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ち、痴女!?

グルメオンラインーーー8





ウッドパペットの言いたい事は全然分からなかったが適当に相槌を打って頷いてると、そのうち草むらをゴソゴソとあさりだした。

何かを摘み取ったウッドパペットはそれを私に見せてくる。


いや、植物採取はスキルにあるから出来ることは分かってるって…。


「う、うむ。採取したんだな、それは分かってる。他の出来る事だ、新しいスキルを得るには行動して成功を何回か重ねる事が必要だろ?」


ウッドパペットは頷き、手に持った草?を掌で揉んだり捏ねたりしだした。

一通りの動作のあと、捏ねていた掌を開き私に見せてくる。


次の瞬間ウッドパペットの持った草?だった物が光り出し、光りが収まったあと手の上に残った物は一粒の小さな玉だった。


ウッドパペットがその玉をぐいぐい押し付けてくるので手に取って注視してみる。



[最下級回復薬]

薬草を揉んで捏ねて固めた物。HPを気持ち回復する。



おお!回復薬。…しかし効果が微妙だ。

気持ち回復?気のせい程度に回復するのか?


「うむうむ。君が薬を作れるのは分かったが、これの効果はどんなものなのだ?」


自分で言ってから後悔したがコイツは話せないんだった。そもそも口が無い。

そう思い頭を抱えていると、ウッドパペットがまたジェスチャーをしだす。

どうも自分が試す、とでも言っているようだ。

何だか…ジェスチャーでも大体分かるようになってきてる自分が不思議だ。


そっと見守っていると、ウッドパペットは下級回復薬を自分で使うかの様子だ。

オイオイ、そういうのって飲むんじゃないのか?口が無いだろ君は…。


どうするのだ?と思い見ていると、ポイって回復薬を自分の顔に向けて投げた。

不思議な事に顔に近づいた回復薬は当たる直前に消える。

そしてウッドパペットの周辺に出ていたHPを表すバーが、心なしか増えた気がした。


そういう風になるのか。流石はゲーム。

だが回復薬の効果にはガッカリだ、気休めにしかならない。


私がガッカリした表情をしているのが分かったのか、ウッドパペットは申し訳ない旨を伝えてきた。

いやいや、そんなに気にやむことはないゾ。ん!?何故か言ってる事が分かる!

更にウッドパペットは、道具があればもっと良い薬が作れるとも言う。


もう間違いない、声は聞こえないが意志的なものは辿々(たどたど)しいが伝わってくる。

ウッドパペットが私のステータスを確認してみてくれと言うので…ああ、勿論そんなニュアンスの意志を感じるという事だ、コイツには発声器官が無いからな。そしてステータスを見てみる。


私のスキルに[パスLV1]が増えていた。パスで配下モンスターと意思疎通できるようだ。

ほぅ。なんとなくっていう感じの意思疎通だが、このスキルがあればなんとかなりそうだ。


意思疎通がある程度出来るようになったのでウッドパペットと話しこむ。

勿論、本当に会話する訳ではないが…。

で、話もはずんだところで…いや、意思疎通もはずみ…ああもう!面倒だ。話してる程でいこう。


で、毎回【ウッドパペット】と呼ぶのは不便なのでコイツに名前を付ける事にした。


「じゃ、これからお前は【ウディ】で」


安直な名付けにも関わらずウディは文句一つも言わない。

あまり感情を表に出さないタイプのようだ。勿論、感情を表す顔など無いしな。


ウディの為に道具を仕入れようと思い、ファーストンの村に戻る事にした。

村に入ると先ほど弟が立っていた辺りにNPCがいたので話しかけてみる。NPCだよね?


