表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
2/18

プロローグ

あの夏の日から

道端みちばた献花けんかされた花」や「供えられた物」を見ると私は怖くなる。


その場所で、その近くの場所で死んだ者は・・・死んでった者達は・・・

家族や友人の御悔おくやみで呼び戻され、何度も・・・何度でも・・・

死んだ時と同じ様に殺されてしまう事を知ってしまったからだ。


「大切な者をうしなって、後から残念がる」のも

「亡くした事を惜しむ」のも仕方のない事・・・「御悔み」は仕方のない事


でも、自殺以外の「事故」や、「病気」で死んだ者・・・

「殺された者」にとって


何故なぜ、死んでしまったのだ』と、やまれる事や・・・

『自分を置いて先に死んだ』と、責められる事は・・・

罪を犯した訳ではないのに、罰せられているのと同じ事


「あ~やって死んだ・・・こ~やって死んだ」と

「死んでいた」と繰返される事も同じ。


この国の罪の十字架は・・・

加害者に罪をつぐなわせる為に、被害者までが加害者の罪を背負わせられる

いや・・・被害者の方が更に重い罪があるかのように

「罪の十字架」を背負う状況じょうきょうおとしいれられる。


被害者が生きていても課せられる十字架・・・

それは、死んでしまっていたとしても課せられ・・・

場合によっては、それ以上に重くのしかかる・・・


だから、遺族の悲しみが大きければ大きい程

死んでしまった者達は・・・恐怖と苦痛の中

遺族の念で・・・幾度となく残酷に殺され続け、絶望の海へと沈んで行く。


遺族が総て亡くなり、自分を知る者が存在しなくなるか

死んだ者が総ての執着や未練・無念を捨て去り

成仏するその時まで・・・。


私は、管理された墓地ですらない場所で・・・

人が死んだ場所や、その近くで・・・

花を供え、悲しむ者達に嫌悪感を覚える。


献花され、供えられた品物の数日後・・・

献花された花は、枯れ・腐り・・・供えられた物が腐敗臭を放つ・・・


そんな場所に・・・

献花された時から離れられなくなって

佇む事を強いられ続けている死んだ者の絶望

それを知ってしまったから、気付いてしまったから・・・思い出し憤る。

挿絵(By みてみん)

はえが舞い、うじき・・・ねずみや、ゴキブリがい回る

そんな場所にたたずむ事がどんな事なのか知らない

気付きもしない者達に向かって、理不尽な事と知りながらも怒りを覚え


死者をいたみ続ける事を美徳とする風習が無くなる事を切に願い

花が手向けられた場所に、その場に死者が残っていない事を願うのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