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今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
5/18

今は昔の待ち合わせ

それは「今は昔の夏の日」


図書館の休館日にかならずと言ってもいい程、皆で集まる集合解散場所

役所の支所に隣接りんせつした小さな池の畔


待ち合わせ時間より早く到着してしまった私達は


桜の木や、背の高い・・・葉を沢山つけた木々が作る涼しい木陰の中

ちょっとしたミスではとおそわれていた。


そう・・・今回、昼を食べてからの集合だったので


いつものように、神社に寄り道して

いつものように、その近くの駄菓子屋で駄菓子を買ってきた・・・


のだが・・・

この時購入した商品がちょっとばかり悪かったのかもしれない。


この事態の原因は・・・

紅い三角の袋に入った「人参にんじん」って名前の「ポン菓子」


この駄菓子・・・

袋部分がやわらかいビニール素材になっていて

口をビニールのひもしばられており

ポン菓子なので中身が軽く、一粒一粒が孤立しているので・・・


開封後に袋を強くにぎると中身が簡単にあふれてこぼれてしまう

だから・・・開けるのには多少の注意力が必要な駄菓子だったのだ。


もう、この時点で気付く人は気付いたかもしれない

案の定、開封に失敗し中身をぶちまけたやつがいる・・・我が妹だ。


『ニイちゃん!サンちゃんを助けてあげなきゃ駄目じゃない!』

鳩の被害を多少、被りつつ・・・

傍観ぼうかんしていた私にオカちゃんが声をかけてきた。

挿絵(By みてみん)

因みに、「ニイちゃん」とは「新倉にいくら」という名字を持つ私の事である

そして「サンちゃん」とは妹のチハの事だ。


「何故、チハがサンちゃんなのか?」に関しては・・・

私と妹が同じ名字で、「2」の次は「3」だからと言う事らしい


ニックネームのセンスとしては微妙である。


まぁ~ナベちゃんいわく・・・名字発信の渾名あだなの方が

「人違いで声を掛けてしまった場合の修復がしやすいから」

と、言う事なそうな・・・


きっと、過去にナベさんは・・・何かしら失敗したのだろうと推測すいそくされる。


『「助けろ」と言われても・・・どうやって?』

チハはうずくまっているので、肩から頭から背中まで鳩にたかられていたのだ

私は視線をオカちゃんから、妹に戻す。


気付けば・・・コウちゃんが一人

チハの上から、鳩を優しく両手で捕まえて1匹づつけていた。


駄菓子が無くなるまでは「焼け石に水」と言う現実は

人の親切に対して失礼なので言わないでおこう。


『勇者よ!姫を助けた褒美ほうびに酢昆布をやろう』

事態が収拾した頃、私と一緒に傍観を決め込んでいたアキラが

コウちゃんの口元に酢昆布を一枚差しだし微笑んでいた。


『何故に酢昆布?っつぅ~か、お前は何様だ・・・』

アキラの手から酢昆布を食べながらも、コウちゃんは悪態あくたい


この二人は互いに「悪戯いたずら好き」で気が合うのか・・・

悪態を吐きあっていても、仲がとってもよろしい

仲睦なかむつまじい2人を微笑ほほえましく思いながら、私もようやく重い腰を上げた。


オカちゃんは、すでに泣いてしまっているチハをあやしてくれている・・・


さすがにこれ以上、傍観者でいると兄的によろしくない

泣いてる子の世話は女の子に任せて、私はコウちゃんの方に行った。


『褒美の酢昆布が足りないと見た!はい、酢昆布!』

私も、アキラを真似てコウちゃんに酢昆布を差し出してみる。


アキラの時と同様、コウちゃんは食べてくれたが

『もしかして、酢昆布配るの流行ってんの?』

御不満の様子だ・・・どうやら、チハとオカちゃんからももらったらしい


そんな酢昆布の出所は駄菓子屋の御婆さんの心遣こころづか

『酢昆布を食べていれば、夏の暑さで倒れにくくなるから』

と、オマケ貰った物だった・・・


そんな感じで、待ち合わせまでの時間はつぶれていった。


今回、ハマちゃんがめずらしく遅刻して、4人が酢昆布を食べ終わった頃に現れ

暫くして、いつも通り遅刻して、ナベさんとグッさんがやってきた。

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