オマケ・次回作について1
以前投稿された感想に、『リンクがないから見にくい』という指摘がございましたので、こちらに投稿することで見てもらおうと思いました。
意見のある方、大歓迎です。
もしかしたら、それによって作風やキャラクターが変化するかもしれません。
日本生存戦線、異世界にて拡大中
あらすじ
大地では『10式戦車』の主砲が吠え、『99式自走155mm榴弾砲』が砲撃音を轟かせる。
上空では『F―15J改』のエンジンが雷鳴の様な音を立てながら飛行してミサイルを連射し、『F―2』戦闘機が地上に次々と爆弾を投下する。
海上では護衛艦が主砲や魚雷、対空ミサイルを次々と発射し、『P―3C』や『P―1』哨戒機が対潜爆弾や魚雷、対艦誘導弾を投下する。
2025年、日本は突然異世界へ転移してしまった。
その異世界の、日本のすぐ北東にある大陸では、その世界の人類が『魔獣』と『魔族』と呼ばれる異形の存在によって滅亡寸前の状況に追い込まれていた。
日本は単独では生きていけない。食料、資源、あらゆるものが不足するであろうと推測されていた。
そのため、日本は大陸と接触し、なんとか資源や食料を融通してもらおうと提案した。だが、一部の穀倉地帯と鉱山のある沿岸部を残して、人類の生存域は朝鮮半島程度の大きさしか残されていなかった。
日本はそれを聞き、『全世界』の緊急事態であると判断し、大陸に唯一残った人類の国、『サイエンド公国』を支援すると同時に、食料及び資源の確保を目的とした大陸の『奪還』を始めることを宣言した。
まずはわずかに残った生存域から魔族を完全に駆逐し、穀倉地帯と鉱山を取り戻すことを決定した日本は、自衛隊に命じて各種作戦を展開する。
転移から2年が経過した日本では、新兵器の稼働なども始まり本格的な反抗作戦に打って出る。
登場人物
主人公・虎沢次狼
備考・陸上自衛隊の若き三等陸尉。29歳。転移した世界では最前線に立って部隊を指揮していた。そんな中、大陸沿岸部の大穀倉地帯を取り戻す作戦に参加した時に敵の城に乗り込み、オーガ族の女将軍・ヘルザを捕虜とする。
彼女を人道的に扱い、また彼女も自身の代わりに部下の命の保証を願ってきたことからお互いに通じ合うようになる。
日本に一時帰国する際に捕虜である彼女を連れていくことになり、彼女に日本という国を見せる。
基本的に真面目で優しい性格。魔族とも話し合えるならば話し合いたいと考える穏健な考え方を持つ。
しかし同時に、敵対する存在にはとことん容赦しない、兵士としての一面もしっかり持ち合わせている。
その後ヘルザと想いを通じ合わせる中で互いに相思相愛となる。
再び大陸の戦線に赴く際は彼女を道案内に魔族帝王、通称『魔王』へ向かっていくことになる。
余談だが、苗字と名前からよく『前門後門』と呼ばれる。
ヒロイン・ヘルザ
備考・魔族軍東部戦線第一将軍の身分を持つ、オーガ族の最上位・オーガロードの女性。身長は200cmもあり、190cmの虎沢よりも大きい。
見た目は人間によく似ているが、普通の人間より大きな体躯、そして頭部の2本の角が特徴的。しかし出るところは出ており、女性らしい柔らかそうな見た目をしている。
それでいて全てを頑丈な希少金属・ヒヒイロカネで拵えた金棒『燈緋縅』を振り回す女傑で、たった1人で1千人もの兵士を討ち取ったこともある。
だが、戦争に参加した理由は『部下共々、ご飯がたらふく食べられるから』であり、人類に対して根源的な殺意や負の意味での執着はなかった。
元々魔族の中でも戦争には興味がなく、美味しい食事さえ取れれば争い事に参加する気はサラサラなかったが、魔王から『我が軍に参加すれば飯は好きなだけ食わせる』と約束を受けたことで戦線に参加、最も食料が豊富だった大陸東部の穀倉地帯を治めていた。
人間の労働力が食料増産に必要なことも理解していたため、比較的人類に対しては穏やかな対応を取っていたこともあり、人類側からも『捕まる、降伏するならばこの鬼の下に』と言われるほど。
面倒見もよく、配下のゴブリン、ホブゴブリンらのために手ずから料理を作ってあげる一面も持つ。
日本に敗北後は配下共々日本へ連行され、そこで日本の技術力、軍事力を目の当たりにし、自分の身を差し出すことで部下の命を守ろうとする。
そんな姿勢に感銘した日本側も、彼女に『魔族側に加担せず、日本に味方してくれれば一部の労働だけで済ませる』と約束したことで日本に下る。
主要国家
日本国・誇張のない現実と同じ力を持つ日本国。いきなり異世界へ飛ばされ、しかも人類が滅亡寸前と聞いて食料及び資源の確保のためにやむを得ず侵略者である魔族と戦うことを決定させられる。
