恐怖のガネーシェード神国
今月の2話目となります。
私事ですが、つい最近艦これのアーケードゲームを見つけて(見つけてから調べてみたら4年くらい前からあったそうですが……)みたので、どうせパソコン版にログインする方法がわからないならばと始めて見ました。
個人的な今の主力艦隊のお気に入りは、初期からずっと所属してくれている羽黒さんですね。
――西暦1742年 10月20日 ガネーシェード神国 旧世界呼称ベンガル湾沖15km
日本及び各国使節団はようやくベンガル湾沖と同じ地点に到着していた。ここからしばらく行ったところに旧世界で言う所のコルカタと同じ地点が存在する。
衛星写真によってそこに原始的ながら港湾設備が見られたことで、ここからは小型船で乗り移ることになる。
日英仏須伊阿(アヌビシャス神王国)柔信(シンドヴァン共同体)の全8か国の使節が、初めてガネーシェード神国に上陸した。
「……衛星写真で見ていたからある程度分かっているつもりだったが、ここまで原始的とはな……」
「かつてのフランシェスカ共和国以下、ですね」
今回使節として派遣されてきた外務省の小田切と葛山は、予想以上のオンボロぶりに目を丸くする。
具体的に言えば、建物は石材を中心としている物もあるが、ほとんどは木造である。
さらに、鉄器らしきものがまるで見当たらないのだ。文明レベルという点で言うならば、間違いなくフランシェスカ共和国すら下回るであろう。
「ですが、アラクネには特殊な能力があるそうですから、もしかしたら、我々の知らないテクノロジーを有しているのかもしれません」
全ては会ってみなければわからない。各国使節団も緊張しながら自衛隊の用意した車両に乗り込むのだった。
護衛の『96式装輪装甲車』と『高機動車』、さらに輸送用トラック計20輌も走り出す。
彼らはこれからガネーシェード神国のカンプールとジャイプールの間に位置する場所に向かう。
何故ならば、その場所が衛星写真を分析する限り一番人口密集度が高かったからであった。
そこまでは川沿いに遡上していっても翌日までかかると見たほうがいいと既に分析されている。
「それでは皆さん、これから出発いたします」
「はい」
日本が用意したハイでエースな大型ワゴン車に乗り込んだ使節団の一同は頷く。
だが、それは誰も予想しない方向へ向かう……
――西暦1742年 10月21日 ガネーシェード神国 神都カンジャイ
ガネーシェード神国は、とある理由からガネーシェードと呼ばれる神を信仰する宗教国家である。
この国を治めるアラクネ族はシンドヴァン共同体のラミア族や日本が接収したスキュラ族と同様に女性しか生まれない特殊種族の1つで、他種族の男がいなければ繁殖ができない。
シンドヴァン共同体では共存共栄という形で他国から蜥蜴人や竜人、さらにエルフやダークエルフに狼人族の移民を受け入れて自国籍を与えることで繁栄してきた。
しかし、ガネーシェード神国はそうでなかった。
彼女らの神の教えに『共存共栄』などという甘い言葉は存在しない。
『欲しければ自分で手に入れること』……それこそが、宗教的な教えであり、ほとんどのアラクネ族が信じる摂理であった。
故に、彼女らは国境沿いで蟻皇国人やシンドヴァン人を次々と誘拐して自分のものにしてしまう。
そして村の数十人ほどで男をシェアし、子供を作るのだ。
日本人からすれば『何そのハーレム』と言われそうな状況だが、これには続きがある。
生殖能力がなくなるまで絞り尽くされた男には、恐ろしい結末が待っているのだ……
日本や各国使節団は、それを知らぬままこの街まで辿り着いていた。
見れば、木製の門らしきものが見える。
「警備の兵ですかね?」
「そうだろうな。まずは入場する許可をもらわなければ……」
先輩である葛山が下車して門番らしいアラクネたちに話しかける。
「失礼します。私たちは西にある西方国家群、日本、グランドラゴ王国、フランシェスカ共和国、アヌビシャス神王国、スペルニーノ王国、イタリシア王国、シンドヴァン共同体、そしてニュートリーヌ皇国の外交使節団です。入場を許可していただけないでしょうか?」
立っていた警備兵は簡素な服に木製の鎧らしき物を身に着け、手には竹や石でできた槍を持っている。
「少し待っていろ」
警備のアラクネは短く述べると、門をすぐに開いた。