話しかけるととても自然な感じで返答があり、プレイヤーかNPCなのか分かりづらい。

だが頭の上にある表示カーソルはNPCを示す黄色、間違いないな。


NPCに場所を聞き道具屋にむかう。

小さな村なので、道具も武器防具も一緒に扱う何でも屋があるそうだ。


何でも屋で道具を仕入れようとNPC店に立ち寄ったが、流石は小さな村だ。ろくなものが無い…。

武器防具は最初から持ってる物と内容がかぶってるし、薬も【下級回復薬】しかない。

まあ、ウディが作った【最下級回復薬】よりはマシなのだろうが、毒消し薬なども置いてない。

まだ毒攻撃持ちの敵はこの辺では出ないのだろう。


道具は【スコップ】と【ツルハシ】、それに【調理セット】がある。

【スコップ】は小型の植栽コテのようだ。植物採取に使うのだろう。

【ツルハシ】はまんまだな、鉱石採取用だな。ふむふむ。

【調理セット】、ふふふっ。これはいる!むしろ武器などなくても、これはいる!


…だが、高い。高すぎだ…。


【スコップ】と【ツルハシ】が200Eeen、【調理セット】は1000Eeenもする。

どういう基準で値づけしているのだ、【調理セット】など私の所持金全額だ…。


だが買う。


勿論、【調理セット】をだ。

高くとも金は足りているのだ、買わない理由が無い。


【調理セット】を購入しアイテムボックスにしまい込んだ。

……所持金は 0 Eeen。

い、いいんだっ、いいんだっ、これで外でも美味しい料理を食べれられるからっ!


その後、今後の宿などを下見しようと村の中をぶらついていると、広場みたいな所でシートを広げた上に物を並べて座っている人達がいる。表示カーソルはプレイヤーを示す青だ。

露天商らしき人達がパラパラと店を開いているようだ。


お金はもう無いが、見るだけはタダだ。少し覗いて行こう。


ふと目に付いたので、そのお店で足を止める。

これって?


「これも売り物か?」

「え?ああ、いらっしゃい。ここにあるのは全部商品よ。」

「この札に書いた調合セットっていうのはこれ全部セットなのか!?」


「ああ、アナタまだ始めたばかりなのね。

そう、この調合セットはここに一緒に積んである薬草全部とまとめ売りで1000Eeenよ。

本当は調合セットってのはさ…もう、あぶれるくらい出回ってるから単体じゃあ1000Eeenも値打ちないのよ。」


「では他のを付けずに単体ではいくらなんだ?」


「あぁ、ダメなの。このゲームの設定でNPCの販売価格を下回って売る事が出来ない仕様になってるのよ、買取もNPC価格より上回って買取出来ないしね。何の為の縛りなんだか…。

プレイヤー同士でのアイテムの無償受け渡しも出来ないしね。」


「ふむ、しかしそれでは商売の面白味がないだろうな…」


「あっ、でもね。NPC価格はゲーム内でのそのアイテムの数に比例してるからやりようによってはね…。まあ、相場を覚えなくていい分楽かな。

でも調合セットみたいに数が必要無いのに余って皆んないらないのが、捌きにくいのよねー。

そこで、NPCが売買しない薬草との合わせ売りよっ!お値段は1000Eeen据え置き、お買い得だと思うわよ」


「あ…いや、さっきNPCの店で買い物してしまったので手持ちがない」


「あ〜。NPC店で買っちゃったかー。

そこでしか販売してない商品以外は買うメリット無いんだけどねー。初めはよくやっちゃうんだよ」


「ちなみにプレイヤー店で買ったらいくらなんだ?調理セットだ」

「値段は1000Eeen以下には出来ないから、800Eeen相当の別アイテムが付いてくるわね」

「ぐっ、大損してるではないか…」


店主の女は潤んだ瞳でこっちを見つめている。そ、そんな涙ぐむほど間抜けか…悪かったな!


「はぁ…それにしてもあなたのそれ、あのゲームキャラのロールでしょ。完成度高いわね〜。

アタシもあのキャラクター好きなのよ、そのルビーブロンドなんてリセット何回目で出たの?

はぁ〜、いいわ。いいわ〜。

それに種族ハーフリングでしょ、SDミニキャラ化されてて可愛いっ!」


「うっ、ぶはっ!な、何を…」


店主の女は急に飛びついて抱きしめてきた。

身長差があるので胸に顔を埋める状態だ、ぞくにいうパフパフ状態だが私は女なので嬉しくもなんともない。


な、何なのだーー!


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