地獄の蓋は開かれた
どうも、今月の投稿となります。
ついに、首都南京に対する攻撃です。
旧世界史上の戦艦では最大の主砲であった46cm三連装砲と同じ口径の45口径46cm三連装砲。
それが重厚な音を立てて旋回し、目標に対して衛星座標から照準を定めている。
目標は50km先の蟻皇国首都南京である。
ワスパニート王国国境基地からは既に『Pー1』、『AーC3』、『Fー6』が目標まで200kmを切ったことを報告してきている。
『やまと』を含めた護衛隊群のレーダーに、各機の識別信号は映っていない(さすがに内陸部で探知範囲外)ものの、管制塔の報告を信じることにする。
「『やまと』、射撃準備完了」
「『むさし』より入電。〈『むさし』、砲撃準備完了〉とのことです」
「……」
艦長の菅生は、このようなことに最強の46cm砲を使わなければならないことに口惜しい思いを抱いていた。
どうせ戦うのならば、同じ戦艦に対してこの主砲をぶち込んでやりたかった。
だが、命令は絶対である。
「連続斉射! 攻撃、開始‼」
「連続斉射! 撃ちぃ方始めぇ‼」
――ドドドンッ‼ ドドドンッ‼ ドドドンッ‼
発射された砲弾は速度が乗ると同時に尾部が割れ、推力変更ノズルが出現し、ラムジェットエンジンが作動して超音速で飛翔を始める。
この45口径46cm砲は元々、日本が開発したスーパーコンピューター・『富岳』の尋常ではない演算能力を用いて綿密に綿密を重ねた上で、日本で最も大砲に精通している企業と言われている日本製鋼所で造られたものであった。
主砲の口径はかつての大和型と同じ45口径46cm砲で、『通常の命中が期待できる』有効射程は20km前後であるものの、当時とは主砲の材質も砲弾の装薬に用いている素材も全く異なる。
そのため、通常砲弾(破片調整榴弾・対空用も兼ねる)の最大射程は50kmと大幅に延伸されている。
通常弾と同じ形状を持つ誘導砲弾(こちらはラムジェットエンジンではなくロケット推進)は200km、さらに最近開発された、対艦誘導弾並みの大きさを持つラムジェットエンジン搭載型誘導砲弾(要するに大砲から発射するタイプの大型誘導弾)が最大で350kmを誇る。
今回はロケット推進型の誘導砲弾を初期段階で用い、『Fー6』に搭載されている地中貫通爆弾を用いて地盤を吹き飛ばした後、地下都市の構造物に対してはラムジェット誘導砲弾を叩き込むつもりである。
『やまと』と『むさし』が同時に、連続で主砲弾を発射していく。
機関銃と異なり曳光弾は存在しないため、砲弾は尾部のロケット噴射の際の炎しか見えない。
そんな砲弾は着弾まで5分以上の時間をかける。
「誘導砲弾、100kmポイントを通過しました」
「空自より入電。『これより地獄の釜の蓋が開く』とのことです」
「バンカーバスターか……大和型の主砲とは違った意味で恐ろしい兵器だな」
「はい。地下に籠ったシェルターまでも吹き飛ばせるというのは……技術の進歩と恐ろしさを感じます」
そしてなにより恐ろしいのは、それだけの兵器を小さなボディで運べる航空機技術の進歩であろう。
日本が開発した多用途戦闘機『Fー6』疾風は、旧世界の『Fー15E』ストライクイーグルを超える兵装を搭載できる。
ストライクイーグルでさえ11tと悪名高い『Bー29』や『Pー3C』より多くの兵装を搭載できるのだから、その能力は推して知るべし、というところか。
しかも、反重力器官の搭載によって燃費も向上していることから、航続距離も大幅に延伸されている。
そんな『Fー6』戦闘機には、なんと4発もの地中貫通爆弾を搭載可能であった。
もはや旧世界を基準にするならば、壊れ性能と言わざるを得ないような能力である。
ただ、難点としては反重力器官の科学的・元素的な解析がまだうまくいっていないので、人工的な量産ができない、というところであった。
それでもグランドラゴ王国及びイタリシア王国から提供されたサンプルの解析は現在も進められており、あと10年ほどしたら開発される予定の最新型スーパーコンピューター『扶桑』が完成すれば、解析も可能だろうと言われていた。
現在はもっぱら両国から結構な高額(1つにつき1000万円以上)で輸入している状態である。
