞きに行かないと。)


俺はジョアン達の部屋に向かった。


・・・


コンコン…。



コンコン…。


あれ? おかしいな…。


「父さん、母さ…。」


目の前には衝撃的な光景が広がっていた。


「パパでちゅよー。 元気に産まれてくるんでちゅよー。」


ジョアンが椅子に座るユニのお腹に頬ずりしながら赤ちゃん言葉を話していた…。


俺はジョアンに警戒されていた為に、今でこそ素の状態を見るようになったが、俺がカミングアウトするまではクールで常に眉間にシワがあるような顔しか見たことがなかった…。


それなのに、今のジョアンは見ているこっちが恥ずかしくなるような、だらし無いニヤけた表情で赤ちゃん言葉を使って話し掛けている。


しかも“まだ大きくもないユニのお腹に”だ…。


「ちょっと。」


「なぁに?」


「ちょっと、ジョアン。」


「なんだよ~。 あっ!?」


「……。 お邪魔しました…。」


ガチャ…バタン…。


俺は部屋を出た。


俺はこの時、この瞬間、扉の向こうで見たすべての記憶を封印する魔法を探す旅に出ようと決意した…。


「おい! ノックしろよ!」


「2回ノックはしたけど、反応が無かったから…。」


「反応が無い時は開けたらダメだろ〜…。」


「そんな泣きそうな顔で言われても…。 いや、本当すいませんでした。 以後、本気の本気で絶対に気を付けます。」


「で、何の用だ?」


「すいません、今ので忘れてしまいました。」


「お前、ふざけんなよ〜!」


【クライス! 忘れちゃダメだよ! 教会のこと聞かないと!】


「あっ、思い出しました。 教会の場所とか聞こうと思ってました。」


「お前、そのよそよそしく話すのやめろよ。」


「いや、自分これから記憶を封印する旅に出る決意したんで。」


「もー、クライスも何言ってるの? 廊下で話してないで、部屋に入りなさい。」


「や、やめて! 記憶が蘇るから!」


「うるせぇ! いい加減にしろ!」


「痛っ! なにも殴ることないでしょー!」


「今ので、さっきの記憶を封印出来ただろ!」


「出来ま()た。」


「ぶっ殺す!!」


バタン!


「クライスーッ! …クソッ! アイツあとで絶対ぶっ殺す!!」


「ふふふ、仲良くなったわね。」


「フンッ! 俺をバカにして楽しんでるだけだろ!」


「そう? 2人で森に行ってから、一気に仲良くなったじゃない。 羨ましいわ。」


「そんなことないよ。 ただ悔しいけど、アイツは本当にすごいよ。 天才っていう次元を遥かに超えてる…。 今でも妖精と会話出来るなんて信じられないけど、アイツの強さを見てると嘘ではないような気がするよ。」


「素直に言ってあげたらいいじゃない。」


「それは絶対に嫌だ! そんなこと言ったらアイツはもっと調子に乗るだろ!」


「本当に素直じゃないわね…。」


・・・


(いや〜、本気で怒ってたなぁ。 仕方が無いから、教会のことはあとで聞くか。)


俺は殴られる前に部屋を出た。


「アレはアンタが悪いわよ。」


(アレぐらいでキレるなんて、ジョアンが大人気ないだけだよ。)


「でも逃げる時のクライス速かったね!」


「ああいうのを、魔法の無駄使いって言うのよ。」


(キララは冷たいなぁ。 悲しくて泣いちゃう。)


「ジョアンみたいなのは、そういうのですぐにキレるわよ。」


(キララはどんどん大人になっていくなぁ。)


「それだけ苦労してるってことよ。」


(すいません。)


「それで、これからどうするの?」


(そうだなぁ…。 今日はまだ行ってない街の方の壁に行ってみようか。 教会が関係してる建物もあるだろうし、もしかしたらジョアンに聞く必要もなくなるかもしれないから。)


俺はジョアンに絶対に壁に近付くなと言われていた。


しかし身体強化の魔法を練習している時に自分のスピードについて行けず、誤って壁に近付いてしまった。


その時は運が良かったのか、誰にも見つからなかったのですぐに壁から離れた。


もちろんこのことはジョアンには内緒なのだが、一度壁に近付いてしまうと、人間不思議なのものでどんどん行動が大胆になってしまう。


そして、身体強化の魔法が上達するごとに俺の行動もエスカレートしていき、とうとう壁だけでなく壁と壁を繋ぐ壁の端に建っている塔にまで近付き、魔力感知で内部を隅から隅まで確認してしまったのだった。


もちろんバレるようなヘマをする事も無く順調に調べていき、街とは反対側の壁はあらかた調べ尽くしてしまった。


「普通に考えれば壁の中と外を繋ぐ為に、教会関係の建物は絶対にあるわね。」


(この契約魔法の結界を張ってる基点は4箇所あって、そのうち街とは反対側の2箇所の塔には結界を張る為の…石?)


「魔石よ。 魔力を持っている石。」


(おお〜、アレが魔石か。 で、その魔石くらいしかなかったから、残りの2箇所も変わらないと思う。 あと、街に面している壁以外はすべて確認したけど、壁の内部も外側も壁近辺にも魔力感知では何も無かったから、街に面している壁のどこかには結界を発動する起動装置となる祭壇のようなものとか像のようなものがあると思うんだよ。 それに、巡回してる兵士の数を考えると、兵舎とかの大きな拠点施設があってもおかしくないし。)


「まぁ、妥当だと思うわ。」


「じゃあ、早く行こうよ!」


・・・


家から出た俺達は、まず結界の基点となる街側の壁の端にある塔に来ていた。


壁は10メートルはあろうかという高さで、窓のようなものは無く、こちらから目視で内部を確認することは出来ない。


そして角にある塔はヨーロッパの城にあるような、屋根は円錐形で先端には旗を掲げるのに使う鉄の棒が刺さっていて、俺のイメージではお姫様が幽閉されていそうな感じの見た目だ。


その塔にはだいたい兵士が3人1組で駐屯していて、塔の窓から1人と各壁の上に1人ずつが壁の内側を監視していた。


しかし、なぜか今は監視しているはずの兵士がいない…。


不審に思い壁に近付き魔力感知で内部を確認するも、やはり誰もいない。


「おかしいわね。 兵士が一人もいないなんて、今まで一度も無かったのに…。」


「人の気配すらないから、何かあったのかなぁ?」


(よし! こうなったら徹底的に調べよう!)



俺は細心の注意を払いながら、壁沿いに移動した。


移動中も魔力感知で内部まで確認していたが、巡回している兵士どころか駐屯している兵士すらいなかった。


しばらく壁沿いを走っていると、壁に1つだけ人が1人が出入り出来るくらいの鉄の扉があった。


しかも扉の前だけでなく、壁の上にも監視する兵士がいなかった。


(誰もいないけど、さすがに扉には鍵がかかってるな。)


「だけど、人の気配は相変わらず無いね。」


「ここまでくると不気味ね…。」


(扉を開けたら、兵士がいっぱいいたりして…。 なんてね!)


俺は扉の向こう側を魔力感知で確認した。

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