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やればできる子

グルメオンラインーーー7



弟を連れ立って森にやって来た。ウッドパペットの性能試験だ。

弟は、はなからウッドパペットに期待してない。


コイツはやれば出来る子だもんねっ!



ーーーーーーーーーーーーーー



結果は散々でした…。


そもそもダメージを与える事が出来ていない。

スライム相手に戦わせたのだが、攻撃が当たった時の音が【ぺしっ。】だった…。


スライム相手に囲まれてボコにされてました。

まぁ、殺られるまえに私が助けたんだが…。う〜ん。

主人に助けられる召喚モンスターってどうなのだ…。


「なっ?」

「うっ………」

「なっ?」

「うるさいっ!いいんだ、料理するし。いいんだっ」


「出先に限ってしかメリット無いじゃん。それにこのゲーム、スキル制だろ?

何度も攻撃が成功しない限り攻撃スキルは覚えないし、スキルが無きゃステータスも上がらない。

つまりゲーム中最弱ステータスのウッドパペットじゃ戦闘では一切使えないって訳」


「ふ、ふ〜んだ。いいもんね。

戦闘は私がするから、コイツはあったかい料理作って帰りを待っててくれれば」


「何なの、その新妻みたいなポジション…」

「ふんっ!見ていろっ!私の剣技能LV4があれば戦闘モンスターなど要らんのだっ!」


そう言って私は森をさらに進み獲物を探す。

弟の憐れみを帯びた視線が無性にカンに触るっ!憂さ晴らししなくては!


その後標的を見つけた私は遮二無二切りまくった。

はっは。どうだ、見たか弟よ。戦闘モンスターなど私には不要だ。


「ちょっ、なにそれ!?今の姉ちゃんのステータスでそれは、動きおかしくない!?」

「???」


「ああ、そうか。このゲームやたらリアルだから、プレイヤースキルが顕著に反映されるんだよねぇ〜。それに【アルカナ】の副次効果か…」


「???おいっ!君だけ納得するな!」

「いや、姉ちゃん剣道と合気道やってただろ?」

「うむ、かじった程度ですぐ辞めたがな…」


「いやいや。練習嫌いでろくすっぽ通わなかったのに、打ち合い稽古で剣道の師範代ボコボコにして辞めてくれって言われたんだろ?」


「ちがっ、あれは他の弟子達に合わす顔がないって師範が気にやんでたから私が身を引いたん…」

「いや、だからそういう事だよ。合気道も似たような話だったじゃん」

「何だ!そんなことはゲームに関係無いだろ!」


「あるんだって。普通のゲームでもデータ上の数値に現れないプレイヤースキルってあるだろ?

ことVRMMOに関してはリアルなゲームなだけにこの、プレイヤースキルってのが顕著に反映されるんだよ。

プレイヤーは現実で自身に出来ない技能も、ゲーム中の数値さえ満たせば可能になる。

そして現実で持ってる技能は、ゲーム中の数値が満たされてなくても使う事が可能なんだ」


「むぅ?じゃ、私は剣も格闘もかじってるから数値以上の動きを出来る…と」


「かじったってレベルかなぁ…。まぁ姉ちゃんのは現実でも非常識なくらいの才能だから余計だけど…現実と違ってモンスター相手だと手加減する必要なんて無いから、それで能力全開なんじゃないの?分かんないけど」


「ふむ、なんだかよく分からんが戦闘には不安がないのならオールオッケーだなっ」


「ま、そだね。好きなだけ趣味に走ってよ。

あと【アルカナ】にはスキル所持数を増やすだけじゃなく他の効果もあるから、センスステータスは逐一チェックしたほうがいいよ、隠し効果は一度発動するまでステータスに出ないからね」


「ほう、どれどれ」


私はステータスの【エンプレス】の部分を詳しくチェックした。



[エンプレス]

所持可能スキル数+5

アイテムドロップ率2倍

女帝の眼力(相手ユニット一定時間行動不可)



おぅおぅ。アイテムドロップが増えるのか、それはいい。

むむぅ?眼力…響きが良くないな。また怖がられる…。

これは弟には内緒だ…。


「ぷっくく!眼力だって。似合ってるよ、姉ちゃんにぴったり。ぷははっ」

「むくぅ!こ、こらっ、勝手に見るなぁ」


「あのさぁ、姉ちゃんずっと全員に可視化でステータス見てるけど、自分だけ可視化も出来るからね。

それに【眼力】、かなり強力だよ。いや、リアルのじゃなくて。

一定時間といえど無抵抗にボコれるなんてハメ技に近いんじゃない?オーク惨殺の謎が解けたよ。

あぁ…あとこのゲーム、なんでか強力な能力には反面のデメリット能力みたいのがセットにされてるから気を付けてね。」


「は?どういう意味…」


「じゃねー。俺、フレンドと狩に行く約束あるからもう行くねー。…それにしても女帝の眼力って…ぷくくっ」


「なっ、それを言うなー!」


弟はそれだけ言うと逃げるように行ってしまう。

PK堕ち覚悟で切り掛かったが、転移魔法のようなもので逃げられてしまった。くそっ!

むぅ、今度会ったら覚えてろよ〜。


それにしても、この【ウッドパペット】本当に戦闘では使えないな…。

んっ!そうだ。空きスロットにスキルを入れれるのだったな。


どんなスキルが選択出来るんだ?



[空きスロット] 以下のスキルから選択して下さい

[料理LV1]、[掃除洗濯LV1]、[生産技能LV1]、[植物採取LV1]、[鉱物採取lv1]



おお、中々沢山あるじゃないか。…だが、戦闘系スキルが一つもない…。いいんだっ!

え〜っと。[料理LV1]、それとあと一つは何にしよう?う〜ん。


[掃除洗濯LV1]は要らないな、掃除するような部屋がそもそも無い。

[生産技能LV1]は自分で持ってるし、あとは[植物採取LV1]か[鉱物採取LV1]か。

よし、[植物採取LV1]にしておこう。


ふむふむ。心なしかウッドパペットの顔立ちがシッカリしてきた気がする。

実際は何も変わってないのだが…。


このウッドパペットというモンスターは写生で使う木製の人形の姿まんまで、顔は無くノッペリして何も無いが人間と同じように関節部は可動するようだ。指までちゃんとある。


「おい、君は何が出来るんだ?あ、戦闘は無理なのは分かったのでスキルにある料理と植物採取以外だ」


ウッドパペットはわきわきと指先を動かし、手を上げたり下げたりアピールしている。


うむ!さっぱり分からん。


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