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今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
8/18

今は昔の日々

夏休みが終わる頃・・・

私とチハ・アキラの3人は共通の夢を見る様になっていた。


コウちゃんは・・・その話題の時に来てなかったので確認が取れていないが

ハマちゃんとオカちゃんも、同じ夢を見ていると言う


もしかしたら、コウちゃんも見ているかもしれない。


夢の最初は・・・暗闇の中

れた様な甘い香り」と「干した様な草の香り」

強いて言えば・・・ドライフラワーのにおいだろうか?

後・・・ほんの一瞬いっしゅん

水をえ忘れた花瓶かびんの水のみたいなにおいがした気がする。

挿絵(By みてみん)

時を経て・・・段々(だんだん)鮮明になっていく夢と、その中で感じる香り。


夢は・・・暗闇から形を浮かび上がらせ

少しづつ・・・すこぉしづつ鮮明になっていく気がする。


香りは・・・最近、初めて飲んだ甘酒に雰囲気ふんいきが少し似ている気がした

それに、糠漬ぬかづけの匂いを足したような感じだ。


夢は年々・・・人物を、その服装を、その周りにある物を

だんだんと映し出していく。


夢に出て来る人影が『「グッさん」に似てる』

そう言い出した妹のチハは、いつの間にか夢にむしばまれていっていた

一人で外に出るのを怖がり、ほぼ完全に引籠ひきこもってしまった。


今は昔の夏の日から、連絡が取れなくなった「ナベさんとグッさん」


彼等の家の電話番号も、いつの間にかつなががらなくなり

私達は手掛かりを一つも見付けられないまま、また新しい夏を迎える。


それでも毎年、夏になると図書館へ通う事は続けていた。


いくつかの夏が過ぎ・・・家に引籠ってしまっていた妹も

この図書館にだけはついて来てくれるようになる。


休館日の御出掛には、私とチハ・アキラ・オカちゃんは

あの夏の日から・・・参加してはいない。


ハマちゃんも来年高校生になるから、と

休館日の御出掛は今年で完全に引退するつもりらしい・・・


そう言って置きながら

ハマちゃんが、来年も休館日の御出掛に参加していたら・・・

面白いなって、私はこっそり思っている。


ハマちゃん曰く、休館日の御出掛の事は

モッちゃんとヤマちゃんが、継続けいぞくさせると意気込み


今では来年に向けて・・・

何人か引きつれて休館日以外にも色々、遊びに行っているらしい。


そんな中、今日は久しぶりにコウちゃんにも会った

ナベさんとグッさんに最後に会った、今は昔の夏の日のメンバーがそろった。


『あの時の酢昆布攻めには、ホントに舌が痛くなったよ』と

コウちゃんがなつかしい話をしたので


気付くと、昔食べてた駄菓子の話で盛り上がり・・・

神社の近くの、あの駄菓子屋へ行く事になっていた。


「今は昔の夏の日」オカちゃんに教えた場所が、ハマちゃんにも伝わり

今では、モッちゃんとヤマちゃんが常連さんになっているらしい。


無くなったかと思っていた御店が、継続している事は喜ばしかった

更に老けてはいたが、あの御婆さんが店番をしている。


懐かしさにかまけて、昔はできなかった駄菓子の大人買いをしてみた・・・

と言っても、中学生の御小遣はそんなに高額ではない事を宣言しておく。


皆それぞれ、千円分ぐらいの駄菓子と

ちょっとした玩具おもちゃを幾つか買っただけだが・・・何かすごい量になった

恐るべし!低単価!!


皆が会計を済ませた後・・・駄菓子屋の御婆さんが

私達に対して、何の脈略みゃくらくも無く不思議な事を言いだした。


『御供え物をする時

その場所を管理する人がいなきゃ御供えしちゃ駄目なのよ

供えた物を傷ましたら・・・

誰かが怪我させられたり、連れてかれたりするからね

神棚かみだな仏壇ぶつだんいたんだ物を供えちゃ駄目なのと一緒なんだよ・・・

御供えをしたら、傷む前に片付けなきゃいけないんだ・・・

この事だけは、忘れちゃイケナイよ』


次にあの夢を見る時

『傷んだ物を供えられた者は・・・傷んでしまうんだ』

この言葉の意味を私達は知る事となる。

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