しかも、輸入できる量は年間百数十個程度しかない。
なにせ、ワイバーンも巨鳥も絶対数がかなり少ないこともあって、滅多に採取できないのである。
そのため、1個の価格が値上がりするのは当然であった。
もっとも、ただでさえ燃費と軽量化を気にする日本としては、多少値上がりするからと言って輸入をやめられないのも事実だ。
逆に言えば、両国にとっては食料以外で数少ない日本からの外貨獲得の素材なので、せめてもう数年ほどはこの状態が続いてほしいと願っていたりする。
「地中貫通爆弾、着弾しました。間もなく当方の砲弾も着弾します」
「着弾まで10、9、8、7、6、5、4、3……着弾、今‼」
その様子を映していた衛星カメラでは、地中貫通爆弾の着弾に伴う小さな爆炎の後、それとは比較にならないほどの猛烈な爆炎が上がったことを確認した。
防衛省に設置されている統合幕僚監部では、現代戦では巡航ミサイルの大量着弾以外では起こりえないであろう爆発に驚きの声が上がる。
「うおぉ……湾岸戦争でもこんな光景なかったぞ……」
「いや、一部あったな。戦艦『ミズーリ』が沿岸部に対して艦砲射撃を実施した時があった。あれが唯一匹敵するかもしれないな」
「それにしたって弾頭重量と射程距離がケタ違いだ。誰だよ、あんなトンデモ兵器造らせたの?」
「いや俺たちだって」
雑談しているように見えるが、その目は真剣にカメラを見ている。
これから起こるであろう地獄から、目を逸らしてはいけないとみんな必死に見ているのだ。
そして、近づいてきた『Pー1』哨戒機が多数の対地誘導弾を発射する。
対地誘導弾には成形炸薬弾頭(HEAT弾頭)が装備されており、その威力はただの防弾鋼板であれば2mであろうとも貫通できる。
天井部の構造は不明だが、もしもコンクリートかそれに類する素材であるのならば、もっと貫通できる厚みは増えるだろう。
「誘導弾の着弾を確認。しかし、破孔は確認できず」
「やはりそう簡単にはいかないか」
「しかし、ある程度までは貫通できたのでは?」
「間もなく砲弾の第2波が着弾します」
「5、4、3、着弾、今‼」
砲弾が着弾しても50km離れているために音が聞こえるわけではない。
しかし、通信員からは衛星から入ってくる情報が逐一伝えられているため、艦橋要員たちの頬にはツツッ、と冷や汗が流れている。
「衛星より……破孔を確認! ポイント、F16!」
それを聞いた『やまと』と『むさし』の両艦長はカッと目を見開いた。
「砲撃ポイントをF16に集中せよ‼ 破孔を広げ、敵の市街地を露出させるのだっ‼」
「了解‼砲撃ポイント、F16に集中せよ‼」
砲雷長に指示が飛び、衛星から送られてきた座標データを入力してそこに砲撃を集中させるようにした。
これにより、ただでさえ大重量の徹甲弾がわずかなポイントに集中することになる。
以前も表記したが、『やまと』型護衛艦の主砲は30秒に1発を発射することができる(この数値は大体某海洋学校アニメに登場する大和型直接大型教育艦とほぼ同等)であるため、かつての1分間に1.5発よりかなり早くなっている。
そのため2艦が1門ずつ、7秒ごとに1発を撃っていけば、9発撃ち終える頃にはまた最初に撃った主砲が発射可能となる。
着弾まで5分近くがかかるため、敵からすれば砲弾の雨を通り越した、砲弾の嵐が吹き荒れているような状態がずっと続くのだ。
破孔が発生したF16ポイント周辺に2艦の砲撃が集中し、次々と天蓋部分の破孔が広がっていく。
同時刻、蟻皇国皇帝である蟻徳洪は就寝中であった。
しかし、突如襲ってきた揺れに目を白黒させながら飛び起きていた。
「な、な、な、なにごとじゃ!?」
徳洪が布団から寝巻のまま転げ落ちると、外を警備している近衛兵が駆け込んできた。
「陛下‼ ご無事でしたかっ‼」
「おぉお主たち! なにが起きたのだっ‼」
近衛兵たちも顔を真っ青にしながら首を横に振る。
「わ、わかりません。軍からはなにも情報が入っていないので……」
「くっ……正確な情報が入ってこないのもイライラするが……ひとまずなにが起きているかだけでもわからないのもイライラするわいっ‼」
