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今は昔の夏の日  作者: 上木MOKA
11/18

今は昔の祖父母との記憶

ハマちゃんとのスケジュール調整の為、数日が経過した。


その間、不安が拭えなくて・・・アキラとコウちゃんを拉致し

妹のチハも連れて

私達は近所にある私の祖父母の大きな家に寝泊りしていた。


2日前からは、オカちゃんと

踏切での事を知った、オカちゃんのパパさんまで参加していた・・・

私は知らなかったのだが、オカちゃんの家は父子家庭だそうだ。


オカちゃんは、一人娘の為に土下座してまで助けを求める父親の姿を見て

ウンザリしている御様子だったが


私は感動した・・・我が両親と、アキラの母親に

パパさんの「爪の垢を煎じて飲ませて欲しい!」ってくらいに思っている。


今回の場所の特定にも、パパさんは『子供だけでは危険だ!』と

態々、会社の休みを取って参加してくれると言う。


まだ出会って二日間しか経ってないが・・・

パパさんの人の良さは半端ない。


そして、引籠りになってしまっていたチハをずっと・・・

とても心配していた我が祖父母は

踏切での事を知り・・・オカちゃんとアキラの家庭の事情を知り・・・

盛大に私達を持成してくれていた。


昨日なんて・・・

祖父母が呼び寄せた「山伏」だと言う「怪しい霊能者」が現れたのだ。


ぶっちゃけ、そいつの姿は・・・

鼻が長くて、羽が生えてたら「天狗」のコスプレ以外の何物でもない

そんな気がするのは・・・私がまだ子供で、無智な為であろうか?


そんな怪しい奴が・・・神社の御神木に付けてあったりする

紐に四角い白い紙を繋げたのを幾つか付けたヤツ

強いて言えば・・・七夕飾りにある四角い折り紙を繋げたのの白盤を

一本の紐に何個も付けたヤツを何本も天井から吊るして・・・


そんな物を吊るしたリビングで

キャンプファイヤーの小さいのに火を付けて喚いて・・・


仕舞には、吊るされた紙に炎が引火してしまって・・・


あわや祖父母の家を火事にして大惨事にってくらい

本当に、盛大な持成しをして貰った


勿論今回の事で、個人的に祖父母の事が心配になったのは言うまでも無い。


「大人になったら家を出て、祖父母と暮らそう」

そう思ったのは、私だけではなく・・・

チハも同じように思っていたようだ。


この時、最初の火事の時点でオカちゃんのパパさんが居なければ

どうなっていたか、正直に言って分からなかった・・・


怪しい霊能者は・・・炎を放置してマジで逃げるし

祖父母はオロオロするだけ・・・


私達も、パパさんが丁度偶然にも仕事終わってやって来ていなければ・・・

あの場で『水汲んで持ってこい!』って言われなければ・・・


祖父母と一緒にオロオロしているだけだったかもしれないのだ


本当に・・・パパさん曰く『小火で済んでよかった!』

ただし・・・アレが「ボヤ」と言える代物だったかどうかは微妙である。


最初の火は・・・天井の燃えやすい物をパパさんが床に投げつけ踏み消し

学校の消火訓練でもしなかったバケツリレーを私達がして


割合、簡単に消す事ができたので「小火」で間違いないのだが・・・


一段落してから手ぶらで帰ってきた怪しい霊能者が

大きな身振り手振りで抗弁を垂れ

蓋の開いたチュウブ入りの着火剤踏ん付けて

燻っていた積み上げられた木材の消えかけた種火を爆発炎上させたのは・・・


そして、その炎は水では消えなくて

水をかけたら弾けて火が広まって・・・


コウちゃんが近所から消火器を借りて来てくれてなければ

不味い事になっていたなんて事があったのだが

それでも「小火」だろうか?。


私は怪しい霊能者に詰め寄ったが祖父母に押しのけられ

祖父母は・・・被害はリビングだけだからと

無罪放免で怪しい霊能者を帰した。


私は子供ながら、遣る瀬無い思いでいっぱいだった

大人は子供の意見が間違っていなくても子供の言葉を蔑ろにするのだ


「大人は大人同士の意見を尊重する生き物」だと

昔、感じた事を再確認するだけの結果になった。


怪しい霊能者は帰り掛け・・・

あんな事をしておきながら祖父母に謝礼金を要求した。


私達が『それはおかしい!』と言っても

祖父母は聞き入れてくれなかったのに・・・


パパさんが間に入って

『それを支払う前に、消防と警察を呼んで実況見分して貰うべきだ』

と、言うと・・・祖父母も納得し

怪しい霊能者は何も貰わずに逃げる様に退散した。


世話になって置きながら・・・私は何もできなかった・・・

「私が子供だから悪い」のだ、「早く大人になりたい」と切に願った。

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