魔族が知的生命体であることからひと言目にこそ『話し合えないか?』とサイエンド公国に問いかけたが、『彼らは人類を殺す、隷属させることを至上の喜びとしている。話し合いの余地はない』と突きつけられ、更に一応試してみようと公国を攻めていた魔族の陣に送り込んだ外務省の職員がバラバラ死体となったことで、国内全域で全面戦争することを決定せざるを得なくなる。
転移とそれに伴う緊急事態宣言により、企業の多くが倒産、食料確保のための第一次産業、及び武器弾薬を途切れさせないための軍需産業に関わる業務に労働体系を絞ることでなんとか労働人口と食料自給率を上げようと苦心する。
当然自衛隊の増員や兵器の増産など、これまで以上に軍事力を強化しなければならなくなり、非常に厳しい条件下に置かれる。
戦争状態に陥っても平和への道は捨てきれず、なんらかの方法でアプローチできないかと外務省で引き続き検討させることになる。
サイエンド公国とは後に『日サ友好条約』及び『日サ修好通商条約』など国交を締結し、日本側は様々な技術を、公国側は食料や資源を輸出するようになる。
サイエンド公国・日本が転移した世界に存在する大陸『イザナリア大陸』に唯一残る人類の国。
人類、とは言っても普通のヒト種のみならずエルフ、ドワーフ、獣人、魚人、爬虫人、両生人、妖精人、竜人族など、様々な亜人類も含めたヒト型種族全てがここに住まう。
君主は公王サイエンド13世で、竜人族。人口は500万人。魔法を基礎とした、中世ヨーロッパレベルの文明を築いている。
だが、総勢で100万を超える魔族軍の攻撃を受けて、既に国家としては風前の灯火となっていた。
そんな中で、一部のハイエルフや竜人族など魔力に優れた者達が祈りを捧げることで救世主を呼び出そうとしていた。その結果、この大陸を創造したとされる異世界の夫婦神に祈りが通じて日本が転移してくる。
最初は魔力がまるで感じられない日本人を見て落胆していたが、その超技術を目の当たりにして評価ががらりと変わる。
ちなみに豊かな穀倉地帯及び果実の森林地帯を有しているため、文明レベルに比べて食文化が発達している。
日本の生命線であり、この国が滅びれば日本も滅びる、というか人類が滅亡する。
魔王軍・いわゆるモンスターと魔族と呼ばれる存在で構成された軍隊。
君主は魔族帝王ヒルコニア。
元々は北方のわずかな区域を支配するのみだったが、とある国に戦争を仕掛けて勝利したことでその国の人類を接収、魔族や魔獣の増産に穀倉地帯を用いたことで一気に戦力を増強し、他国にも攻め入るようになった。
行動力に優れ恐れを知らない魔獣と、高い知性と武器を扱う能力を持つ魔族が組み合わさることで、無類の強さを発揮している。
しかし、日本の自衛隊が出現してから連敗に次ぐ連敗を重ねたうえ、ヘルザなど一部の将が離反するようになり急激に勢力を縮小することになる。
登場モンスター・魔族
オーク族・いわゆる豚鬼。知能はそれほど高くないが、身長は180cmを超え、腕力と繁殖力が非常に強い。
性欲がとても強く、征服地の人間や体格の合う雌の動物などを凌辱して次々と増える。肉体も頑強で、89式自動小銃の5.56mmNATO弾が命中しても簡単には死なない。普通に駆除しようと思うならば12.7mm重機関銃以上の火力が必要。
初めて接触した時は『96式双輪装甲車』のM2重機関銃と、『89式装甲戦闘車』、『87式自走高射機関砲』の攻撃で追い払うほかになかったほど頑強であった。
ゴブリンと並び、数の上では魔王軍の主力と言っても過言ではない。
ゴブリン族・いわゆる小鬼。子供くらいの大きさで、弓矢や剣を扱える。集団戦術を得意としており、数で圧倒するのが得意。オークを遥かに超える繁殖力を持っており、1人の人間から平均して3体ぐらい生まれてくる。
だが、最も弱く、やられやすい雑兵であることも災いして、増えやすさの割に数は増えていない。
ちなみに、オーガや、オーガの下位存在であるホブゴブリンに付き従う。手先がそれなりに器用で知能も高く物覚えもいいため、降伏してから日本で農業などに従事することになる。
キュクロプス&サイクロプス族・多腕の巨人と隻眼の巨人族。身長は優に3mを超え、大斧やこん棒などを振り回して戦う。
また、頑強な鋼鉄の鎧に身を包むことで、バリスタはもちろん、大概の魔法攻撃すら受け付けないほどに頑強な存在となる。
数は少ないが、魔王軍にとって非常に強力な存在。魔王軍にとっては破城槌のような扱い。
トロール族・こちらも巨人。オークとほぼ同程度の能力を有しているが、オークに比べると知能が高く、密集隊形によるファランクスなどを得意としている。
オークが『突撃部隊』ならば、トロール族はその上位互換と言える『エリート部隊』である。
オークに比べると控えめではあるが繁殖力もそれなりにあり、征服地で人間を凌辱する。ただし、自分より下位の存在であるオークに先を譲るなど、意外に仲間想い。