元来の性格は温厚な徳洪だが、『なにもわからない状況』が続く中で冷静さと温厚さを保っていられることはまず無理である。
すると、皇帝の居城に勤めている軍の若手兵士が、こちらも血相を変えて飛び込んできた。
「陛下、一大事でございます‼」
「それはわかっておる! なにが起きたというのじゃ‼」
「そ、それが……地上が攻撃を受けております‼」
「な、なに!?」
「どうやら、高威力の爆弾を落とされたらしく、地上の土部分が吹き飛ばされたとのことです‼ また、その後猛烈な爆撃としか思えない攻撃が連続し、地上の航空基地は壊滅しました‼」
「まさか……敵は夜間攻撃能力を持っているというのか! それほどに強力で信頼性の高い電探を開発したというのかっ!?」
地球史を基準にすると、歩兵の夜間戦闘(要するに奇襲)は昔からよくあったことで、海戦に関しては相手の基地を小型の船で襲撃する(近代戦では、水雷艇が多かった)など、こちらも昔から存在した。
だが、飛行機はそうもいかない。
ただ飛ばして地上に攻撃をするだけならば夜でもできなくはないが、編隊を組んで飛行しようと思うと、通信機があったとしても僚機との距離感を測れないということからぶつかってしまう危険性がある。
さらに、着陸しようにも管制塔がレーダーなどで位置を把握できていなければ着陸誘導を行うこともできない(現代航空機に関してはこれに加えてストロボライトなどの器具も充実している)ため、第一次世界大戦時から第二次世界大戦後半まで、夜間の航空攻撃というのはかなり危険であると同時に戦果が少ない攻撃方法だったと言わざるを得ない。
実際に、攻撃される方は灯火管制を敷くことで敵の攻撃の目を少しでも欺こうとし、攻撃側も地上になんらかの目印を作ることで攻撃を成功させようとするなど、一進一退の攻防だったと言ってもよい。
日本では夜間の『Bー29』攻撃に対してレーダーを装備した夜間戦闘機『月光』(わかる人にわかるように言えば、『こ○亀』の特殊刑事課某セーラー服刑事2人組が乗っていた戦闘機)のように、レーダーの存在が一般的になるまでは全天候能力というには厳しいものだった。
戦後ジェット機の時代になってからは、第一世代ジェット機の代表格である『Fー86』セイバーがレーダーを装備した『D型』こと『セイバードッグ』以降は多くの戦闘機でレーダー標準装備となる。
ちなみに、攻撃機の場合はオタマジャクシこと『Aー6』イントルーダーから、とも考えられる。
「ば、バカな……イエティスク帝国でもつい最近戦闘機と大型双発機は夜間に飛ばして攻撃をさせることには成功したと聞いているが……これほどの連続した、しかも超高威力の爆撃ができる飛行機を有しているなど聞いたことがないぞ‼」
実際に航空攻撃が行われたのは最初の1段階目における『Fー6』と『Pー1』だけで、現在は『やまと』型の艦砲射撃である。
それとて50kmという遥か彼方からの誘導砲弾による砲撃なので、目視することもできず、レーダーがなければ範囲外探知をすることもできない蟻皇国では理解のしようがなかった。
「おのれえええぇぇぇぇぇぇ……どうしろというのだっ‼」
既に度重なる攻撃により地上の迎撃兵器(この場合は高射砲及び高射機関砲など)もその能力を喪失しており、反撃できる状況ではなくなってしまった。
その時、さらにもう1人の兵が飛び込んできた。
「も、申し上げます‼ 地下都市天井盤が……敵の猛攻を受けて崩落いたしましたっ‼」
「な、なんだとッ‼ イエティスク帝国の『空爆』でも破壊できないだろうと言われた、あの天井がか!?」
元々古代先史文明技術で作られた天井盤は非常に頑強で、500kg爆弾はもちろん、1t爆弾の連続着弾にも耐えうるだけの強度があると言われていた。
しかし、『やまと』型の砲弾の重量は1tを優に超えており、しかも着弾時の速度は音速を遥かに超えている。
その時の衝撃だけでもただ落とされる爆弾とは比較にならないほどの威力であり、連続で着弾しようものならばいずれは耐えられなくなり崩落するのは自明の理である。
「ぬぬぬ……敵が天井を破壊してきたということは、空挺部隊を使って乗り込んでくる気やもしれぬ! 十分に警戒せよ‼」
