新たなスタート
私はあの後、遊輝から軽く聴取を取り、その事を上に報告し、帰路に着いた。
それから数日後、私は上司の田上さんから呼び出されていた。
「それで、話というのは…」
「あぁ、話というのは遊輝くんの事なんだ」
「取り敢えずこの書類を見てくれ」
そう言って田上さんは書類を手渡してくれた。
阻止て私は、そこに書いてあることに愕然としてしまった。
「こっ…これは!?」
「…全て真実だよ。僕も最初聞いた時は驚いた、
まさか……」
・・・・・・・・・・・
「人の性別が変わるなんて」
そう、この書類は、「反転性性転換症候群」
通称、「TS症候群」と呼ばれるものの資料と、
遊輝のカルテだった。
「彼の症状はその資料の通りだよ、彼の名前は、
鏡町遊輝、連れ去られたという通報のあった場所から、そうと遠くないところに住んでいる。」
「親とも接触をとった、見知らぬ女の子が居たから追い出したと言っていた。だから間違いないだろうね。」
「親との接触を?なら、あの子をすぐに家に返してあげては?あの子の親もすぐにでも会いたいとお思いでしょうし」
「……それは出来ない」
「何故ですか…!?」
「死んでしまったからだよ。」
「えっ?」
私は驚きを隠せなかった、どうやらあの子の母親は事情を説明した、数日後に自殺してしまったらしい。その時の様相は、相当病んでいたそうだ。
息子にしたことに、それだけ負い目を感じたということだろう。
「では、あの子はどうなるのですか?」
「君を呼んだのは、その事についてなんだ、
君に、遊輝くんの監視者兼保護者を頼みたい。」
「保護者はわかりますが、監視者……?ですか?」
「国からの命令さ、『それはとても特異な病であり、一般に知られればパニックが起きることが懸念される。よって、他言されぬよう監視者をつけることとする』…だとさ」
「要するに、『国民パニックになるから余計なこと言わないよう見張っとけ』ってことだね……全く、胸糞悪い話だよ。」
まったくその通りだと思う、だが、メリットもある、確かに国民に知れればパニックになるだろうし、伝染る、などと言われいじめが多くなる可能性だってある。
「分かりました、その件、引き受けます。」
「ありがとう、これから大変だろうが、頑張ってくれ、僕もできるだけサポートするよ。」
「ありがとうございます」
そう言って私は敬礼をし、会議室をあとにした。
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それから私は、遊輝の元に数回訪れ仲を深めて行った。
「なぁ、遊輝?退院したらどこに行きたい?」
「え、えっと…か、かいものに、いって、みたい、です…」
「そうか!なら服でも買いに行こうか」
「は、はい…」
まだぎこちなく、言葉もつっかえるが、大分会話ができるようになった、桑山先生が言うには、心の方もだいぶ落ち着いているそうだ、このまま行けば、数日後には退院出来るだろう。良かった、
遊輝にはもう私が保護者になることは伝えている
頬を染めながらも、嬉しいと言ってくれたので、私も嬉しかった。
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それから数日後、ついに、遊輝の退院の日が来た
「それじゃあ、遊輝さん、お大事にね、また何かあったらいつでも相談に乗るわ」
「は、はい…」
そう言って桑山先生が遊輝の頭を撫でる、遊輝は
恥ずかしそうにしている。
「それでは、お世話になりました」
「あ、ありが、とう…ござ、います」
私がそう言うと遊輝も続けてお礼を言った。
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病院を後にして、数分、私の家の前に着いた。
「さぁ、遊輝、ここが新しい家だ」
「こ、ここが…?」
私の家は、二階建ての一軒家で2人で住むには十分だ。
「さぁ、荷物を置いたら、遊輝は寝ていいぞ、
明日は約束してた、買い物に行くからな」
「は、はい…ありが、とうござ、います…」
そう言って私は、遊輝を寝室に連れていった。
「おやすみ、遊輝」
「おや…すみなさ、い…ひとみ、さん」
さて、私も、荷物を片付けて、寝ることにしよう
明日は、楽しみだな
実在しない病気ですので、ご容赦ください。