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一蓮托生、繰り返される運命。

作者: 劇薬 Gekiyaku

   下には漆黒の暗闇とそれを照らす蛍光灯。

 風が吹き付け、僕の服を揺らす。


 強風に押し出されそうになる体を君が抑えてくれる。

 君は僕に儚げな笑みを向ける。

 ああ、そうだね。僕達はいつも、いつまでも二人一緒だ。

 あの日、君に救われた時からずっと。


 思えば僕は君の助けられてばかりだったね。

 気も体も弱い僕をいつも守ってくれていた。


 初めて施設に入って、誰にも話しかけれず孤立していた僕を。

 [あの事件の生き残り]というだけで呪われていると差別された僕を。

 差別が酷くなって虐められる僕を。

 職員さんに虐待される僕を。


 その結果、君は酷い目にあった。酷いことをしてしまった。

 君も僕と同じだったんだね。


 呪われている。


 あの力があんなにも恐ろしく、悍ましく、凄惨たるものだったなんて。

 だけど、それでも。あんなにも美しいものだったなんて。


 もう戻れない。


 僕と君はこの世界では生きていけない。

 美しく輝く力を持つ君は、ただ醜く這いつく僕にこの世界では生きにくい。


 僕と君は一つ頷き会い、この暗闇に身を委ねた。

 最後まで僕達は一緒だ。


 一蓮托生。


 そこにどんな運命が待っていても、共にいよう。


 僕の体は漆黒の闇に包まれ、また蛍光灯の光に包まれ....。


 実に退屈な人生だったな。

 自分を持てない僕は無色透明の水のようで。

 何色にも染められない液体のようで。

 僕という無色はこの闇に溶け込み見えなくなった。


 漆黒の到着点はすぐそこに。

 衝撃と痛みに備える。


 大丈夫だ。痛みには慣れている。


 だけど、どうしてかな。

 慣れている筈なのに、とても痛い。

 何故だろう。

 君はもう死んでしまった。笑顔のままで。

 その笑顔を見ていると、胸がとても苦しくなる。ズキズキと、ジュクジュクと、痛む。


 僕という存在はもうすぐ終える。

 無色の僕は漆黒と真紅に塗れて見えなくなった。

 そんな僕も、色を持ちたかったのかな。


 今まで言えなかった言葉を、感情を、思いを。

 掠れる声で口にした。


「今までありがとう。君の事が好きだ」


 


 

 そして、あの日に戻る。

 この呪われた体は、運命を繰り返す、繰り返す、繰り返す。


 一蓮托生。死の運命を君と共に繰り返す。

 これは運命を抗う少年の戦いの幕開けの夜。

状況次第で連載しようかな....。

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