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初フレンド


「むっ、ぷは。何なのだっ!痴女か!?そうなのかっ!?」

「あ、あははっ。ごめんね、感極まっまっちゃって」


そういうと女店主はやっとの事で解放してくれた。ふぃ…苦しかった。

【ごめんね、ごめんね】と言いながら店主は申し訳なさそうにしている。


「ごめんね、普段は抑えれるんだ。でもアナタがあんまり可愛かったからついね〜…あっ、大丈夫、大丈夫。痴女とかそういうんじゃないから」


ち、痴女という訳ではないのだな…。ふぅ、焦った。


「私はただ可愛いい女の子に興奮するだけっ!安心して、所構わずじゃなく場所は選ぶよっ」

「計画的!?余計危ないではないかっ!!オマワリさ〜ん!」


そんなこんなで…私はその場を脱出すべく試みたのだがこの女店主、中々解放してくれない。

君の性癖は誰にも言わないからっ!もう解放してくれないかっ!


「待って、ちょっと待ってってば!みたところアナタ初心者でしょ、それにウッカリさんでしょ!さっきNPC店で爆買いしちゃったって言ってたじゃない」


いや…確かにウッカリさんと言われれば否定は出来ない。

だが、決して爆買いはしていない…。


「それがどうしたというのだ?取り敢えず私はもう行く、かまわないでくれ」

「アナタ、始めたばかりなのにNPC店で買い物した後ならスッカラカンじゃないの?」

「う、うむ。だがそれが何の…」


どうやらこの女店主には私の所持金が丸裸らしい。

しかし…それならそうと商売人の彼女には、尚のこと私には用は無いはずだ。

やはり、別の目的で私を引きとどめて…ぶるるっ…。


「ちょっと何よ、その怪訝な目は。アナタが何かドロップアイテム持ってるなら買い取ってあげようと思ってただけよ」

「うっ、ほ、本当か?また抱きついたりしないか?」

「もう、大丈夫よ。あれはついやっちゃっただけ。いつもそんなキャラじゃないの」

「ついやってしまうのも十分危険なのだが…」


まぁ、女店主も落ち着いてきてるみたいだし、現金化もいずれ必要なのだから換金しとくか。

コボルト肉とゼリーが沢山、後はオーク肉が一個だけある。

それら全てをアイテムボックスから出して並べる。


「うわっ、こんなに…オーク肉まで!?アナタ初心者じゃなかったの?」

「いや、始めたばかりだが。あっ、このオークの肉はダメだぞまだ食べたこと無いんだから」

「分かったわ。美味しいのよねこのお肉、脂の甘みが何ともいえない旨味を…」


あ、あげないゾっ!これは私が食べるんだ。

物欲しそうにする女店主を尻目にサクッと買い取ってもらう。

幾つかゼリーとコボルト肉を残しておいて売却したら800Eeenになった。


「う〜ん。このオーク肉なら一つでも1000Eeenになるんだけど本当に売らない?」

「駄目だゾ!これは私が食べるんだ」

「そう?…そうだ!アナタNPC店で料理セットを買ったような事言ってたわね。コレ調理して私にも少し食べさせてくれたら何か商品をプレゼントするわよ。調合セットなんかどう?アナタ見てたでしょ」


ふむ、オーク肉は味見出来るのならば分けてもかまわないし、調合セットも欲しかったところだ…。

しかし、プレイヤー同士のアイテムの無償譲渡は出来ないのではなかったか?


「アイテムの無償譲渡は出来ないのでは?」

「無償じゃないわよ。オーク肉を食べさせて貰うじゃない、うふふ。」


最初はハテナ?と思ったが、どうやら私のオーク肉料理を彼女が1000Eeenで買い、その後その1000Eeenで彼女の調合セットを買うという流れだ。

オーク肉の一部ではそれが料理されていても1000Eeenの価値は無いため、差額分プレゼントという事になる。


「そうそう。と、いう訳でフレンド登録しましょ」

「…どうしてそうなる」

「いや、だって一緒にご飯食べる仲ならもう友達ですから。私はベニー、よろしくね」


【私はノイン】と、お互いに自己紹介してからフレンド登録する。

何だか上手く言いくるめられたような気がするが…まぁ、フレンド登録くらいかまわないか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ジュウ、ジュウ。


ジュウ、ジュウ。


肉の焼けるいい匂いが辺りに漂う。


今はウディに任せてオーク肉の調理中だ。

オーク肉は見た目が豚肉…まぁ、それはそうだろう。…だったので豚料理を作って貰っている。


料理セットを使って作業するウディを眺めていると、戦闘中とはまるで違う安心感だ。

この料理セット、キャンプで使う野外調理セットのような感じになっている。

脚付のコンロ、調理台、シンクなどで構成され、立ったまま作業できるようになっているのだ。

しかし、特筆すべきはそこではない!


この料理セット、調味料が付属している!サシスセソっ!ソースじゃないよっ、味噌だよ!

これで色んな味が楽しめるゾっ!


「調味料が付属しているのか!ラッキーだな」

「?あなた、今までどうやって食材アイテムを食べてたの?まさか!?生…」

「違わっ!岩塩で食べてたのだっ!」

「ああ、初期ならゴブリン岩塩ね。じゃあ、塩はそこまで揃えてるのね」

「ん?何がだ?」

「えっと、このゲームではね…」


ベニーいわく、料理セットには基本的な調味料はついていて、なんと減らないんだと。

しかし、この調味料は一般的な物で現実で同じ物が手に入る。

私が石ころから削り出した岩塩はゲームでのファンタジー食料。…というわけでこういう素材は勿論消費していく。


「うーむ。ではあまり頻繁に使ってしまわない方が良いのかな?あれだけ削り出すのに結構苦労したのだ」

「ああ、それならいい方法があるのよ…」

「むむっ、どんな方法なのだ!?」













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