ホブゴブリン・ゴブリン族の上位種に当たり、人間並みの知能と器用さを持つ。武器の扱いはもちろん、戦術の重要性を心得ており、奇襲や待ち伏せ、落とし穴などの奇策も用いる。
ただしオーガ族同様人類に対する負の感情は持ち合わせていないため、種族上のボスであるヘルザが日本に降ると言い出した時点ですぐに降る。
オーガ族・人類とほぼ同じ思考や感性を持っており、頭も悪くはないのだがが、強くなったせいで少々脳筋気味。男性型は身長2m、女性型は身長170cm前後の平均身長で、ホブゴブリンやゴブリンを含めた彼らだけで一軍団が形成されるほどの勢力を持つ。
ヘルザが日本に降ることになったため、彼らも総じて日本に降り、様々な労働に従事する。
ロード族・ヘルザの種族で、オーガ族の一部が進化することで至れる強化種族。
コボルド・犬の頭と人の体を併せ持つ魔族。後述のハウンド族同様に獣人族のライカン族とはまったく別種。肉体的にはかなり脆弱だが魔族の中でも非常に魔力が高く、主に魔法を使うメイジとして前線の支援をする。
彼らも人間を凌辱することで数を増やしているが、希少種で中々生まれない。
ハウンド族・いわゆる狼。知能は高く、素早さと様々な属性のブレスを用いることで人間軍を圧倒する。獣人族のライカン族(犬・狼系の耳)とはまったく別種。機動力に長けているだけでなく小柄なゴブリンやデュラハンなどを背中に乗せることで騎兵のようになる。
デュラハン族・首のない騎士のような姿をした魔物。急所は心臓だが、魔法で形成された鎧を着こんでいるため、普通の兵士では討ち取るのが難しい。主な武器は槍や剣、斧などの近接武器。
人と同じような姿をしているが、実際には魔王の魔力によって生み出された魔導生物であるため、人類とは異なる定義で活動できる。
アンデッド族・人の死体を特殊な魔術と魔石で動かせるようにした存在。死んだ人間を用いているため、征服地で死んだ者たちはたいていアンデッドと化して魔王軍の一員となる。力強く、生半可な兵士より遥かに戦闘力が高い。
武器を扱う知能はないが、人間の肉体に課せられているリミッターが外れているため、腕力は強い。
首をはねるか焼き尽くさなければ動き続けるため、自衛隊も最初はてこずる。ただし腐敗してボロボロになっているため、爆発などに巻き込まれるとあっさり崩れ落ちる。
ベヒーモス・巨大なイノシシに近いモンスター。体高5m、体長は12m近くに達する怪物で、鋼のように固い角と、頑強な肉体を用いた突撃で敵を蹴散らす。魔王軍にとっては戦車のような存在で、口から爆裂魔法を放つ。
サイエンド公国陥落を目的として投入されたが、自衛隊の10式戦車や16式機動戦闘車などの各種兵器の前に次々と討ち取られていく。
ちなみにこの爆裂魔法の射程は約500m、威力は現代基準で言うと黒色火薬並み。
クラーケン・いわゆる超巨大なイカ。体長は50m~100m近くにもなり、長大な触手で木製の軍船程度なら軽々沈めてしまう。
知能も高く、接近する魚雷を危険な物と判断して再生する腕を盾にするなど知能も高い。しかも、音紋の類をあまり発しないためソナーなどの機器で探知しづらい。
柔らかい体は速射砲弾ではダメージを与えられず、魚雷も決定打とならないため、日本がこの怪物を退治するために超弩級戦艦を建造するきっかけとなった。
シーサーペント・いわゆる巨大ウミヘビ。全長100m近くになり、口から毒液を噴射する。こちらは鱗が固く速射砲弾の効果が薄かったこともあり、海上へ顔を出したところに対艦誘導弾を撃ち込むか戦艦の大砲で撃ち抜くしかない。
ワイバーン族・いわゆる空飛ぶトカゲ。爬虫類の延長線上にあり、知能は人語を介するくらいにはある。口から火炎放射と火炎弾を放つことが可能。
時速150kmで飛行できる。
最初は人間たちに従っていたが、魔王の強さを見て魔王軍に鞍替えした存在。
用語
不滅の森
サイエンド公国に存在する大森林地帯で、非常に強力な神の加護がかかっている土地。
その加護は『山火事は発生せず、更に木を切り倒しても瞬く間に生えてくる』というもの。
しかも濃いマナを得ているお陰で、加工した木材は『マギクスドール』になるため、サイエンド公国では国家的に重要な資源地帯とされている。
当然、その中には果実のなる樹木も存在し、取った果実が翌日にはまた実っているという地球の食糧事情に喧嘩を売る存在の1つ。
また、その深い森林は奇襲を仕掛けるにも最適なため、常に陸軍が駐屯してゲリラ戦を仕掛けられるようになっている。
転移後の日本にとっても木材資源や果実資源を手に入れるために重要な場所となる。
ニーウェスタ大陸
サイエンド公国が所属する大陸。
しかし、大陸とは言うのだが、細かい海峡にあちこちが分断されており、実質的には大陸ではなく列島世界となっている。しかも、各海峡の幅は10km近く、深さも50m以上という物がほとんどなので、移動の際は船が欠かせない。