イエティスク帝国が大型の航空機にパラシュートを背負った兵を乗せて空中から降下させてくる『空挺降下戦術』が存在することは知っている。
なので、それを警戒したのだ。
だが、残念なことに迎撃用の兵器のほとんどは地上に配備されているため、地下には申し訳程度の対空機銃と歩兵の携行兵器しかない。
それでも、なにもしないわけにはいかないのだ。
「直ちに軍部に命じて兵を各所に配置させろ! 各省庁のような重要箇所が乗っ取られるようなことがあれば、国政にも影響が出る‼」
「し、しかし……」
「なにをしておるかぁっ‼ 皇国臣民の命がかかっておるのじゃ‼ 早くせいっ‼」
徳洪の鬼気迫る声に圧倒された若い兵士たちは『は、はいっ‼』と叫ぶと軍部へと走り出した。
そんな彼らと入れ替わるように、趙雲子龍が飛び込んできた。
「おぉ、陛下‼」
「子龍か。状況は?」
「はい。お聞きかもしれませんが、天井盤が破られ、市街地にも攻撃が届きつつあります。市民はこのような真夜中に首都を攻撃されるとは思っていなかったものですから、逃げ惑う者で道が溢れているそうです」
「で、あるか」
当然だ。現在は夜中の2時。
良い子も悪い子も、若い者も年寄りも基本的には(日本人にとっては関係ないが)寝ている時間である。
そんな時間に街に攻撃が降り注げば、大混乱に陥ることは自明の理であった。
しかも、この南京は元々地下都市であったことと先史文明の遺構を利用しているせいで避難所などがほとんど整備されていない。
しかも、狭い遺構の中に都市を作っているものだから、崩落すると多くの人や建物を巻き込んで二次被害、三次被害と尋常でないほどに拡大するのだ。
「軍の動きは? 先ほど指示を飛ばしたところじゃが……」
「それが、運悪くと申しますか運よくと申しますか……敵の攻撃が貫通後に真っ先に統括軍の本部に落下したのです。おかげで若手将校を始めとした過激派も穏健派も皆粉微塵に吹き飛ばされてしまいました。私は街の見回りをしていたおかげで命を拾いましたが」
「しかし、だとすれば初期対応すらできぬ状況か?」
「そうですね。幸いなことに警察署と消防署は無事ですので、既にそちらの方へ通達し、開けた場所へは出ないように、地下室のある家は地下室へ潜って避難するようにと伝えさせております」
「そうじゃな。こうなれば是非もない。攻撃がやむまでは隠れ潜むことしかできぬわ」
「陛下におかれましては、私が有志と共に用意していた非常用退避壕へ。そこであれば、イエティスク帝国であろうとも見つけることもかないませぬ」
「で、あるか。よし。善は急げじゃ」
徳洪はその老いた見た目からは想像もつかないほど機敏に立ち上がると、一部の侍従たちと共にパタパタと駆け出していったのだった。
果たして今の状況が最善と言えるかどうかはさておき、徳洪は侍従と一部の兵と共にシェルターへと向かうのだった。
それから2時間後、やっと艦砲射撃が停止した。
皇国民は家から恐る恐る出てくると、星明りの見える空をポカンと眺めていた。
見れば、5kmを超える巨大な穴が開いてしまっていた。
「とんでもない攻撃だったな……」
「あれ、なんだったのかしら?」
「まさか……イエティスク帝国か?」
「バカな‼ 帝国の戦艦の主砲でも、こんなことになるかどうか……」
――ウウウゥゥゥゥゥゥゥ……
「……なんの音だ?」
「飛行機の羽みたいだけど……」
すると、空を見渡していた若い男が南の空を指さした。
「なにか……なにか飛んでくるぞ‼」
「鳥か?」
「飛行機か?」
「バカな‼ 飛行機は夜間飛ぶことができないだろう‼」
レーダー技術と夜間離発着の技術が確立し始めたイエティスク帝国でなければ夜間の航空機の離発着が不可能なことは、ある程度技術が発展している蟻皇国やニュートリーヌ皇国では常識であった。
だが、迫ってくる航空機はピカピカと各所を光らせながら迫ってきており、なんらかの攻撃手段であると判断できた。
そして、蟻皇国は軍事知識に詳しい国民も多いためか、すぐに『その可能性』に気づいた。
「もしかして……イエティスク帝国の重爆撃機じゃ?」
「じゅ、重爆撃機!? 街1つをわずかな機数で滅ぼすことができるという!?」
