セイラと虎王
外が夕闇に沈む頃
遺跡の外には盗賊が倒れていた
セイラは真っ暗な遺跡の奥深くを
魔法で創り出した彗星のような光で照らし
盗賊の頭を探して侵攻していた
遺跡の中は錆びついた冷たい鉄板の壁にベルトコンベアの床
天使達に与えられた魔法により廃墟と化した何か
何なのか知る者はもういないし動く事は無いだろう
この星にはもうそんな資源は無いのだから
セイラは突然立ち止まり闇に潜んでいる魔力の気配に注意し
光を近づける
そこには部屋の入り口
扉は無く入ると部屋を囲むように松明が一斉に燃え上がる
「獅子…?」
炎に囲まれた大広間でセイラを迎えたのは
獰猛な目で見下ろす巨大な虎の魔物
獅子のたてがみと見紛う八本の触手
「こんな魔物は見たことないですね」
三本の触手がセイラに向かう
触手は地面に突き刺さった
「危ないところでした」
躱したセイラを見て触手を引き抜くが
一本切られた事に気付く
だがしかし魔物の反応は思いのほか薄く
当然のように切れた触手を再生させた
「ちょっとずるくないですか」
流星
セイラの魔法を触手で防ぎ
前脚で地面にごとえぐり
それを避けるセイラに触手での追撃
四本の迫りくる触手に
流星群
魔法を当て
服の裾を嚙み千切られながらもすんでのところで牙を躱し
星弦
太い首を弧を描く魔法で断ち切った
巨体が倒れ遺跡中に勝利が響いた
「はぁ、はぁー、まったく」
遺跡中に静けさが戻り、呼吸を整え
大広間の奥に扉を見つけた
「やっと終わりそ…」
この時ほんの少しでも遅れていたら両脚が吹っ飛んでいただろう
両脚の太ももに負わされた傷よりも
目の前の異様な光景に意識を奪われた
今しがた切り落とした虎の首を背負う蜘蛛のに似た四本足の魔物
いいや、足では無い
あれは触手だ、残りの四本はどこか
倒れた胴体に切られた首からミミズの様に入っていく
「…」
言葉を失うセイラに蜘蛛の触手が襲う
セイラは倒れるように何とか避け
星弦
蜘蛛の触手を切る
横から爪が迫りくる
星域
魔法で壁を創り出す
「くそが…」
胴体は起き上がり首無しで奇怪に動き
蜘蛛の足も再生している
セイラの足ではもう避けることは出来ない
星域も長くはもたない
「やってやるわよ…闇の魔法を思い知らせてやる」
首無しが奇怪な動きで突っ込んだが
セイラはふわりと空中に浮いてた
「星よ廻れ 星渦」
詠唱し魔法を使うセイラに蜘蛛が触手を振るう
当たらない、避けたのでは無く
蜘蛛の体が触手縮んでいる、それどころか浮いている
首無しも浮き、血を吹き出しながら丸く縮んでいく
そしてセイラを中心に廻る
蜘蛛と首無しに為す術なく
吹き出した血と周りの炎を吞み込んで
穢らわしい紅い銀河よ、君は笑っているのかい