「入れ。全ては長がお話しくださるだろう」
なんと、ボディチェックや上司に確認などの手順もないらしい。
「(いったいどういう社会体系をしているんだ……?)」
日本人はもちろん、他国使節団たちからしても気味が悪いが、入っていいと言われた以上は入るしかない。
その後には自衛隊の車両も続いて走る。
「……彼女ら、大丈夫なんですかね? 軍事関係者まであっさり入場を許可して……」
「わからない。だが、彼女らからはなんとも言えない余裕と、愉悦のような感覚を覚える」
そして、そう感じていたのは葛山だけではなかった。
「……佐々木、気を付けろ。あのアラクネとかいう蜘蛛女たち……まるで飢えた獣のような目をしている」
「獣、ですか……」
「あぁ。いつ襲われてもおかしくない気がする」
自衛隊の藤岡も葛山と同様の意見であった。
車両はさらに進み、大きな石造りの神殿のような物の前に到達する。南アメリカ大陸のマンヤーの民が建設していたマヤ文明のピラミッドに少し似ていた。
「やはり、宗教色を感じさせる雰囲気がありますね」
マヤ文明のピラミッドには『ケツァルコアトル』と呼ばれる神をかたどった飾りがついていたが、このピラミッドにはそれとはまったく異なるモノがあった。
「どちらかというと……宇宙人みたいな顔をしているような……」
「小田切の言う通りだ。まるで、グレイ型宇宙人みたいだ」
日本人が『宇宙人』と言われればまず思い浮かべるであろう、あの灰色ののっぺりとした顔に似た雰囲気の石像が、各所に施されていた。
「……不気味、だな」
「先輩、それ言っちゃいます?」
「あぁ。そう言わざるを得ない」
既に葛山の額には冷や汗が見える。かなり緊張しているようである。
葛山は後ろを向いて藤岡に話しかける。
「藤岡1佐。何かあれば連絡しますので、待っていてください」
「葛山さん、どうか気を付けて……」
「はい」
葛山と小田切を先頭に、各国使節も歩き出した。
神殿の奥には祭壇らしきものが設けられており、中央に一際大きなアラクネの女性が座っていた。
「……ガネーシェード神国の代表の方ですか?」
「いかにも。私がガネーシェード神国の神官長で、まぁこの国を統べる者、と言うべき立場にあるヘンブである」
見た目には20代後半から30代前半に見える妖艶な女性だが、言い知れない不気味な笑みを見せている。
「して、様々な国の代表がこのような田舎までわざわざ何用かな?」
どうやら、自分たちの文明力が他に比べると劣っている、未発達であるという自覚があるらしい。しかし……
(それでいながらこの圧倒的な威圧感はなんなのだろうか?)
葛山は隣の小田切と共に冷や汗をにじませながら答えた。
「去る9月25日、シンドヴァン共同体首都バレタールのホテルにおけるテロ……武力的襲撃事件について、貴国のアラクネ族が関わっているという情報を受け、その真偽を確かめに参りました」
葛山の視線に睨まれながらも、ヘンブは不気味な笑みを崩さない。
「ほぅ、我らが神を信じぬ愚か者に対して『神罰』を下したことの、なにがよくないと?」
「!」
葛山はこの時点で気付いてしまった。この相手は、話が通じそうにない、と。
「……あなた方の神は、他者を蹂躙することを良しとするような存在なのですか?」
「何を言う。神の寵児たる我ら以外に、神罰を下すことになにを何を容赦する必要があろうか」
神の寵児、という紛れもない宗教色溢れる言葉を聞いてしまった。8割がた固まっていた疑念が、確信になってしまった。
「では、我が国を含めた各国に謝罪する気はない、と?」
「なぜ我らが神を信じぬ愚か者どもに謝罪せねばならぬ」
ヘンブは全く悪びれる様子もない。それどころか、ニヤついた表情のままだ。
「……このままでは、貴国に甚大な死傷者を出さねばなりません。それでも、何も謝罪を申し上げる必要がない、と仰られますか?」
「愚問だな。『今回は』帰してやる。だから早急に本国にそう伝えるのだな……世界最強と言われるイエティスクですら攻め込まぬ我が国に武力を行使しようというならば、そちらも相応の被害を覚悟するがいい。それが嫌ならば、我らが神の信仰に浴し、その恩恵を受けることだな」
「我が国は、信教の自由を認めています。一神教による多宗教の迫害は、認められません。故に、攻撃的な貴国の神を受け入れることもまた、良しとはされないでしょう」
