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今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
6/18

今は昔に教えて貰った道

自転車を押しながら歩き、ナベさんが・・・

私達が待ち合わせしている池が、昔は大きかったのだと話す。


埋め立てられ、その上に役所の支所と道路や公園ができたのだと

公園に置いてある石碑せきひゆびして説明してくれた。


実は・・・ナベさんの小学校最後の夏休みの自由研究が

それを調べて、書き出したモノだったらしい。


その後は・・・水路に沿って少し歩き、左へ右へ

十字路で更に右に曲がって、酒屋の説明を聞きながら進んで横断おうだん歩道ほどうを渡る

途中からコウヤの表情がくもっていた。


地域の保健センターと診療所しんりょうじょの横の道へ入ると

『ナベさん、グッさん・・・この道の先にある踏切に行くつもり?』

コウちゃんが2人の背中に話し掛けた。


『事故多発踏切2段構えだぞ!肝試しに通らないで何処通るんだよ』

ナベさんは笑っている・・・

『運が良ければ幽霊の一つでも、見れるかもしれなくない?』

グッさんも楽しげに笑っていた・・・


『あそこらで、そんなモノ見れなくない?・・・

 この道は、生き物が怪我したり・・・死んだりするだけの道だよ』

コウちゃんが複雑そうな表情でそう呟く・・・


そして微笑んだ・・・

『こんな道を人様に教えて・・・

後悔するぞ?事故にあっても知らないからな』

そこにはいつものコウちゃんの笑顔があった。


『やるなぁ~ナイス演出!今の冗談だろ?一瞬、本気にしちゃったよ』

コウちゃんの呟きに青褪あおざめたハマちゃんが、安堵あんどして笑いだした。


でも、私は何となく笑えなかった

コウちゃんは・・・

人をビックリさせるのが好き過ぎて度を超す事が多々あるが・・・

こんな感じの冗談を言う奴ではない気がしたのだ。


アキラもそう思ったらしく、私と目を合わせうなずく。


そして、一つ目の事故が多い踏切へ辿たどり着いた・・・遮断機が上がらない

電車が通る感覚から言って通れそうなのに・・・遮断機が上がらない


『これってさ、渡れんじゃないかって線路内に入て事故にあうんじゃね?』

ハマちゃんの意見に皆が同意した。


遮断機が上がると、先の道幅を考えない車が突っ込んで行き・・・

立ち往生する。


私達は・・・非科学的な理由より

物理的な理由と、大人げない大人の存在に直面する事となっていた。


そんな一つ目の踏切を越え、その踏切から延びる道を進んで行く

野良猫をでながら・・・追掛けながら・・・

もう一つの踏切へ辿り着いた。


大人げない人が乗った車と再会し・・・また、遮断機が上がらない

今度も、電車が通る感覚から言って通れそうなのに・・・

やっぱり、遮断機が上がらない


その御蔭おかげで、少しづつ不安は薄れる・・・

夏のじりじりと焼ける様な日差しに焼かれて薄れていく。


遮断機が上がり・・・・

坂道発進に失敗したらしい、大人げない人の車を尻目に踏切を渡る

動けなくなった車に軽快なクラクションが鳴らされた頃には

不安が消えていた。

挿絵(By みてみん)

その事故の多い長い踏切を通り抜ける頃には

もう、不安になった事すら忘れてしまっていた。


そこから右斜め前に隠れている小さな小道に入り

水路と並行した低めの壁の向こうに大きな駐車場がある道へ・・・

そのまま進むと水路の上に鉄板を敷いただけの細い道・・・そして

スーパーの大型店舗の近くに出た。


感嘆かんたんの声が上がった・・・ナベさんとグッさんは自慢じまんげに笑い

ナベさんとグッさん以外の全員が歓声を上げた。


『秘密の抜け道だ!』と口々に呟き

嬉しくて車通りを確認せずに、信号も歩道も無い道を渡る。


そこから真直ぐスーパーの横の道を通って、店舗を越えたら左側の道へ

一方通行に従って進めば、事故の多い交差点に行きつくそうだが・・・


炎天下からの疲れで、そちらには進まず誰ともなく私達は店内に突入した。

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