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アルカナ

グルメオンラインーーー5話




ふっふふっ。コボルト祭りは中々盛況です。


あれから随分と【コボルト肉】を入手した。アイテムボックスに一杯だゾ。

あの後、【コボルト肉】を求めて彷徨っていたら【オーク】っていうモンスターにも出喰わした。

【オーク】はかなり強く、手持ちのポーションを7個も使ったがなんとか仕留めた。

かすっただけなのにガンガンHPが減るのだ。

【オーク肉】ってのをドロップしたので後で食べるのが楽しみだー。うふふっ。


熱中して戦い過ぎたのかスキルが【剣技能LV4】に上がってる。

最早、【弓技能LV2】の使い所が無くなってきてるな…。


さて、そろそろ本筋に戻るか?もう一度オークに出くわしたりしたらポーションが厳しいし…。

しかし随分奥まで来てしまって元の場所すら分からん…。

普通ゲームならマップ機能くらいあるよな。


探してみた。

…ステータスウインドウからあっさり見つかった、オマケに普段も視線の端に可視化できる。


今頃って感じだが、チュートリアルをすっ飛ばすべきじゃなかったかな…。


マップは自分が歩いた場所は明るく表示され、まだ未到達の部分は暗転してて見れない。

うむ、スタート位置から森の奥まで進んできてる。

普通考えたら森が深くなる方と逆方向に進めば、森が切れて人里が見えてくるだろうな…。

真逆の行動をとっていたな私…だってゼリーとか肉が悪いんだっ。


マップを見ながら森を出ると直ぐに村が見つかる。

というかマップに最初から村の位置が光点となって記されていた。何やってんの私…。


村に入るとこじんまりとしてるが落ち着いた雰囲気のいい村そうだ。

ええっと…。こういうときは村人に話を聞いて回るんだよね?


あのお兄さんに話しかけよう。中々イケメンだし、まぁNPCだろうけど、ははっ。


「おい、お兄さん。ここはなんて言う村なのだ?」

「え?ああ、ここはファーストンの村だよ。君、今日始めたばかりのプレイヤー?」

「え?ああ。今日始めたばかり、お兄さんはNPCじゃ…ないな?」


ん?なんだかこのお兄さん、種族ディフォルメされてるが弟に似てるな…っていうか弟か!?


「はははっ。ごめんね、リアルの姉を捜しててさ。君、見かけなかったかなぁスタート地点の森で。

いやぁ〜顔は綺麗なんだけど長身で威圧感極大の女性プレイヤー?あと、食いしん坊!

ああ、目元なんかは君に似てるなぁ…いやっ!全然!全然君の方が話し易いよ?

それにしてもイイねそのルビーブロンド。ファンタジーって感じでさっ。

その口調のロールも似合ってるよ。

あっ、そうそう。見かけなかった?うちの姉は覇王のオーラが出てるっていうか近寄り難い雰囲気のさ…」


「ほう…。奇遇だな、私も君のような意志薄弱なオーラを出してる弟をリアルで持ってるんだ。是非その覇王を紹介して貰いたいもんだゾ!」


「げっ!姉ちゃん!?」


ジャキッ!


「ちょ、ちょっと!無言で剣抜かないでよ!」



ーーーーーーーーーーーーーーー



どうやら気になった弟は、私に続いてゲームにログインしていたらしい。

スタートしたプレイヤーはまず最初に立ち寄る事になる、このファーストンの村で待っていたんだと。


しかし、待てど暮らせど私が着かないもんだから、何度かログアウトしてリアルの私の様子を見に戻ったくらいだ、と言っていた。

別に誰も頼んでいないだろ?


「んで、何でこんなに時間がかかるの?姉ちゃんはVRMMOは初めてだけど別にゲーム音痴って訳でもないんだし…」


「ん?ゼリーとお肉を求めて彷徨っていた」


「ああ、あの辺だと肉系ドロップはコボルトだね。普通、スタート直後はスライムとゴブリンを倒しつつこの村を目指すんだけど…」


「あっ、やっぱりあの石ころを落とすモンスターはゴブリンだったのか、RPGの鉄板だな。まぁ、鉄板と言えばオークもだが想像してたより強かったゾっ」


「え!?オークってだいぶん森の奥だよ。チュートリアルで最初は森の奥には近づくなって言われたろ?」


「チュートリアルはスキップした。コボルト祭りに夢中になって気付いたら森の奥。で、オークは倒したんだが初期ポーションが殆どなくなったからこっちに来た」


「いや、勝ったのかよ…。普通、死に戻るよ。まぁ、オークは遠距離俊敏キャラとは相性いいからね、運が良ければ回復しつつ逃げまわって弓か魔法で何とか…」


「弓は使ってないゾ、剣で切った。あと時々蹴ったり、関節決めてなげた」


「いやっ!ハーフリングはそんなゴリゴリの前衛キャラじゃないでしょっ!近接戦闘しても精々一撃離脱のスカウトっぽい立ち位置だよ!?だから序盤にオークは倒せないもんでしょ!?」


