作戦会議
なんていうか…無理やり突撃して、Lv.3の魔法使ってしまった。
久しぶりの戦闘で忘れてたけど…まだ、私のレベル低いんだよね。MP足りないです。助けてください。
「うん、今更遅いよね」
はぁ…魔物の爪が目の前に……。なんか、打開策は?ないですよねー。
そして、振り下ろされ、思わず目を瞑ってしまった。
すると、突然何かに引っ張られる感覚がし、目を開く。そこには…?
「がう!」
もりりんがいた。ていうか、服を噛まれてた。
私を引きずっている時には少しだけ、地面に掠った。そして、宙に放り出された。一瞬の浮遊感を感じたが、すぐにもりりんの背中に着地した。
この行程までほんの一瞬。地面を掠って受けたダメージは、薬草を噛んで、「苦っ!?」回復した。
「ありがとう、もりりん。おかげで助かったよ」
「がうぅ」
撫でてやると、嬉しそうに唸った。
そんなことをしているうちに、クーとシャドも来た。
正直、シャドが来たことに驚いた。だが、シャドの、シャドのご主人さまはご主人さまだけという、言葉に納得した。
思わず、頭を撫でてしまった。ほわぁ〜、という声を聞き、嬉しがっているのだろう。
ったく、戦闘中に何やってるのかねぇ。クーもジト目で見てくるし、そろそろ戦闘再開ですかね。
「さて、茶番はこれが終わってからだよ。周りには誰もいないはずだから、みんな思う存分にスキル使っていいよ!もりりんも、なんかスキルポイントが4になってるし、何か覚えよう」
「がう!」
正直、噛み付きと引っ掻きだけじゃ、何となくね。物足りないかなと。
もりりんがLv.1現在で覚えられる、スキル一覧を見て、唸る。
2P
木登り
速度上昇
4P
各属性付与 (小)
危険察知
気配感知
あい…、これは単純に属性付与が欲しいところ。戦力欲しい。
『スキルポイントを4使って、もりりんに属性付与 (小)を授けます。では付与する属性を選んでください』
迷いなく、光属性を選択。
一瞬、もりりんの身体が光ったような気がした。
光属性付与 (小)
選択した、属性を身体に纏わせることが出来る。攻撃した際には、相手に光属性ダメージを与えられる。
光属性の攻撃から少しだけ守る。
闇属性の攻撃を受けると、纏った魔力は霧散する。
「行こう、もりりん!いいよ、好きに属性付与させちゃって!」
「がう!」
もりりんの身体が少し輝いた。これが、光属性の魔力光か…。
「クロヒメ様、見蕩れている場合では、ありませんよ!………っ!?、飛翔!」
あれが、クーの特殊スキルか。自在に空を飛び回れるスキル。そして、上から、風属性の魔法、ウインドボムを落としていた。
シャドの方は、影に潜み攻撃のタイミング伺っていた。
クロヒメもそろそろ、動こうとした瞬間に、後ろから手を掴まれた。
「?」
後ろを向いてみると、そこにはククがいた。逃げなかったのだろうか?
「どうしたの?」
「ククにも……、ククにも戦闘を手伝わせてください。これはどう考えてもククが招いた種です、だから」
「いいよ」
「今更、遅いって思いま、え!?」
言いかけて、驚いたような声を出した。何を驚いているのだろう?目の前の敵を殲滅するのは当たり前だと思うが。
「さて、ククは何が使える?」
目線で一緒に戦うんでしょう?と聞いた。
ククはこくんと頷き、答えた。
「短剣スキル、気配感知、闇魔法です」
そう言い終えてから、思い出したようにどのスキルもレベルは1です、と言った。
ふぅむ、戦術は…。作戦…。一旦、シャドの影に入って自分の考えを伝えよう。
「シャド!1回、全員を影に入れて!」
「分かった、其は、全「お願い、詠唱無しで」てを…。むぅ〜分かった。影衣!」
シャドは仕方なくという感じで、手をかざして唱えた。そして、広範囲に散らばっているクロヒメ達を一瞬で影の中に入れた。
そして、今こそ、私の考えを披露する時だ。恐らくは魔物はまだ、私たちを探して、この辺をうろうろと彷徨っているはずだ。
「さて、時間無いけど作戦会議だよ。正直、会議なんかしなくても倒せると思うけど、私のMPが少ししかなくて☆」
クロヒメはてへぺろという感じで舌を出した。
クーは、半眼で見つめてくる。もりりんは仕方がないなという顔?正直、表情はよく分からない。シャドはよく分かっていないのか、おぉぉぉ、という顔を。ククだけは口を開き、言った。
「あの、MPポーションなら1本あります」
「うん、ありがとう」
クロヒメは礼を言い、ククから青い液体が入った瓶を貰い、一気に飲み干した。
ぷはぁっ、と息を吐き、自分のMPが半分まで回復していることに気付き、内心喜んだ。
「はい、では会議再開!正直、ごり押しで行ける!けど、それには、シャドとククも頑張ってもらうことになる」
「具体的にどういうことを?」
「うん、それはね、短剣スキルのLv.1って、速度上昇が付いてるよね?シャドの影衣と組み合わせて敵を混乱させて欲しいんだ。具体的には、敵の目の前で動き回るだけでいい。ただのヘイト稼ぎだ。危なくなったらすぐに影衣の中に入って回復してね?幸い、採取した薬草がいっぱい余ってるから」
と、薬草が余ってるから、という台詞だけは笑顔で言い放つクロヒメ。それに対して、ククは少し顔をひきつらせた。ヘイト稼ぎをするというだけでも、大変だというのに。回復するためには薬草を噛まなければいけないという試練も待っていた。
お、おう。と、本来の口調に戻したいククだったが、自分の設定キャラを思い出し、その言葉を飲み込んだ。
「分かりました」
「シャドもいいね?」
「うん、簡単に言うとサポートすればいいんだよね」
「そういうこと。ではつぎに、もりりんくん」
「がうっ!!」
はい!と返事をするように前足を上げた。
「もりりんくんには、ククがヘイト稼いでいる間に少しでも属性付与した攻撃をしよう……。それだけだ!」
「がう!」
「最後にクー!クーは、さっきの戦法でいいよ。空を飛んでウインドボム。変更点は当てる場所かな、頭を狙って、失神させよう!おー」
「お、おー!」
これで、全員に作戦伝わったかな?
5秒後、影から出たら最終戦だから。覚悟しといてね、ガウ。
「……3、2、1…GO!!」
ククは本当に誰なんだ!?近いうちに閑話出したい。