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青春ファンファーレ  作者: 凉樹
第一章
1/3

プロローグ

今回は電撃公募の寄り道でしっかりと長編を毎日更新していきたいと思います。

宜しくお願いします。

 少し肌寒い春の朝の気候。

「もう四月か」

 僕、園崎そのざき大輔だいすけが何の気なしに言葉を介すと、白い吐息が外へと流れて行く。

 市立幼稚園、小学校、中学校育ちの僕からしたら受験生になるなんて初めてであった。

 そして、進級テストなんていう学期末考査なんてもってのほかである。

 だが胃がねじれるように痛かったのも治り、高校二年の四月の始業式を迎えることができた。

 その所属する学校の場所は都内より地図的には上に位置。

 海に微塵たりとも面していない県の一つの西部地区、普通科のみの河越かわごえ高校に所属。

 共学で人数は二百八十人弱。

 女子の制服は赤いリボンが目立つセーラー服。

 男子の制服は漆黒とも言えるほど黒くツヤのある学ラン。

 周りは田んぼとスギの木だらけで秋になるとスギの木が本気を出すらしい。

 万年重度の花粉症と奮闘する去年の担任は、

『早く転勤したい』

 と去年の秋に愚痴を漏らしていた、という余談を思い出し少しクスッと鼻笑いしてしまった。こりゃ失敬。


 家から学校までは徒歩十五分かかるか、かからない距離。

 辺りは田んぼと上流の川のみ、高いビルなど特段目立つものは無かった。

 学校からは登校してくる景色が見える。だから犯罪などは他の市町村と比べて毎年減少傾向にある。地域の人も安泰、というわけだ。

 そんな交通手段も不便で田舎な場所にポツンとある学校。

 僕の交通手段は健康のため徒歩で、いつも見慣れているはずの川辺をずっと歩いている。

 すると春の風物詩、桜が僕の視界をあざやかに飾るのだ。

 去年の春と同じ綺麗な桜が咲き誇り、川の水面に太陽の光が差し込み、花びらが輝く。川は上流なだけあって綺麗で、底まで見える透明度が田舎の持ち味とでもいうか。

 視線を上げると、雲ひとつない綺麗な青空が澄み渡っている。

 一年、歳をとってきたんだな、と実感を視線と肌で感じてしまうな。

 少しばかり憂いを含み、その青空をみつめる。

 「場違いなんじゃないかなぁ」

 なんて少し頬を右人差し指で掻き、春の景色を体を使い、もう一度見渡す。

 心にもないことを言ってみると情景と自らの言葉に悲しみを覚えたのは言うまでもない。

 

 『何の夢を追ってるのか』と中学生までは問われて、『正義の味方』と言っても許されるのだが、高校一年生の最後に、進学志望か就職希望かを設問として投げかけられた。

 進路調査室で僕は設問の意味に首を傾げて『わからない』と答えて、

「自分で答えもわからないのか」

 などと罵られながら進学のほうへと枠的に流される始末。

 こういう適当な人生を送ってきて僕は、まぁ満足をしている。なにせ

 楽だからだ。

 

 小さい頃から仲良しだった人、要するに幼馴染みという枠組みは、僕を含めて四人いる。

 ほかの三人の幼馴染には『歯車が噛み合わなかった』とでもいうか高校は同じ所属になったが話す機会がめっきり減った。そして進路とは言うと――同じ進学組。

 生まれた場所、誕生日まで一緒の僕たちはどこで何を失敗したのか。

 そんなことがよぎると頭が痛くなる。


 高らかに照らす太陽へと視線をあげ、足を止めて深呼吸。

 なぜか気分はすぐれず僕は学校へと足を運ぶことを決めて、再び歩みだしたのだ。

プロローグ読了ありがとうございます。

誤字脱字、感想などよろしければお願いします。

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