「でも何とかなったのは事実だゾ」

「どんなステなんだよ?いや、まだスキルレベルは低いだろうから特殊なセンスでも…」

「ん?こんなだっ」


私は弟がやたらと不思議がるので、ステータスを可視化して見せてやった。


「え?いや、姉ちゃん。そんなポンポン ステータス開示しちゃダメだよ、PK対策に隠しとかなくちゃ」

「んぅ?PKする気か?」

「いや、俺はしないけど情報が漏れると回り回ってそういう目に遭い易いから」

「ふ〜ん。じゃ、見るなっ」

「いやっ、ここまでしたんだから見せてよ!それに俺はリアル弟だろ!?」


じゃ、言うない。

結局見るんじゃないか、一々回りくどい奴だ。


「え〜と。なになに…ほーほー。ウヘェッ!?アルカナ持ち!」

「君だけ納得してないで私にも教えろっ!」


「姉ちゃん、激レアのセンス持ってんじゃん!他にも後衛職に持ってこいの召喚もあるし、スゲー運持ってるっ!」


「激レアのセンスなんて持ってないゾ、あるのは…確かユニークとレアだ」

「だからユニークが激レアなんだよ」

「いや、分からないゾっ!もっと分かるように説明しろ」

「ああ、ごめん。このゲームはさ…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


弟が言うにはこうだ。


このゲームはキャラのレベルというものが無く、所持しているスキルレベルに応じてHPやMPその他ステータスが上昇するらしい。ふむふむ。


だが、このスキルにはレベル上限がある上に所持できる限界数も決まってるようだ。

スキルでしかステータスが上昇しないのに持てる数が決まってる…という事はどのプレイヤーでも極論、ステータスの最大値は同じ、ということである。

種族による差はあっても一長一短らしい。


そこでスキル構成を工夫してキャラの特徴を出すのが面白みなのだが、他のプレイヤーと差別化するミソとなるのがセンス。

センスは種族問わずランダムで、このセンスによりスキルやステータス自体に補正がかかるとのことだ。

それを活かし得意分野を伸ばす、もしくは弱点を無くすんだと。


しかし、そこまでは誰でも同じ。

100与えられた数字をどうやり繰りするかの問題でしかない。


しかし、何度かリセマラすれば一つぐらい出るレアとは違い、ユニークの中でも【アルカナ】はゲーム中22種しかない激レアらしい。ちなみにノーマル、レア、ユニークの3種のみ存在する。


【エンプレス】はタロットカードになぞらえた能力とのことで、大アルカナ22枚に因んで【アルカナ】と呼ばれてる。

この【アルカナ】の激レアたる所以はその能力、何と!スキル所持数がプラスされるのだ。

例えばみんな100の数字でやり繰りしてる所を自分だけ150でキャラ構成出来る。正にブッ壊れ。


まぁ…ゲームが進むと種族進化というものがあってスキル所持数も増えるから、実際は他者より15%増し程度らしいが…それにしても破格のセンスなんだ、との弟の意見だ。

ある人はゲーム配信開始以来、数ヶ月経った今もまだユニークが出ずリセマラ中らしい…。諦めろ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…って訳でそのセンス、まず出ない激レアなんだよ」


「んぅ?しかし、センスってのはスキルと違って新たに増えないのだろ?そんなに差をつけて運営に苦情がこないのか?」


「さっきも言ったけど種族進化すれば差は埋まるし、それにゲームを進めれば必ずユニークセンスが一つだけ増える仕様らしいよ。【アルカナ】とは違う奴みたいだけどね」


「つまり、センスは元からある3個に今後ユニークが1個追加されて計4個になるのか…まぁそこまで行けばそんなに差は出ないのか…」


「でも最初からスキル所持数が多いのは明らかに有利だろ」

「ふむ、まぁな」

「それにしても【エンプレス】。姉ちゃんにハマりすぎ。あははっ」

「どういう意味だっ!」

「分かってんだろ?【女帝】様っ」


ジャキッ!


「だ、だから、無言で剣を抜くなよー!」




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