サイエンド公国と皇国の北東部にある島嶼部はそんな中で数少なく地続きの広い陸地がある場所であり、最も大きな人類の拠点であった(公国は前述の通り朝鮮半島並みの大きさ)。
北東部の穀倉地帯もかつてはサイエンド公国が支配していたが、魔王軍の攻撃でその手を離れている。曰く、『あれのお陰で我が国の食料自給率は200%にまで達していた』と言わしめるレベル。
各海峡の海底には鉱物資源がたくさん眠っており、平和になった時にもたらされる恩恵は日本が目を見張るほどと言われている。
環境のせいか、海魔ともいうべき生物が多数生息しており、ほとんどが魔王配下となっている。
魔導剣士、日本人に転生してかつての祖国と戦う
あらすじ――俺、剣崎紘汰は前世を覚えている。俺の前世は、日本を基準にすると魔法を主体としたファンタジーな文明を持つサハラード公国という国で、魔法と剣を使う国最強の魔導剣士だった。
魔物の襲来で悩む祖国のために様々な魔法を提案、開発し、国の発展に寄与したが、わずか28歳で流行病のせいで死んだ。
そして、地球と呼ばれる星の、極東とも言われる島国・日本国の人間『剣崎紘汰』として転生した。
転生してからは自分の魔法や使えるスキルをそのまま継承したが、地球には魔素が存在しないため、使えない状態が続いていた。
かつては周囲数kmを巨石に爆裂魔法を封じ込めて落とすことで敵の圧倒的な数を壊滅状態にできる『メテオストーム』や、古龍すら倒せるマグマの奔流・『グランドファイヤー』、更には一撃で城をも真っ二つにできる魔導剣技『バーデクス・ブレード』など、多彩な魔法や魔法剣技を操ることができていた。
ある程度の年齢になってからは、いつなにが起きてもいいようにと、かつての己と同じ力を発揮できる肉体を取り戻すべく鍛えていた。
とはいえ、俺が今を過ごす日本は、列強国との領土関係など問題は多々あるものの、基本的に平和な国である。
そのため、どれだけ鍛えても意味はないかに思われた。
だが、17歳のある日、幼馴染の詩島舞と共に外出先の神保町と神田の間で俺は魔法の反応を感じ取った。
それも、大魔導師ですら2000人以上集まらないと使用できないような超上級魔法、『転移の儀式』と、俺も知らない強大な魔法の反応だった。
魔法の反応を追った結果、転移のための魔導門らしき建造物が神田の大通りに現れていた。
そして、その中から出てきたのは、かつての故郷の旗を掲げる軍隊だった。
その時、好きで読んでいたライトノベルの一幕『都内の某所に異世界への門が出現し、そこから現れた軍勢が人々を殺戮した』という内容を思い出した。
まさか、と思った次の瞬間、兵士は俺がいた時代には存在しなかったはずの『銃』らしきモノを掲げ、魔術師たちが魔法の詠唱を行い始めた。
俺は思わず野次馬たちに叫んだ。
「逃げろ‼」
だが遅かった。銃弾と魔法は放たれ、無防備な人々に次々と襲い掛かった。
瞬く間に百を超える人間があっさり死んだ。その後も、突撃してきた騎馬部隊や歩兵部隊、さらにオークやゴブリン、果てにはベヒーモスやモスマンなどの魔獣によって次々と人が死んでいく。
俺はかつて、自分の祖国で魔物の攻撃や戦争で死んでいった人々のことを思い出した。
俺の中で、何かが切れる音がした。
俺は、近くにあった骨董品屋に駆け込んだ。そこには、日本刀や長槍など、昔の武器も置いてあった。
骨董品店の店主は茫然としている。自分の店のすぐ近くで、いきなり映画のワンシーンとしか思えないような事態が勃発したのだ。当然だ。
俺は店主を尻目に、自分の体格にあった日本刀を1本取った。
そして店を飛び出し、舞に襲い掛かろうとしていたオークを切り伏せた。
俺は剣技と、転生してから学んだ武術、更に前世から継承し、ウェルトバウムと繋がったことで使えるようになった魔法を駆使して、かつての祖国と戦うことを決めた。
こうして、俺の新たな戦いは始まった。
登場人物
剣崎紘汰・17歳 男 身長182cm
データ・前世は『ウェルトバウム』と呼ばれる世界のサハラード公国で最強の魔導剣士と言われたジークリート・バルバロッサという人物だった。
病死したあと、転生して日本人として生を受けてからは日本で様々な分野を勉強し、『天才児』と呼ばれるようになる。
趣味は兵器・戦術研究で、特に近代兵器について詳しい。
転生してからは日本人の脆弱な肉体に驚きつつも、かつての自分と同じだけの力を発揮できるように幼い頃から鍛錬にも励んだ結果、剣道や空手などの武術でも高い戦闘能力を誇る。
日本人としては端正な顔立ちもあってかなりモテるのだが、如何せん本人が幼馴染の舞に関すること以外は研究や鍛錬に没頭していることと、そもそも高校生になって舞と付き合っているからかモテるという自覚はゼロである。