「ならば話にならん。さっさと失せろ」
話は一方的に打ち切られた。これでは、交渉もへったくれもない。
他の外交使節たちも同意見だったらしく、葛山の顔を見て首を横に振る。
「……分かりました。では、本日はこれで失礼いたします。またいずれ、お会いすることになるでしょう……いつになるかはわかりかねますが」
「そうだの。『いつになる』かの……」
葛山が踵を返すと同時に、他国使節たちもそれに続いた。
葛山たちを見送るヘンブの脇に控えていた別のアラクネが、こっそりとヘンブに耳打ちする。
「本当に帰してしまってよかったのですか? あれほどの人数の男、そう容易くは手に入りませんが……」
「構わぬ。奴らが報復として軍隊を送り込んでくれば、そこにいる男共を皆我が物にしてしまえばいい。もし国ごとに徒党を組んでくればなおいいな。数万人以上が手に入るかもしれんぞ」
「!……さすがは神官長さま。深いお考えです」
「ふふふ……さぁて、今回はどれだけの男が手に入るかのぉ? 女たちに通達せよ。間もなく戦が……宴が始まると」
どうやら、彼女らには何か考えがあるらしい。少なくとも、世界最強と言われるイエティスク帝国が手を出さないというだけの自信がそれを物語っているようだが……。
――2027年 11月21日 日本国 東京都 首相官邸
帰還した葛山の証言及びその議論(議論と呼べるほど高尚でもなかったが)が閣僚たちにも公開されると、彼らは一斉に頭を抱えた。
「やはり、こうなってしまったか……」
「相手が過激な宗教国家で、多宗教及び多神教の神を受け入れていないという時点で真っ当な交渉はそもそも絶望的なのではないかと思ってはいましたが……予想以上でしたね」
そこで経産相が手を挙げる。
「しかも、この世界では冷戦レベルの技術力を持ち、最強と言われるイエティスク帝国ですら侵略をしないという……どういう理屈なんだ? 視察した葛山君の話では、我が国が接収して間もない頃のアメリカ大陸並みの文明しかないというじゃないか」
外務相も頷いて資料をめくる。
「そう。しかも、葛山君の報告によれば、『鉄器』の類を一切使っていないとのことです。これは、人類が文明として成り立っている以上、尋常ではないと判断できます」
日本が接収したアメリカ大陸は弥生時代前後の文明力と判断されていたが、それでも原始的な鉄器や青銅器くらいはあった。
そう、亜人類という異なる種族が構成している国家とはいえ、他の亜人類国家の発展度合いを見れば、青銅器すらないというのがおかしいのである。
「人類が順当に発展していて、鉄器が存在していないということは全く考えられません」
人類は鉄を使うようになり、強大な力を持つ獣や人同士の争いを続けることで技術を発展させてきた。まして、この世界にはイエティスク帝国という、日本が把握している限り冷戦レベルに近い技術力を持った国が存在し、それ以外にも明治時代から第一次世界大戦前後の文明力を持った国が存在する。
それらの国々のことを知っていながら、鉄を使うという概念がないことはまずあり得ない。
「確かに。それに、他国が鉄を用いた発展を遂げていることは承知しているはず……それを知りながら自国で取り入れていないというのは、やはり何か理由があるんだろうな」
「フランシェスカ共和国みたいに、何かしらのアレルギーでもあるんですかね?」
正確にはフランシェスカ共和国のエルフたちはアレルギーで火薬が使えないわけではないのだが、日本人に分かりやすく表現しようと思うと、この言葉が適切である。
だが、原因が分からない以上今は考えていても仕方がないのも事実である。
「では、このことについては各自研究を進めるとして、今後の対策だが……防衛相」
「少なくとも、現時点で自衛隊を派遣することは不可能です。ようやく日柔戦役が集結して休めるかもしれないというところにこれでは、隊員たちの士気にも影響します」
「経産相及び財務相としても反対です。今回の戦役で使用した武器弾薬燃料その他の費用などについても回収ができていないので、今の時点で自衛隊を動かすのはやめていただきたいです」
特に今回の戦いでは大量の空対艦誘導弾(在庫処分だったとはいえ)に加えて、相手を的確に降伏に追い込むために様々な策を弄し、新兵器も投入した。
