マッチ売りの腐女子
生存報告を兼ねて、短編を。
少しの真実と、かなりの空想で出来た作品。
どの部分がどっちかは、読者のご想像にまかせますね(笑)!
“マッチ売りの腐女子”
インフルエンザが猛威を振るった冬。
2回もかかり、ヘロヘロになったマッチ売りの腐女子。
気がつけば、冬の童話祭りが終わり、葉桜の季節に……。
「ブームに乗り遅れたぜ! ちくしょう!!」
年度末の慌ただしさもあり、季節は完全に変わり過ぎていた。
花見の宴会者も既になく、季節外れ……
「マッチ~ マッチは要りませんか!?」
定番のセリフを言うも、見向きもされません。
「……こんなハズじゃなかった」
冬の童話祭りでの売り上げ(閲覧)を見込み、仮発注しておいた大量のマッチの在庫……
無駄にはしたくない!
このマッチ(下書き)をなんとか(無理やり投稿)しないと!
マッチ売りの腐女子は、流れに沿って行動する事にした。
「(来シーズンの冬まで、在庫(下書き)抱えてなるものかっ!!)」
その一心で。
しばらく定番のセリフを言うが、腐女子は咳き込み出す。
「この季節に野外活動は無茶ぶりだ~」
腐女子は、何だか分からないアレルギー反応に苦しんでいた。
主要25品目以外のアレルギーなのだ。
追加検査の費用を惜しみ、何だか分からないままのアレルギー反応。
身体のダメージと、財布や心のダメージを天秤にかけたチョイス。
腐女子は、秘密を秘密のままとしたのだった。
「ぶぁっくっしょん ちくしょうっ」
くしゃみと鼻水、目もしばしばして来た。
語尾に“ちくしょうっ”をつけないと、やってられない気分だ。
決して某お笑いタレントへのリスペクトではない。
「もう、このセリフはいいや。次の場面に行こう……」
マッチ売りの腐女子は、マッチを擦った。
有名な場面だ。
マッチを擦ると昔ハマった場面が甦る。
「あ、あれは●●歳のころドハマりした●●●●●!」
「あ、あれは●●歳のころドハマりした●●●●●●●●●!」
オタク魂にメラメラと炎が甦る。
ボックスティッシュとゴミ袋を持ち、マスクをずらして、鼻をかみつつなので、名シーンが迷シーンと化している。
色々と締まりがない。
冬、周りの雪は溶け、腐女子は魂だけでなく、肉体もメラメラと炎が上がる。
そんな台本予定が台無しだった。
「やけくそよ! このまま演じるわっ!!」
小学6年生の時の演劇部の経験を生かした女優根性は、伊達ではなかった。
当初のプロットのまま、強引に進める事にした。
この“マッチ売りの腐女子”及び期間外れの“春の童話祭り”は、完全な腐女子の1人舞台だから。
……ちょっと寂しいぞ。
年度末が終わり、新年度のデスマが重なるように始まった。
マッチ売りの腐女子(アラフォー社会人)は、色々と抱えて忙しく、文字通り大事な心を亡くしていた。
腐女子の肉体が焼けた跡から、腐女子魂が複数に分裂した。
不死鳥となった腐女子魂は、時空間を超えて現代の日本の少女の肉体に吸い込まれた。
こうして腐女子は日本女性の中で永遠に増殖するのだ。
たまに分裂した腐女子魂の中でも外人好きが海外に行ったり。
歴女が過去に行ったり。
また誤ってか意図的か男性に入り“腐男子”も生まれてしまう。
肉体があった時から活動的なのだ、魂だけになり交通費のかからない腐魂の行動力は、計り知れない。
電脳世界を通り、ファンタジーな異世界や、PCやタブレットを通じて、ほら貴方や貴女にも入り込んでる。
恐ろしい感染力と感染経路……
腐ったみかんが隣のみかんを腐らせるように、僅かな接点で連鎖的に腐っていく。
今は大丈夫に思えても、それはただの潜伏期間。
大丈夫、皆、一緒だから。
早いか、遅いかの違いだから。
さあ、腐った楽しい世界に、ようこそ♪
いつか、あなたや友人が腐に目覚めた時、
時空を超えて飛び込んだ腐った魂の話を思い出し、慈しむ心で受け入れてね!?
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焼け跡セットから、ムクッと立ち上がったマッチ売りの腐女子。
「あ~ 疲れた……。
でもこれで、アイデアも下書きも無駄にならなかったな♪」
ベリベリっとカツラや衣装を剥がすと、リアルの事情で3カ月程、成りを潜めていた貴腐人だった。
インフルエンザやデスマも何のその、しぶとく生きていた。
後、少女役はアラフォーには、キツかった。
仕方ないのだよ。
企画も、台本も、主演も全て貴腐人のみ。
他のスタッフはいない寂しい1人舞台だから。
……だれか、季節外れの“春の童話祭り”参加してもいいんだよ?
お読み下さり、ありがとうございました♪