『神田大戦』のあとは骨董品屋から譲り受けた『長曾祢虎徹』の銘が打たれた刀を用いる……骨董品店の店主の話では偽物らしいが、『近藤勇も偽物を使っていたらしいし、切れ味抜群だから問題ない』と言って気にしていない。
他にも特殊魔法として『魔獣テイム』など、奇妙な能力を持っている。
『神九戦役』終息後、日本政府によって要人扱いで保護される。
のちに皇国の大魔術によって日本本土が『ウェルトバウム』に召喚されてからは自衛隊と共に行動し、日本と共に戦うことになった一部の諸国と力を合わせる。
詩島舞・17歳 女 身長165cm
B/W/H・89/54/87
データ・紘汰の幼馴染で、物心ついたころからほぼ常に一緒にいて、紘汰に『恋して』いるのではなく、『愛して』いる。
紘汰が前世の記憶を引き継いでいたせいで幼い頃から鍛えているのを見て興味を持ち、紘汰と同じトレーニングを自分に課した結果、日本人はおろか、地球基準で常人を遥かに超える戦闘力を身に着ける。
気質は一般的な日本人に近いが、幼い頃から紘汰によって『覚悟とは』、『命を懸けるとは』ということを聞かされ続けていたせいか、日本人としては珍しく必要とあれば戦いに身を投じることを厭わない心を持つ。
紘汰と九段下の靖国神社に出かけていた際に神田まで足を延ばしたところでサハラード皇国の軍勢と対峙、本当に人が殺された瞬間を見て最初こそ固まってしまうが、自分を守るために戦い始めた紘汰を見て真の戦場を知る。
その後、紘汰が斬り捨てた敵の持っていた手槍を拾って紘汰の背中を守るように戦い始める。その結果、靖国神社の前まで戻った際に舞も神九大戦で多くの敵を倒す。
大戦後は紘汰共々超重要参考人として政府の庇護下に置かれ、転移後は紘汰と共に大陸へ渡り、周囲からも公然のカップルとして扱われる。
サハラード皇国
ユーラシア大陸の半分近くと同等の面積の領土を持つ超巨大国家。
ジークリートが生きていた頃は朝鮮半島より少し大きいくらいの中規模沿岸国家『サハラード公国』であったが、『魔導剣士ジーク』の遺した様々な魔導技術を発展させ、魔獣の戦力化や魔導砲、魔導銃などの兵器の実用化に成功する。
その後、国王が皇帝を名乗ったことで『サハラード皇国』へと名称を改め、大陸のほとんどを制する。
大陸を制したのち、何代もの研究を重ねたことで異世界へ門を開き、その門を開いた国を自分たちの世界へ引きずり込む『召喚転移門の陣』を編み出す。
これまでにも多くの小大陸や島国を呼び出しては征服している。
これを使用した結果日本に門が開き、領土拡大を狙って3万人もの兵力が日本に攻め込む。
紘汰の持つ圧倒的な魔法によって侵攻軍が駆逐されるものの、占領地軍を含めれば総勢で300万人の兵力を誇ることから自分たちの勝利を全く疑っておらず、日本のことをロクに研究していない。
武器・兵器の運用体制は日本の明治時代から第一次世界大戦レベルに酷似しており、大火力で打撃を与えた後に歩兵の近接武器による突撃で殲滅するという構想。
そのため、未だに近接戦闘用の槍や剣、斧といった武器が残っている。
海戦に使用するのは魔導内燃機関搭載型戦艦と魔鉄鋼式飛竜母艦で、水素タービンを動力源にしており、地球の同年代の戦艦よりも機動力に長けている。
大砲も強力な主砲を装備しており、陸戦用よりも強力な装備となっている。
多くの属領を抱えているが、自国民以外に対しては非常に厳しい支配体制を敷いているため、評判はかなり悪い。
日本及び日本に追従した諸国が転移してきたあとは劣勢を強いられる。
用語集
召喚転移門の陣
サハラード皇国が編み出した、エルフの大魔導師千人と、人間の魔導師二千人で行う極大魔術。
皇国に最も深い縁のある異世界の国にまず転移門を繋ぎ、さらに1年後にはその国が『国土』と定義している土地を全て『ウェルトバウム』の指定座標に召喚することができるという、現代科学では説明のつかない大転移魔法。
術の特徴として、『転移門が破壊されても術は継続する』というものがあり、門を壊しても転移は止められない。
今回の場合、転生者であったジーク、もとい紘汰の暮らす日本が魔法のターゲットとなった。
ただし、日本が神九戦役後に諸国を(形ばかりとは言え)取り込んだこともあって、呼び出された国土は群島などを含めて彼らの予想をはるかに上回るものとなる。
魔導砲
サハラード皇国が使用する、爆裂魔法を封じ込めた砲弾を飛ばす兵器。
発射時には幾重にも魔法陣を重ね掛けすることで爆発による飛翔距離を大幅に延ばすことに成功している。
威力的には明治時代の大砲と同等程度だが、狭い市街地などで使用されれば非常に厄介な兵器。
ただし艦砲のような大口径砲はともかく、装甲貫徹能力が一切ないため戦車はもちろん、89式装甲戦闘車でも大口径砲をよほど多数食らわなければ問題ない程度の威力。