新兵器に関する様々なデータを入手することはできたが、それでもかなりの戦費がかかっている。
ここでさらに海外派兵ということになれば、国内の守りに大きな影響が出ることは自明の理である。
国民感情もある。やっと戦争が終結したと思ったら瞬く間に次の火種が投下されたのだから(言わずもがなどれも政府に責任はない)。
とはいえ、放っておくわけにもいかない。
すると、法務相が手を挙げた。
「でしたらいっそ、多国間協議で今後の方針を決定しませんか? 今回は諸国にも被害が出ていますから、話してみるだけでも価値があるかもしれません」
首相も考える。実際、今回国際講和会議という場が襲撃されたこともあって、他国でもガネーシェード神国に対する感情がさらに悪化しているらしい。
「分かった。神国については諸国と協議を行なったうえで対応を決定することにしよう。国民にも、自衛隊をすぐに出動させられないことなどを含めて公表してくれ。説明も詳細に頼むぞ。変な勘繰りをされても困る」
「はい」
――翌日 日本国 各地
この日、政府の夜ガネーシェード神国に関する自衛隊派遣への言及がされていた。
『――と、いうわけでありまして、我が国は日柔戦役を終えたばかりであり、自衛隊を派遣するほどの余裕がありません。国際協力という点でも各国と連携し、神国に対して継続した抗議活動を行うと同時に、ガネーシェード神国を〈テロリストを匿っている存在〉と認定し、各国に許可を申請した上で〈いずれは〉テロリスト逮捕のために自衛隊と警察官を派遣することを決定します。』
実際国内では、与野党問わずに『戦争が終わったばかりですぐにまた海外派兵なんて無茶だ』という声が少なからず上がっている。
国民からしても自衛隊が過労状態にあるということから『やめたげてよぉ!』と言わんばかりの論調が形成されつつあった。
『ただし、先程申し上げた通り、今すぐにとはいきませんので、半年から1年ほど猶予が欲しいところです。国民の皆様には、どうかご理解いただければ幸いと思います……』
とはいえ、テロリスト集団ともいえる国家を当面の間とは言え放置しなければならないという政府からの発表に、国民の間からも少なからず不満の声も上がっていた。しかし、今回の日柔戦役において多大な戦力を用い、さらに人員装備の点検や整備・補充なども含めれば今すぐに出動というのは現実的ではないと国民も学んでいた。
政府の調査によれば、ガネーシェード神国はフランシェスカ共和国以下の原始的文明の国らしいので、半年や1年くらいの期間を空けてもさほど支障はないのではないかと国民の間でも考えられていた。
その間に各国を通じてできる限りの情報を収集し、できる限り犠牲や消耗のないような戦いをできるように準備するということでもある。
加えて、自衛隊の各装備の補充や派遣することになる場合、どの部隊を用いるかなどの選定も行わなければならない。
相手が旧世界で言う所のガンジス川を中心に文明を築いているので、海側から攻め込む必要があると防衛省では既に分析していた。
シンドヴァン共同体の西側から陸路を用いることも検討されたが、荒れ地と深い森林地帯が多いため、原生生物による妨害や狭い中での進軍の難しさ、さらにアラクネという種族がクモのような特性を持っているのであれば、ファンタジー小説などでは森の中でゲリラ戦に強い可能性などが挙げられ、奇襲をかけられると装甲車に搭乗していない生身の自衛隊員を守りにくいという点もあるため、これも断念することとなった。
『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』の考えで、政府及び防衛省などの関係省庁にできる限りの安全策を取ろうということであった。
特に、軍事関係に詳しい者たちはガネーシェード神国の文明水準を聞いて政府官僚同様に訝しんでいた。
知識のある者から言わせれば『鉄器が存在しないのはおかしい』。これに尽きるのである。
神国に関しては日夜様々な情報から報道されるが、あまりにも正確な情報が少ないため、各報道機関も数日もするとネタ切れとなる有様であった。
だが、それでも無情に時は進む。
――2027年 12月2日 日本国 東京都 グランドラゴ王国大使館(旧英国大使館)
