フレとの初狩り
「やほー、ノインちゃん。お待たせー」
能天気な声と共にベニー登場。
本当にお待たせだ。既に5分の遅刻ではないか、まったく。
「やほー、でなないっ。5分の遅刻だ。他に何か言うことはないのか?」
「へ?5分くらい誤差の範囲でしょ、いつからいたの?
はっはぁ〜ん、さては楽しみすぎて待ちかねてたなぁ?そーかそーか、おねいさんと一緒するのがそんなに楽しみだった?」
「ち、違うゾっ!1時間前から待ってたりしてないゾっ!べ、別にどんな食材がドロップするかとか妄想しながら待ってないからなっ」
「い、1時間は流石に引くなぁ、昭和の乙女じゃないんだから…あと、食べる事が一番なんだ…」
そんなやり取りの後、連れ立って森の方に向かった。
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「ここで良いのか?この辺にはスライムとかゴブリンしか居なかったと思うが…」
「いいのよ、ここで。えーと、開けた場所はと…」
ベニーに私がいつも狩場にしている村近辺の森に連れてこられた。
ここには初期モンスターしかいないゾ?
「あった、あった。ここがポイントね〜」
「ん?こんな場所、この辺の森には無かった筈だ。どうなってる!?」
ベニーに先導されたどり着いたのは森が一気に開けた場所で、そこは一面の花畑になっていた。
こんな場所は知らない。いや、このマップにはこんな所は無かった筈だ。
「いったい…これは…」
「ふっふのふ。どう?驚いた?テストイベの時はね、こうやって普段のフィールドにイベントフィールドが部分的に展開されるんだよ。さっ、見とれてないで探すよっ、イベモンスター」
ベニーは慣れているのかさっさと進み出す。
私は遅れないようにと、キョロキョロしながらもあとを追った。
「あっ!居たっ!」
「えっ、どこなのだ!?」
ベニーの視線を追うと中空に視線を向け目を細めている。
空っ!?
ブゥウッゥゥーーーーーーンッ
「おっとー。今回は飛行モンスターみたいねっ…んじゃぁ、これね〜」
遅れて私が視界に捉えたのはブンブンと宙を舞う大きい蜂だった。
デカっ!
その全長は50センチはある。怖っ!
「おいっ!ど、どうするのだっ!?デカっ!大き過ぎだろうっ」
慌てふためく私を尻目に、ベニーは慣れた様子で落ち着いたものだ。
モンスターの大きさなどどこ吹く風、鼻歌まじりに何やらアイテムボックスをゴソゴソしている。
「お、おいっ!来るっ!」
「あ、屈んで躱してね〜」
「ひっ、きゃぁー!」
ブゥンと私達の頭上を飛び抜けて、蜂型モンスターはあっという間に通り過ぎていく。
あぶっ!危なかった。怖いよ、刺されるよぅ。
びびりまくる私を「ぶんぶんぶん〜はちがとぶ〜」なんて、間の抜けた感じの鼻歌と共に見下ろしたベニーは颯爽と手に持った短剣を天にかざす。あっ、さっきアイテムボックスから出してたやつ?
「ファイアバレット!」
ボンッという音と共にベニーの短剣から火の弾丸が飛び出す。
魔法だっ!?
私のとは違う、ちゃんとした攻撃魔法だっ!ビュンって飛んで行ったっ!
短剣から飛び出た火の魔法をまともに受けたおっきい蜂は、魔法が当たった瞬間に飛行を急停止し、その地点から墜落した。
おお、やった。やっつけたゾっ!
「す、しゅごいっ!ベニーは魔法使いかっ!?」
「え?いいえ、これは魔法武器の攻撃魔法を解放しただけよ」
「お、お?」