艦載砲は最新鋭となっており最大で30.5cmの回転砲塔を搭載している。
また、地球基準ではガトリングガンと呼ばれていた頃の機関砲と同じ連射力を持つ機関砲を戦艦に装備しており、対空戦闘をこれで行う。こちらは『魔導機関砲』と呼称される。
魔導銃
サハラード皇国の歩兵前衛部隊が装備している、300mを超える有効射程を持つ銃。
日本の基準で言えばスペンサー銃並みの能力を有しており、先端には銃剣を装着することも可能。
元込め式の銃であるとは言っても旧式であることには変わらないので、連射能力と命中率という点においては日本の脅威にはなりえない。
皇国の工業基準ではまだ量産も難しいらしく、前衛部隊が射撃すると旧式の先込め式銃を持った部隊が前へ出て銃を交換しながら追撃、それを繰り返した後で近接武器を持った白兵戦部隊が蹂躙するという、織田信長の鉄砲交換撃ちのような戦法を取る。
このような戦法をとっているのは、皇国がこれまで、原始的な戦法をとる国家ばかりを相手にしていたことが原因である。
『マルフォジット』級戦艦
サハラード皇国最新鋭の戦艦で、地球で言うところの『セント・ヴィンセント』型戦艦に酷似しながら、少し上回る能力を有している。兵装もほとんど同じだが、ワイバーンのような飛行存在に対抗するためか、ガトリングガンレベルの魔導機関砲を搭載している。
前級と比較しても機関出力が6000馬力もアップしているため、排水量は5000t近く増大しているにも拘らず、速度が上がっている。
装甲にはミスリル合金を使用しており、レベルの高い装甲能力を発揮している。
現在は魔鉄鋼式飛竜母艦の護衛が主な役目。
武装
主砲50口径30.5cm連装砲2基4門
副砲50口径10.2cm単装砲20基20門
40口径7.6cm単装砲4期4門
魔導機関砲10基10門
全長・163m
全幅27m
喫水9m
魔導ボイラー20基・タービン×2/4軸
出力3000馬力
最大速力25ノット・巡航速力15ノット
航続距離8000海里……15ノット時
『エグザプル』級戦艦
サハラード皇国が初めて建造することに成功した回転砲塔搭載型の戦艦。見た目は英国の『ドレッドノート』型戦艦に酷似している。
それまでは属性魔法石合金による地水合金戦列艦が主力だった皇国が、新しい造船方法として希少なヒヒイロカネ合金を用いた船体を作る技術を確立させたことで生まれた、地球基準で言うところの弩級戦艦。
主砲に初めて回転砲塔を搭載しているため、大口径砲による応用戦術の幅が広がっていた。
しかも、魔法によるスムーズな精製があったことから、前弩級戦艦をすっ飛ばしていきなり弩級戦艦の思想に辿り着いている。
コンパクトながら高出力の魔導ボイラー・タービン機関を搭載しており、その性能は同時代の地球の戦艦より上回っている。
最新鋭の『マルフォジット』級戦艦が登場すると少し意義は薄れたが、それでも皇国にとっては貴重な戦力である。
武装
主砲40口径30.5cm連装砲4基8門
副砲50口径7.6cm単装砲24基24門
魔導機関砲8基8門
全長160m
全幅25m
喫水9m
機関・魔導ボイラー18基・タービン×2/4軸
24000馬力
最大速力23ノット・巡航速力13ノット
航続距離8000海里……13ノット時
『ハルシャヴィナ』級支援巡洋艦
サハラード皇国が保有する、地球基準で言うところの『装甲巡洋艦』の1つ『マイノーター』型装甲巡洋艦に匹敵する能力を有する。
戦艦のような大型艦ばかりでは小回りの利く敵に対処しづらくなると考えた皇国技術開発部によって、雑魚散らし用に駆逐艦共々開発された軍艦。
装甲にはヒヒイロカネ合金を使用しており、ちょっとした艦砲射撃レベルならば受け付けないくらいの装甲と、外洋でも航行できる巡洋能力を持つ。
コンセプトは『戦艦に随伴できる航行能力と防御力を持つ』というもので、砲の威力を抑え気味にしている代わりに防御力は高め。そのため、地球基準では『大戦間期の巡洋艦に近い』とも考えられる。
主砲は当初単装砲等の予定だったが、『連装砲の方が便利』という上層部及び技術部の判断で二連装砲になった。
速力もこのレベルの船としてはかなり高速で27ノットを誇る。
武装
主砲50口径23.4cm連装砲2基4門
副砲40口径19.1cm単装砲10基10門
40口径7.6cm単装砲16基16門
魔導機関砲10基10門
全長155m
全幅22m
喫水7m
機関魔導ボイラー24基・タービン×2/4軸
29000馬力
最大速力27ノット・巡航速力15ノット
航続距離15ノットで8000海里
『カリムラン』級駆逐艦
地球基準で『アケローン』型駆逐艦に酷似しているが、魚雷がない。