日本が対策を練っている中、グランドラゴ王国大使から連絡が届いた。
駐日大使のファルコの前に、外務相から派遣された外交官の乾が座る。
「おはようございます、本日はどのようなご用件でしょうか?」
乾が挨拶もそこそこにファルコに切り出すと、ファルコが意を決したように頭を上げた。
「実は、我が国はアヌビシャス神王国とともに、ガネーシェード神国に一当てしてみようと考えております」
「一当て……攻め込もう、ということですか?」
「はい。あのイエティスク帝国が間近にあるにもかかわらず攻めたがらないという理由を、我々は全く知りません。これまではそれでもよかった。しかし、日本国のみならず、わが国民にも被害が出たことから、情報収集と戦力分析の意味も込めて、アヌビシャス神王国と共同で陸海軍を派遣しようと考えております」
アヌビシャス神王国には、既に輸出用軍艦の量産型1隻目『ピストリークス』が提供されている(その代わり日本は南アフリカの開発と折衝を請け負い、神王国と共同で投資することになる)。それに関する習熟訓練も日本で既に修了しており、1隻と日本が並行して提供した補給艦(『ましゅう』型をモデルにした船)2隻が、神王国海軍に所属しており、グランドラゴ王国と合わせればかなり近代的な軍事力となっている。
「もちろん、イエティスク帝国が攻め込まないような相手です。我々程度ではもしかしたら、赤子の手をひねるように負けるかもしれません。しかし、このまま座して見ているわけにもいかず、かといって日本が直接当たって損耗を出すことに比べれば……という結論に至った次第であります」
「それは……随分と厳しい決断をされましたね」
「はい。ですが、軍も既に納得済みです。今となっては旧式の『クォーツ』を旗艦に、装甲巡洋艦3隻と補給艦と輸送船(この場合は陸軍の歩兵部隊の輸送)として、日本から輸出していただいたタンカー1隻を派遣するつもりです」
『クォーツ』級戦艦は日本の『富士』型戦艦と同じ能力を有しているため、射程は短いものの、30.5cm連装砲の破壊力はかなり高い。
最新鋭の『ダイヤモンド』級戦艦はイエティスク帝国の攻撃に備えて東部配置のまま動かすことができないため、一当てという意味でも旧式の『クォーツ』を用いようということなのだろう。
沿岸部に陣取る相手がいれば、実力を遺憾なく発揮してくれるだろう。
「負けるにしても、日本に少しでも有力な情報を送ることができれば、それで日本国が諸国の仇を取ってくれると信じております」
どうやら、両国の決意は固いようだ。
「……このことは直ちに政府に報告いたします。武器使用についても、『防衛以外に使用しない』の制限を超えるかどうか議論する必要があると思いますので……」
「よろしくお願いいたします」
その夜、緊急閣僚会議で招集された大臣たちは、一様に考え込んでいた。
まず口を開いたのは防衛相である。
「悪い提案ではないと思います。両国とも『侵略行為ではなく犯罪者逮捕と戦力分析のため』という名目ですし、両国はともに『我々に大国を侵略して制圧する能力はない』と明言していますので、許可を出してもよろしいかと」
首相が他の大臣たちの顔を見ると、皆『それでいいだろう』という表情をしていた。
「分かった。各国に対して、輸出兵器の一部使用を、許可すると伝えてほしい。すぐに書面で制式に通達するのだ」
「ははっ」
外務相と防衛相が素早く部屋を出ていき、両国へ送る書面の準備を進めると同時に、首相は記者会見で両王国が日本のために行動してくれることを国民に知らしめるべく記者会見を行うのだった。
日本がまだ準備不足という考えが広まっている中で、両王国の申し出は渡りに船であった。国民も納得し、『できる限りの援助、支援を』と言われるようになる。
大変情けない話なのですが、最近の休日に提督業に勤しむようになった結果、小説の執筆速度がちょっと低下しております……。
お財布も結構厳しいので、少し控えましょうかね……あと、ズルいと言われるかもしれませんが、カードショップで金剛・霧島・長門・大和のカードを購入しました(と言ってもそんなに高くないやつですが)。
さて、次回については11月10日までには投稿しようと思います。
次回はグランドラゴ王国とアヌビシャス神王国の連合部隊によるガネーシェード神国攻撃です。




