今は昔の楽しい思い出
あれは「今は昔の夏の日」
『明日の休館日・・・肝試しついでに大型スーパー行って涼もうか?
今回は・・・特別にジュース奢っちゃうぞ(この俺様が!)』と
「御盆の墓参り」とかで
昨日来なかった、我らが名も無き集まりのリーダ・・・
今年、中学生になった「ナベさん」が『今、リッチなんだぁ~』と
自慢げに万札を見せびらかし
図書館の休館日の御出掛け企画を提案してくれた。
当時、両親が忙しく・・・
夏休みに殆ど何処にも行く予定の無かった私達「兄妹」
私とチハには嬉しい御誘いであった。
マジで、本当に・・・毎回・毎年の事ながら・・・
と、言っても2年目、2回目の夏
年長者のナベさんと、その幼馴染の「グッさん」が
休館日の度に御出掛の提案を出してくれるのは・・・嬉しい事この上ない。
それにこの二人の肝試しは、肝を試される事が殆ど無いので
皆が皆・・・毎回、気軽に参加しているのだ。
正直、市民プールに連れって貰った時に行った肝試し、城跡公園では・・・
グッさんが『凄かろう蛸入道だぞ』と紹介してくれた・・・
蛸をモチーフにした滑り台
そもそも『蛸入道とはなんぞや?』って言う
妹と年の近い「ヤマちゃん」の質問に
『大き過ぎて美味しくなさそうな蛸の事だよ』と答えるグッさんに対し
この人に「普通の肝試しの醍醐味を求めるのは間違っている」
そうに違いない・・・と
私とアキラの二人で思っていた事は・・・公然の秘密です!
勿論、そこで暫く滑って・・・公園の遊具で、それなりに遊んで・・・
「モッちゃん」とヤマちゃんとチハが、池の鯉と鴨に餌やって
その肝試しが終了し
肝が試される事なんて無かったなんて事は言うまでも無い。
その後、普通にプールで遊んでいつもの集合解散場所で解散したのだ。
そうそう、ボーリングやスケートに連れってって貰った時の肝試しは・・・
ゲームコーナーに置いてあった
銃でゾンビを倒すアーケードゲームだった。
低学年のチハとモッちゃんが多分、多少は怖がってて
ある意味では肝試しにはなっていたのかもしれない、がしかし・・・
それを肝試しと公言して良いのかどうかは
自信が無いので私には言えない。
小4の私とアキラと「オカちゃん」は・・・
普通にゲームしただけだった気がする
そう言えば・・・オカちゃんの保護者として参加した
1つ年上の「ハマちゃん」は
密かに一人だけ本気で怖がっていたかもしれないって事は・・・
どうでも良くなったので無視しましょう。
そんな御遊びの中、2人が提案した肝試しで
私的に唯一「怖かった」と思える肝試しと言えば・・・
大きなチョコレート工場沿いの道を通り
ボーリングやスケートできる施設の前を通り過ぎて
ちょっと川沿いを遡った所にある
森と言うか・・・ぶっちゃけ一般的な前方後円墳
その管理されているようで管理されていない古墳の中で
遊んだ時くらいかもしれない。
・・・あの時は確か・・・
あちこち崩れ(くず)てる石の水路で・・・私とアキラがザリガニ釣り
池っぽくなってる所で・・・
メダカや小魚を捕獲しようと苦戦するハマちゃん
池の畔、女の子らしく草や花を摘んで
シロツメクサの花飾りの中に織り込んで
ネックレスやティアラを作ったりして遊んでいた・・・
オカちゃんとチハ
網を持って、木々の中に踏み入れる・・・ナベさん&グッさんに続き
籠を持って追掛ける・・・モッちゃんとヤマちゃん
それぞれ、適当に遊んでいた気がする。
そんな中・・・暫くして、森の中で何度か悲鳴が響いた
何処から発せられたモノなのかは、反響していて特定できなかった。、
花に戯れていた蜂が・・・池の上を飛んでいた蝶が・・・
一瞬の内に姿を消していた。
そして、姿も見えないのに音もなく日に透ける大きな影が
すぅっと地面を行き交う
辺りが静まり返り・・・それまで聞こえていた小鳥の囀りすら
聞こえなくなった様な気がした
私とアキラは立ち上がり、辺りの様子を窺った。
不思議なくらいに、しぃ~んと静まり返った森の中・・・
突然、背後から何かの破裂音が響く
続いて、大きな悲鳴と水に勢いよく何かが落ちる音が響き渡った。
私達は、一斉に音のした方に顔を向ける
そこには・・・時々しか参加しない「コウちゃん」が
紙鉄砲を片手に笑っていた
池の中では、ハマちゃんがしりもちをついて声が出ない程に驚いていた。
本当に、あれは怖かった・・・
後、あの時の「日に透ける大きな影」
あれは10cm程のオニヤンマだった・・・あれもある意味で怖かった。
因みに、森の中での悲鳴は・・・モッちゃんとヤマちゃん
悲鳴の理由は、カブトムシとクワガタがいたかららしい・・・
そんなこんなで、本や雑誌TVで見かける様な肝試しのイメージは
ナベさん&グッさんの肝試しには当て嵌まらない事を・・・
皆が認識し信じていた。