その代わり水中の巨大生物に対抗するための沈降魔導爆弾を搭載しており、対空・対艦能力よりも対潜能力に長けた船となっている。
ウェルトバウムに生息するヒュドラやクラーケンのような巨大生物に対抗するため、小回りが利くと同時に人海戦術で素早く水中の目標を見つけることができるようになっている艦。
装甲は皆無に等しいので、76mm速射砲ですら2,3発当てることで大破・撃沈できる。
速力だけは30ノットと現代艦以上(もっとも、この速度はオリジナルの『アケローン』型も同様だったと言える)。
武装
主砲40口径10.2cm単装速射砲2基2門
副砲7.6cm単装速射砲2基2門
沈降魔導爆弾三連装投射機2基
全長76m
全幅8m
喫水3m
機関魔導ボイラー3基・タービン×3/3軸
14000馬力
航続距離15ノット時2500海里
最大速力30ノット
『コクレア』級魔鉄鋼式飛竜母艦
地球基準でイギリスが建造した『イーグル(Ⅰ)』に近い性能を持つ『魔鉄竜母』とも言うべき船。
全長203m、全幅35m、排水量26500tを誇り、皇国最新鋭の船舶。
皇国海軍が『ワイバーンの支援を洋上で受けられないか』と考えたことで開発が始まった船で、最初は超大型の戦艦……地球基準で超弩級戦艦になる予定だった。
しかし、ミスリルを上回る希少鉱物・『アダマンタイト』を低コストで魔法精製する方法が見つかったことと、航空攻撃があれば船舶にも大打撃を与えうることが皇国軍内部で考えられていたこと、加えて新型の大型魔導機関が開発できたことにより、ワイバーンを大量に搭載した船へ改装したほうが良いのでは?という声が上がり、実験してみたところ面白いほどにうまくいったため、『魔鉄竜母』として制式採用、量産が決定した。
近い外観を持っている『イーグル(Ⅰ)』は複葉機25機を搭載できるものになっているが、飛竜は休んでいる間は翼や体を折り畳んで眠っているので、その分のスペースを竜と物資の搭載に充てることができている。
さらに航空戦力により対抗しやすくするための新開発された、発射機構を自動にした『20mm六連装魔導機関砲』も搭載されており、その能力は既存の船とは段違いとなっている。
唯一の弱点は水中からの攻撃なので、現在は巡洋艦レベルの大きさで対潜能力を持つ船を造れないかと考えている所に至っている。
武装
ブラックワイバーン40体
20mm六連装魔導機関砲10基10門
全長205m
全幅35m
喫水8.5m
機関魔導ボイラー34基・タービン4/4軸
最大出力60000馬力
最大速力28ノット・巡航速力20ノット
航続距離6500海里(20ノット)
ブラックワイバーン
サハラード皇国が所有している航空戦力・ワイバーンに魔素補給効率化のための『漆黒の収束魔石』を装備した、ワイバーンの強化型。
時速は生物としては桁外れの300kmまで出せる。
普通のワイバーンは空の色に溶け込む青色をしているのだが、『漆黒の収束魔石』の効果によって真っ黒な体表になっている。
攻撃方法としては、本来は火炎放射と火魔法による爆裂火炎弾が主なのだが、『漆黒の収束魔石』の効果によって闇魔法の効果が付与され、『ダークブラスト』という攻撃方法を得た。
能力的には『無誘導のロケット』のようなモノを10発連続で射出し、着弾すると炎魔法と闇魔法の炸裂で半径10mが爆発する。
対空目標に使うこともあるが、その収束力から、対地攻撃に使用されることが多い。ただし、射出速度も火炎弾に比べて速いため、ワイバーン同士の空中戦では使用されることもたまにある。
皇国最新鋭の『魔鉄鋼式飛竜母艦』にも搭載されている。
ただし、日本や転移諸国の戦闘機の前ではただの雑魚。
ベヒーモス
サハラード皇国が保有している陸上戦力。地球基準では戦車のような存在として扱われている。
魔素補給効率化のために『漆黒の収束魔石』を装備しており、表皮が大幅に強化されている。そのため、小銃弾や小口径の山砲、野砲程度は受け付けない。
口からは地属性と火属性の混合爆裂魔導弾を発射可能で、元々は数人を吹き飛ばす程度の威力だったが、『漆黒の収束魔石』によって強化されている。
地球基準では九七式中戦車の57mm砲と同程度の威力を誇る。もちろん対戦車性などは考慮されていないので装甲貫徹力はない。
皇国のいたウェルトバウムでは塹壕戦が発達しなかったため、どちらかというと市街地戦において建造物を破壊する、あるいは隠れている敵歩兵をいぶり出すために使用されている。
大きさも恐竜以上(トリケラトプスより少し大きめ)の大きさを持っており、その巨体から繰り出される突進だけでも十分な脅威。
収束魔石によって重量が増しているため、速度は時速20kmほどしか出せない鈍足。
リントヴルム
サハラード皇国に生息している、アンキロサウルスのような体躯をしたドラゴン。