「そ、そんなのが攻めてきたら……」
人々は炎に包まれる南京の街を一瞬で想像した。
「に、逃げろおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼」
「うわああああああアアアァァァァぁぁぁぁぁぁッ‼」
人々は蜘蛛の子を散らすように自分の家や手近な建物へ飛び込んでいく。
軍属の兵士たちは銃を持ち出して上空へ狙いを付けようとするが、電気・ガスの類も先ほどの猛烈な攻撃によりほとんど停止してしまっているため、街の明かりもほとんどないせいか見えにくいことこの上ない。
「く、くそっ‼ 敵飛行機がまるで見えない!」
「こんなのでどう迎撃しろってんだよっ‼」
――ウウウゥゥゥゥゥゥゥ……‼
そう言っている間にも敵飛行機は迫りつつある。
レシプロエンジンに比べると少し高い音に聞こえる気がするが、それが兵士たちの恐怖心をより煽る。
やがて、市街上空に侵入した敵機は、その影をこちらに向けてきた。
うっすらだが見えるシルエットはそれなりに流線型でスラリとしているように見える。
「くそぉっ……撃てぇっ‼」
――バンッ‼ バンッ‼
――ダダダダダダダダダダダダダッ‼
街の各所から銃声が上がる。
中には機関銃を持ち出してきた者もいたらしく、マキシム機関銃に似たそれを上空に向けて発射する者もいた。
しかし、タダでさえ狙いにくい闇夜の中で、目視照準で航空機に銃弾を当てようというのは困難である。
加えて、今南京の上空に侵入してきた航空機……日本国航空自衛隊所属の『ACー3』彗星は元々輸送機ではあるものの、小銃弾や小口径の機銃弾が胴体にちょっと当たった程度ではびくともしない素材で形成されている。
ダメージを与えたければ、エンジンに命中させるしかないだろうが、速度も乗っている飛行機を小銃や対歩兵用の機関銃で撃つのは至難の業であった。
「チクショウ! あんなのどうしろって言うんだっ‼」
すると、敵機が横腹を見せた……ように見えた。
「?……なにをする気だ?」
すると、左旋回しながら飛行する敵機の腹から、光が連続して煌めいた。
「敵機発砲‼」
――ドンッ‼ ドンッ‼
――ブオオオォォォォォォォォォッッ‼
『AC―3』の横腹に装備されている52口径105mmライフル砲と、30mm多銃身機関砲・『信長』、さらに米国のミニガンをモデルに開発された7.62mm多銃身機関砲が火を噴き始めた。
105mmライフル砲から放たれた多目的榴弾は建物に命中すると猛烈な爆発を起こし、命中した部分を吹き飛ばす。
脆い建物の中には、その衝撃だけで崩壊してしまうモノもあった。
『信長』の威力もすさまじく、建物だけではなく地上の車や、小さな警察官の詰め所程度であれば簡単に粉々にしてしまうのだ。
蟻皇国の兵たちは密集してなんとか命中弾を出そうと集中射撃を見舞うが、それこそガンシップである『ACー3』の思う壺であった。
全ての火器を集合した歩兵に集中させて、一気に敵を吹き飛ばしてしまった。
恐ろしいのは、この攻撃がなんと2時間半以上も続いたことである。
元々長距離を航行できる輸送機をベースにしているだけのことはあり、ペイロードも航続距離も大きな『ACー3』は、制空権させ確保できていればの話ではあるが、長時間にわたって一ヵ所の空に張り付いて攻撃をすることが可能なのだ。
この日、蟻皇国の首都南京は壊滅的な被害を受け、軍民問わぬ死者は2万人を超える大惨事となったのだった。
皇国民の多くは、この後しばらく今回の攻撃をイエティスク帝国のやったことであると勘違いし続けることになるのだった。
私事ですがポケモン新作を買ってもう2週間になりますが、ストーリー攻略に使った1週間の間にシガロコ2匹とココガラ1羽の色違いを見つけました。
自分でもわけわかんないという感じですが、リアルガチの話です。
こんなに早く見つかるなんて、20年以上ポケモンをプレイしていますが初めてですね。
今回も色々とバグや不具合が報告されているようですが、私個人は非常に楽しんでおります。
今日から『最強のリザードン』も始まりますので、皆で頑張りましょう。
次回は1月の7日に投稿しようと思います。




