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今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
7/18

今は昔、いつもの解散場所

フードコートでおごってもらって、ジュースを飲んで・・・

2階建ての店舗てんぽ内をすべて探検して・・・リアル着せ替えごっこして・・・

夕刻には、いつもの待ち合わせ場所へと向かう。


行きしに歩いた道を・・・今度は、自転車で進み

開かずの踏切に立ち往生おうじょうする度に、雑談して時間をつぶした。


・・・色々と発見があった・・・


一つ目の踏切近くでは・・・

「事故の情報を求める立て看板かんばん」と「花」が供えられている方向に進むと

「ナベさんとグッさんの家」があると言う事を聴く事ができた。

挿絵(By みてみん)

皆が今まで、「個人的な事をたずねない約束」を守り

住んでいる地域の話をした事が無かったので、何かうれしかった。


勿論もちろん、ナベさんとグッさんは、遠回りになるのにもかかわらず

いつもの集合解散場所まで・・・「迷子になるとイケナイから」と

ちゃんと送り届けてくれるのが嬉しかった。


そして次の踏切の待ち時間、今回の企画に参加しなかった年少の2人組

モッちゃんとヤマちゃんの話をした。


彼らは、「夏休みの宿題が手付かず」だった事がバレてしまい

親から「宿題が終わるまで外出禁止」を言い渡されてしまったのだと

ハマちゃんが話す。


ナベさんから出発時に「あの二人は不参加だ」と言う話を聞いてはいたが

そんな理由だとは知らなかった。


その事をナベさんに電話連絡したのはハマちゃんで・・・

ハマちゃんと年少の2人が同じ小学校で

家が御近所さんだと言う話が出てきた・・・


これには私とチハ、アキラだけではなく・・・オカちゃんもおどろいていた。


そこから、私が勝手に同じ学校だと思い込んでいた

ハマちゃんとオカちゃんが違う学校なのだという事実を知る


この2人は従兄妹で、心配性なオカちゃんのパパさんの為にハマちゃんが

オカちゃんを監督かんとくしていたらしい・・・が


どう見ても、一緒に遊んでいる以外の何物でもない気がするのは

私の気のせいであろうか?


踏切を越え自転車で走る道すがら・・・

色々考えている内に、解散場所に辿たどり着いてしまった。


『次はね、おっきいドングリ拾うの!ネックレスにするの!

古墳に連れてって』

チハがめずらしく

次の・・・夏休み最後の休館日に行きたい場所を提案していた。


ナベさんとグッさんは嬉しそうに笑い

『来週に向けてテルテル坊主作っとけよ』なんて事を言っていた。


何となく、今ならける様な気がした・・・

私には、グッさんに訊いてみたい事が・・・確かめたい事があったのだ。


今日の事で・・・好奇心がある程度は満たされた

でも、残った疑問への好奇心が止められなくなってきていた。


『ナツキ・・・「よっちゃんイカ」やるから我慢がまんな?』

私の言葉は、アキラの言葉にさえぎられた・・・

私の気持ちに気付いて

よっちゃんを一個、指でつまんで差し出してきたのだ。


妹より長い付き合いで、家族より仲の良い幼馴染おさななじみ

私の「考え・行動」を見抜いていつもの様に先手を打ってくれる。


一般的な問題のある家庭に育ったアキラは気遣きづかいの達人なのだ・・・

人を傷つけたり、傷口に塩をる様な事だけはしない、させない


『言って来るまで待ってろよ、お前だって・・・だろ?』

アキラの言葉にうなずき、よっちゃんイカを貰って食べる。


不仲ではないが、会話の少ない家庭に育った私にはないスキルが

アキラにはあった・・・大人びた感がちょっとうらやましい

私はその気遣いができなくて時々失敗するのだ。


『そろそろ解散の時間だな・・・また明日!図書館で・・・』

いつもの時間にいつものナベさんの挨拶あいさつ・・・私達は家路に


でも・・・ナベさんとグッさんに会ったのは、その日が最後となった。

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