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ギルドの有名人―仲間との再会―


 異世界設定で冒険者といったら、やっぱりギルドは書きたいですよね。


「……こいつら、確か指名手配されてたと思うんですけど。」


 俺は今、王国のギルド本部に例の奴らをつきだしに来ていた。亀甲縛りのまま町中を引きずり回したことでこいつらはもう抵抗はしなくなっている。

 まぁ、当然の報いだ。


「は?……ちょっと確認しますね」


 そう言うと受付のお姉さんが資料をいくつかもってこっちに来て、一人一人を確認し始めた。


「……確かに、指名手配犯ですね……しかも、フルメンバー……」


「あぁ、やっぱりですか。取り逃がしがなくてよかったです。」


 お姉さんは確認し終わると、驚愕の目で俺を見た。


「このグループ、もう何年も追ってるのに全く足取りが掴めなくてこちらも頭を抱えてたんですよ。どうやったんですか?」


「うちのが優秀だったんですよ」



 そう言って足元のガロを撫でると、ガロは照れ臭そうな顔をした。今回はガロの鼻がなかったら、ヤナは既に手遅れになっていただろう。


「ちなみに、身分証明は出来ますか?無いと正式な報酬が出せなくて……」


「はい、どうぞ。更新はまだなんですけど」


 そう言ってライセンスを差し出す。すると、俺とライセンスを見比べて再び目を丸くした


「一年くらい活動休止して―――――」


「あなた、ソラさんですか!?」


 言い終わる前にお姉さんが大声を上げる。すると、その声を皮切りにギルド中が一斉にざわつき始めた。

 だから来るのは嫌だったんだ……


「何で居なくなっちゃったんですかぁ!?ギルドのトップが突然消えたから、皆パニックになって―――――」


「お姉さん!しー!静かに……」


 あぁ、もう手遅れだ―――――2人、知ってる顔が駆け寄ってきた。


「ソラさんっ!何故いなくなってしまったのですか!!俺はソラ先輩を見習いソラ先輩を目指して日々鍛練をしていたと言うのにー!!」


「お前は十分強かっただろうが……ローガン。」


「名前を覚えていただいてましたかッ!光栄です!!」


 この暑苦しいのはかつてのパーティメンバー、ローガン。斧使いのパワータイプで、『こっちの世界』出身のドワーフだ。


 身長がチビなゴリマッチョに慕われてもあんまり嬉しくないなぁ……めっちゃいいヤツだけど。


「お帰り、ソラ」


「いや、別に帰ってきたわけじゃねぇよ?イリス。」


 こっちは、同じくこっち出身のハーフエルフ、イリス。魔法の使い手で、かなりやり手だ。しかし、事あるごとに誘惑してくるため困っている。

 確かに、美女だしスタイルもいいし頭もいいし強いし……まあ要するに才色兼備なのだ。


「二人とも、もっと強くなったんだろ?」


「フフ、もう二人ともAランクよ。今でもあなたの場所は空けてあるわ。パーティに戻ってきてよ……」


「出世したなぁ……でも、戻る気はいまの所ないな。金にも困ってねぇし。」


 そのタイミングで、手続きしていたお姉さんが戻ってくる。


「手続き終わりました!賞金はこちらになります。すべて振り込んでおきました。」


 差し出された羊皮紙には、二十万ルークと記されている。この世界の通貨は、前にうちに来たうちを奴隷販売店と勘違いしたアホの異世界人の話によると、確か1ルーク二百円。つまり、異世界通貨で四千万円。

 捕まえたのは5人だったから、一人につき四万ルーク、八百万円か。


「たっけぇな!あいつらそんな大物だったのか!?」


「大物も大物、3年間に渡って把握できている限りでも年間20件以上の誘拐、更には密輸していたこともわかってますし、そのルートを押さえられるんですから、そのくらいは当然です!」


「そうだったのか……本当に危なかった……」


「ところで、その子達は?見たところ獣人の子に見えるんですけど」


 お姉さんが、俺にぺったりくっついているヤナ達を手で示し、尋ねてきた。


「私も気になってたのよねぇ」


「激しく同意」


 そして、ローガンとイリスも頷いた。


「んー、こいつらは俺が保護していると言うか、今の俺の仕事だ。奴隷を保護してる。」


 皆が首をかしげた。まぁそうだろう。本来そんな職業は存在しないからな。


「あ、これの換金も頼む。新しいダンジョン見つけたからそれの申請もな。」


 どさりとカウンターの上に袋に詰めた宝を置くと、お姉さんは驚愕で再び目を丸くした。


「これだけの量は……とても今日じゃ鑑定しきれないので、また明日来てください。あ、ここの二階に部屋空いてるので自由に使っていいですよ!」


 差し出された鍵を受けとる。


「わかった。飯は外で食う事にする」


「残念ですが……わかりました。」


 ギルドでは格安で飯を出しているが、とてもこの視線のなかで飯を食う自信はないし、ガロ達もさっきから緊張からか一言も喋らないし。


 そうして、へとへとになりながら店を後にした。




 


 






 





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