家族会議2
俺は父さん達と色々話した。
残念ながら、転生者であることと時空魔法が使えることは話せなかった。
話す勇気がなかったこともあるが、話したことによる影響力が計り知れないのでやめておいた。
そして晩ご飯を食べた後、母さんから本当の両親のことと、産まれてから現在までのことを教えてもらった。
正直、この世界において自分が誰の子供だろうと興味が無かったのでちゃんと聞いていなかったが、父さん達が冒険者をしていた時のことについては真剣に話を聞いた。
「やっぱりクライスは兄さんの子ね。」
「ホントに。 冒険者の話になると目をキラキラさせるところなんてそっくりだよ。」
「僕も冒険者になって、この世界を見て回りたいんだ!」
「「……。」」
おっと、さすがに自分達の兄弟が冒険者として命を落としたことに、思うところがあったのだろうか。
二人の表情が露骨に曇る。
「えっと…、やっぱり冒険者になることは反対?」
「…クライス、お前に言ってないことがあるんだ。」
「ジョアン…。」
「隠しても仕方がないよ。 俺達には真実を告げる義務があるんだよ。」
「そんな改まって言うようなことなの?」
「クライス、俺が教会で怪我を治してもらった時に、俺達は教会と契約を交わした。 交わしたと言っても怪我を治す代わりに、強制的に教会の所有する土地から出ることが出来なくなるというものだ。 だから、勝手に教会の所有地から出ることは出来ない…。」
「出るとどうなるの…?」
「…命の保証はない。」
「そんな…。」
なんてことだ!
俺はこのまま死ぬまで家畜のような生活をしなくてはならないのか!
そこへキララが近寄って来て衝撃的事実をさらっと述べた。
「その契約ならとっくに解除してるわよ?」
(へっ?)
「私と初めて出会った時、クライスが自分で怪我を治したでしょ。 あの時、クライスのバカみたいな魔力で契約の拘束まで解除っていうか、破壊したでしょ。」
(そんなまさか…。)
「そんなまさかって、もしかして気付いてなかったの!?」
(じゃあ、俺だけならここから出ることも出来るのか…。)
「いやいやいやいや、父親の契約魔法もさっき破壊してたじゃない!」
(?)
「本気…?」
(いや、全然心当たりがない。 クロックはわかった?)
「昔見たのと一緒なら、さっきお父さんの腕に魔法をかけた時、弾かれるような感覚があったでしょ。 あれが契約魔法の拘束で、ほかの魔法効果を無効化したり反射する上級の光魔法だったと思うよ。 契約するのもなかなか難しい魔法だったと思うけと、解除するのはもっと難しくて、エルフでも解除するのに数人で何日かかかって、ようやく解除出来るようなものだったと思うから、人間だと人数も日数も3倍以上かかるだろうね。」
(マジか…。)
「ちなみに母親の方は契約魔法中途半端だったから、私がついでに解除しといてあげたわよ。 これでみんなで逃げても死ぬことはないわね。」
(可愛い可愛い光の妖精キララさん、本当にありがとう! キララ大好き!!)
「だ、だだだだ、大好きって、そんなこと言っても€£¢©π±×÷¶∆¤µ…。」
(ちょっと後半何言ってるかわからんが。 まぁ、これでなんの心配もなくここを出て行くことが出来るってことだな!)
「クライス、本当にすまない…。 俺達のせいでお前の自由を奪ってしまって。」
「クライス、ごめんなさいね…。」
「ごめん、父さん、母さん。 もうその契約魔法は解除しちゃってるみたいなんだ。」
「えっ?」「はっ?」
「いや〜、なんかさっき腕を治した時に、ヒールの邪魔をするものがあったから、無理矢理魔力を注いだら契約魔法の拘束が解けたみたいなんだよね〜。 ははは…。」
「信じられない…。」
「でも、ユニにはヒールをかけてないだろ…?」
「それも、さっきのヒールの光で母さんの拘束も解けたんだ。」
「さすがに信じられんな…。」
「まぁ、そうだよね。 俺も信じられないぐらいだから。」
「…クライス、お前はこれから何がしたい?」
「う〜ん、とりあえず冒険者になって、世界を見て回りたい。」
「…そうか。…よし! クライス、表に出ろ。」
「ジョアン?」
「急にどうしたの? 外はもう真っ暗だよ?」
「好都合だ。 俺達は警備隊としてここに住んでいる。 警備と言ってもこんな土地じゃ争いなんて口喧嘩ぐらいしかないし、魔物が出ることもほとんどなくなったが…。 だが、外の世界はそうはいかない。 敵は魔物だけじゃない。 お前が本当に冒険者になって世界を見て歩きたいのなら、俺を倒せるくらいでないと、お前を冒険者として送り出すことは出来ない。」
「なにもこんなくらい時にやらなくても…。」
「大丈夫だよ、母さん。 冒険者は夜に戦闘することもあるだろうし。」
「それもあるが、誰かに見られる訳にはいかないからな。」
「なんで?」
「子供とやる内容じゃないからな。」
「ジョアン! お願いだから怪我だけはしないようにしてよね?」
「怪我したらクライスに治してもらうよ。」
「なんで父さんが怪我する話になってるの…。」
「絶対に負ける訳にはいかないんだがな…。」
「手加減してよ?」
「…ああ。」
なんか父さんの雰囲気が怖いが、やっと対人戦が出来ることと、普通の人間の戦闘力を確認することが出来ることに俺は浮かれていた。
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