動きは魔力による肉体強化で時速25kmの巡航速度と、大型の生物としてはそれなりに速いうえに対魔法能力を持つ鱗に覆われているため、魔法攻撃に強い耐性を持つ。
雑食で、植物や木の実から生物の死体までなんでも食べる性質で、環境の変化にも強いなど、生命力がとても強い。
ブラックワイバーンの『ダークブラスト』でさえ、10発全てを直撃させないと倒せるかどうかわからないというくらいの堅固さである。
尻尾には硬質化した骨のハンマーが存在し、魔力による肉体強化もあって近接戦においても大概の魔獣を圧倒できる。
『ウェルトバウム』に生息している生物としては古龍種を除けば最上位の強さを持っており、『魔獣眷属魔法』の使い手でもほとんどテイムできない。
数少ない例外が、その魔法を編み出したジークリートであった。
紘汰に転生してから『ウェルトバウム』南部に渡った際、たまたま上陸地点付近で10頭前後の群れを見つけて紘汰がまとめてテイムし、自衛隊の防衛能力の1つとなる。
紘汰が後に『閃光の収束魔石』を作ったことによって、鱗が中空化した簡易的な複合装甲を持つ『ホワイトリントヴルム』に進化する。
攻撃方法も射程100mの火炎放射と射程300mのストーン・ブレス(細かい石の弾丸を連続で発射す機関銃のような魔法)に加えて、射程3kmの魔力弾こと、『爆裂竜弾砲』(この場合は収束した炎と土の物理的破壊力を持つ魔力)を発射することが可能な、歩兵支援戦闘車両もどきになる。
威力は『第二次世界大戦時の75mm砲並み』と防衛装備庁が評価するほど(日本人にある程度分かりやすく言えば三式中戦車の砲レベル)に跳ね上がる。
防御力も大幅に上昇し、防衛装備庁が装甲を研究した結果、『〈八九式中戦車〉や〈九七式中戦車(旧砲塔)〉程度の砲ならゼロ距離で撃ち込まれない限りは大丈夫』と言われるレベルに固くなる。
装甲貫徹能力のない皇国の砲弾では、艦載砲の威力でないとこの進化したホワイトリントヴルムを倒すことはほとんど不可能。
魔素
空気中に漂う、魔法を発動するために必要なエネルギーの一種。
地球には一切存在していなかったが、ウェルトバウムには空気と同じ概念で存在する。
ウェルトバウムとの門が日本に接続されたことにより、門が開いている間は日本でも、そして日本人でも適性があれば魔法が使えるようになる。
日本及び日本連合転移後は各国が魔法の研究をはじめ、治癒魔法を中心に国家体系に組み込んでいく。
ジークリートこと紘汰が開発した『収束魔石』を用いれば、様々な物理法則に干渉することも可能となっているため、政府は紘汰に『特定の元素を収束させる魔石を作ることは可能か』と聞き、紘汰が『地球の科学知識を得た今ならできる』と答えたことで、各種動力源の効率化のために紘汰に依頼して『魔法工学』の設立も考慮する。
具体的には『燃える元素(この場合は酸素や水素)を収束させてターボファンエンジンやガスタービンエンジンの燃焼効率を上げる』であったり、『酸素を発生させる魔石を作って潜水艦の潜航可能時間を延長する』などであったりする。
『漆黒の収束魔石』は紘汰の作ったプロトタイプの収束魔石を参考に皇国の魔導学者がワイバーン用に集める魔力をチューニングしたもの。
しかし、その汎用性の高さと隠密性の高さから政府はテロ行為などに使用されることを懸念し、魔法の習得は国家の認めた人物による許可制とするべきという意見が主流となる。
これに関しても紘汰の意見を聞くことになるため、政府では紘汰を『魔導に関する第一人者』として扱うべきと言われるのだが、それは別の話。
また、政府は魔素の反応を科学的に応用することで強力な兵器が作れるかどうか、紘汰に問い合わせることになる。
魔獣眷属化魔法
紘汰が編み出した、魔獣の一部を人間及び亜人などの支配下に置くための魔法。
意思の改竄という強引なものではなく、魔獣の放つ魔力波長をチューニングすることで人間の基準に合わせ、仲間と認識させる魔法。
基本的な魔導師では弱小魔獣しか支配下に置けないが、紘汰はそのニュートラルかつ合理的な思考と、膨大な魔力を操る術を心得ているため、強大な魔獣も支配下に置ける。
ちなみに、群れがいる場合はそのボスを支配することで群れ全てを掌握できるのも特徴。
また、支配者は2人まで設定することができるため、紘汰は同行する自衛隊員をそのマスターに置くことで自分の負担を軽減している。
誤字報告の部分で『F-3B』の初登場のところが『F-35B』だと指摘してくださった方。
ごめんなさい。この小説の世界は2019年になった瞬間に転移しているので、『F-35B』は輸入されていないんですよ……登場しているのはあくまで、『F-35各種を参考にした『F-3A/B/C』という種類の戦闘機』なのです……。
『F-35』の登場を期待されていたのかもしれなかった読者さん、すみません。